【ナレーター】
人材育成で、久米が最も注力しているのが海外での研修だ。その真意に迫った。
【久米】
どんな形で売られているのかとか、海外のごま油、ごまの文化というのはどんなものだろうというのを工場の人ですとか、あるいは本社で別の仕事をしている人たちにも、ぜひそういう場所を知ってほしいということで。
これはもうだいぶ前から年に2回、展示会が海外でございますので、シカゴですとか、アジア系の人口の多い西海岸のスーパーさんを巡って、自分たちの商品がどうやって棚に並んでいるんだろう、いくらぐらいで売られているんだろうというのを肌で感じてもらうということ。
それに加えまして、こんなに作る人が苦労して作っているんだというのをやはり肌身で感じてほしいというのがありまして、今年からパラグアイの農家の見学に連れて行っております。
実際にごまをたたいて振るって、これだけの労働をしても、取れるごまはこのくらいしかないということですから、そうやって作られたごまをやはり大事に使って、いいものを作るという原動力にしてほしいなと思いまして、連れて行くようにしました。
やっぱり習うより慣れろで、行ってみて経験するというのが大きいんだと思いますね。
【ナレーター】
今後はごまの可能性を最大限に活かして、事業を拡げていきたいと語る久米。
見据えている展望とは。
【久米】
主力製品以外の分野をしっかりと今から種をまいて伸ばしていこうということを掲げまして、ここにある、ごまの実オイルというのは、今までのこれとは作り方がちょっと違う高級ごま油として出しました。
これは保湿のジェルクリームということで、肌に浸透がいいと言われているごま油をキャリアにして、化粧成分を届けていくというようなものを始めています。あとごまって50%ぐらい油になるんですけど、残りの50%はいわゆるごまかすなんですね。
これは動物の飼料として今使われていますけれども、中にプロテイン、いわゆるたんぱく質がずいぶんと含まれていますので、こういうものを使用して、もっと価値ある健康に資するような製品に作っていこうということで、ごまの価値を最大限取り出して皆様にお届けすることで、会社としては存続していきたいなというふうに思っています。
2022年の6月に、「goma to」というアンテナショップを自由が丘に作りました。若い世代の人たちにもごまについてよく馴染んでほしいなと。
ごまの魅力ってこんなのがあるんですよとか、こういうお菓子にも使えます、他にも使えますというような、そういうファンを増やしていくのも大事だろうなということで、結果的に業界全体のごまの需要が増えたりとか、そういうことにつながるとありがたいなと思いまして始めました。
海外も50年以上前からアメリカ向けに輸出しております。
アメリカも人口増が期待されておりますし、アジアからですとか、あるいは南米、中米からの移民の方々というのも随分と増えていくという見通しの中で、そういう方々にも使っていただけるような商品開発をして増やしていきたいなということで、海外事業部も人員を増やしましたし、英語を使える人も少しずつ増えてきていますので、楽しみにしてます。
【ナレーター】
求める人材像について久米は次のように語る。
【久米】
基本は明るい方で、何事にも前向きに取り組んでもらえる方というのが我々の求める人材なんですけれども、やはり挑戦していくっていうんですかね、しっかりと周りとコミュニケーションしながら、新しいことにも取り組んでいく人材というのが大事だろうなと思っています。
そういう意味で、いろいろな研修なんかも含めて充実させてきてますし、失敗から得られるものもたくさんあるということですので、そういったことに挑戦してもらう人材をぜひ増やしていきたいというふうに思っています。
―大事にしている価値観―
【久米】
「人間万事塞翁が馬」って言うんですかね。
いろんなところでいろんな経験をすること、そのこと自身が大変楽しいことですし、一回きりしかない人生ですから、従業員の方も我々の会社の中で人生のある時間を過ごしてもらうわけなので、そういった社風で彼らの人生の一部が充実するようになれば、それに越したことはありませんから、そういうことからいくと人間万事塞翁が馬かなと思います。
融通無碍にとにかくとらわれずに、伸び伸びとやってほしいなと思っていますので、そういう会社になるようにしっかりと後押しをするというのが我々経営の役目かなというふうに思います。