【ナレーター】
さまざまな挑戦をしてきた松信が、それらを成功させるために大事にしていることとは。
【松信】
「成功するまでやめないこと」だと思います。それともう1つは、やっぱり仲間をつくること。「志」、自分ひとりの志を立てても、賛同者がいないと組織の中で何かを成功させるのは難しい。
なので、「自分はこういう理由でこういうことをやりたいんだ」、「こういう理由でこういうことを壊したいんだ」ということをみんなに説明をして賛同者を増やしていく。仲間を増やしていくことが必要だろうと思います。
【ナレーター】
YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」は、登録者数26万人以上と、書店を運営している会社の中でも一際、人気を博しているコンテンツのひとつだ。チャンネル開設の経緯に迫った。
【松信】
書店というのは出版社が出したものを出版社が決めた発売日に沿って並べて売るだけというような、どちらかというと、受け身の商売。
でも、これだけいいものを売り続けているのに、「自分たちで何も発信をしていない」ということに気づいたんです。
世の中に対して何らかを発信していきたい。自分たちの思っていることを伝えたい。
もっというと、自分たちの売っているものを、独断と偏見でもいいので、消費者の方やお客様にお伝えしたいという思いがあって、YouTubeを始めました。
しかし、ただ商品紹介チャンネルをやっても面白くないので、有隣堂しか知らない。有隣堂のスタッフしか知らない。有隣堂の関係者しか知らない奥深い世界を面白おかしく、忖度なく伝えていく番組をつくろうと思いました。
【ナレーター】
今後は関西1号店を皮切りに、関東圏以外の進出も視野に入れていると語る松信。見据えている展望とは。
【松信】
本との接点。書店のビジネスを成長・発展させていきたいと思っています。だから業態化ですかね。新しい業態をつくる。「本プラス何か」がある。あるいは何かをやるために本が利用できる新しい業態。
それは、エリアの方々の望む形にカスタマイズしながらつくることになるので、パッケージではないのですが「街に本がある風景を残していく」ことを一生懸命取り組んでいきたい。そう、思っています。
書店が地域で果たしてきた役割は、本を売ること以外にやはりコミュニケーションの拠点だったと思うんですね。なので、それを現代版にアレンジした新しい知のプラットホームを各地域につくっていきたいと思っています。
【ナレーター】
求める人材像について、松信は次のように語る。
【松信】
「幸せになりたい人」ですね。自分が幸せになるためには成長しなければいけないし、なりたい自分があって、なりたい自分になるための努力をできる人。
自己成長や自己実現をしたいと強く思わないと、仕事をしていても何かを成し遂げることはできないんじゃないかと思っています。
ですので「幸せになりたい」、そのために努力ができる人が、数多く当社に来ていただけるとうれしいですね。
ー大事にしている言葉ー
【松信】
「個人の尊厳」という言葉です。
大規模な社会になっても、本当に一人ひとりの個人が大切にされないと社会の発展や進歩をしても意味がないと思っています。一人ひとりの人間が大事にされることが世の中で一番大事です。
ですので、お客様と従業員、それぞれ距離感は違いますけども、それぞれの距離感において、個人を最も尊重する形で接していきたい。
そう思っているので、個人の尊厳という言葉を一番大事にしています。