【ナレーター】
人材育成について、「敬い・感謝・礼儀」を基盤とした、人としての魅力の向上に注力していると語る新貝。その真意に迫った。
【新貝】
お客様に対しての敬いと感謝と礼儀であると同時に、一緒に仕事をする社員同士でも敬いと感謝の気持ちを持ち、礼儀を尽くしましょうという意味もあります。
敬い・感謝・礼儀は人として根本的に必要なものです。敬いがなければ憎しみが生まれます。
会社というのはチームワークが重要で、コミュニケーションの成果として、お客様に最高のサービスを提供できるわけです。
まずはお仕事をともにする、目的を同じくする社員同士が、お互いに敬いを持つ。敬いを持てば、そこに感謝が生まれます。
そして礼儀についてですが、プロとして日本一の仏壇屋さんとして「最上のおもてなし」を提供するために、礼儀を尽くしていきたい。
以上のことから、私は常に敬いと感謝と礼儀について言い続けています。
私たちの商いは、もちろん会社の仕事ではあるのですが、ただの物売りではない。やはりお客様に寄り添って、精神的なサポートをすることが仕事です。
そうした時に「人の心を汲みとる」「悲しみを知る」「共に喜んで差し上げる」、そういった深い人間性、感受性というのは非常に重要だと思っています。
人としての厚みを増していく、そういった意味での社員教育に力を入れています。
【ナレーター】
伝統を守りながらも、現代のライフスタイルに応じた商品開発を積極的に進めていきたいと語る新貝。見据える展望とは。
【新貝】
核家族が増え、マンションなどの集合住宅に住む人が多くなった現代では、家の中に大きな仏壇を置くためのスペースを確保できません。
ではどうしたら自然と手を合わせられるのかというと「リビングにお仏壇を置いてもいいのではないか」「ローボードの上に置いてもいいのではないか」という発想で、商品開発もやっていかなくてはいけません。
そのように時代とともに変化させてもいいと思いますね。
たとえば神棚と同じ素材・技法でつくられた「推し壇」というものがあります。自分の「推し」に関するものを飾って、それに手を合わせて自分を守ってほしいという、新しい祈りのあり方も提案しています。
他にも新しいお仏壇、お仏具、祈りのスペースというものに投資をしていきたいと考えています。
お墓も時代とともに変わっていて、今の日本でのお墓のキーワードは「樹木葬」です。
一口に樹木葬といっても、木を真ん中にどんと植えるものや、お骨の上に一つひとつお花を植えるものなどさまざまな形がありますが、ここでも当社の企画力が重要です。
デベロッパーさんがつくった樹木葬を販売するだけではなく、はせがわも一緒に開発から関わっています。樹木葬をデザインして「ここにこういう樹木葬をいかがでしょうか」と提案をして、販売までやるわけです。
この先も、さまざまなコンセプトでお仏壇、お仏具、祈りのスペースを開発して、それを市場に出していくというような形になると思います。
さらに、ギフト事業にも力を入れています。亡くなった方にお世話になったものの、お通夜や葬儀に参列できなかった方が、後からお香典や、さまざまなものを遺族に送ることがあります。
また、葬儀をしたお宅は、返礼品をお返ししなくてはいけません。
それらの際に必要なギフトを、今まではせがわは販売していませんでしたが、思いのほかお客様のニーズが大きいため、PLS事業とともに拡大させていきたいと思っております。
【ナレーター】
求める人材像について新貝は、チャンス、チャレンジ、チェンジの「3C」が重要だと言い切る。
【新貝】
まずChance(チャンス)ですが、どんな苦境に立たされても「これはチャンスじゃないか」と、見出せることができる人を求めています。
2つ目のChallenge(チャレンジ)は、思っているだけでは物事は改善しないので、行動に起こさないとダメだということです。
あえて火中の栗を拾うことができる、素直にトライできる人材が良いですね。
3つ目のChange(チェンジ)についてですが、我々はお給料をいただいてお仕事をしているプロです。プロというのは結果にこだわる。
挑戦して実行して物事を変化させることができる人。そういうことを思ってトライしてくれる社員の方がいるとありがたいと思います。
ー大事にしている言葉ー
【新貝】
「得意淡然 失意泰然」という言葉です。
「得意淡然」とは絶好調な時ほど、謙虚に頭を垂れて受けとめなさいということです。「人様のおかげだ」と、周りの人のおかげで調子の良い境遇に置かせていただいていることを忘れてはいけないという意味です。
逆に「失意泰然」というのは、調子が悪い時、うまくいかない時こそ堂々と泰然としていよう。泰然というのはどっしりと構えるということなのですね。
自分も今、社長業としてさまざまな判断、業務をやっていますけども、浮かれすぎず謙虚に、調子が悪い時も卑屈にならず、堂々としていたいという思いで、自分のポリシーであり、大好きな言葉として挙げました。