part.3 本当の“教育”とは
社長対談 第2回のゲストは、60代で再び起業し、日本初のエデュテインメント施設『キッザニア東京』を立ち上げた、KCJ GROUP株式会社の住谷栄之資氏と、約4,000人の英会話講師数、レッスン提供数は業界No.1(2016年3月時点)の株式会社レアジョブの加藤智久氏。
日本の教育に新風を巻き起こすお二人が語る、成長に繋がる本当の教育とは。その秘めたる想いに迫ります。
※エデュテインメントとは
教育を意味する「エデュケーション」と、娯楽を意味する「エンターテインメント」を合わせた造語。
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本当の“教育”とは
―本当の”教育”とは―
【住谷】
僕もキッザニアを始めるにあたって勉強になったのが、本当の教育って引き出すことなんだよというようなことを、元々ギリシャ語でしょうか?何かに、相手のことを引き出すんだって(言葉があって)。教えるんじゃないんだと。教育って言葉が、『教えて育てる』みたいになっているんで、こう引き出して上げるということなんだよと言われてみると、「ああ、そういうことなんだ」って。要するに、人間って必ず良いものを持っているから、それを、例えば算数ができない子もいるかもしれないけど、数学凄いよね!とか、もっと言えば、君絵を描くのが上手いよねという。
【加藤】
特に日本だと、ゴール自体が多様化していると思うので、ゴールに合った、何を伸ばすかという設計があって、この子どもというのはそっちの方にどうやら情熱があるっぽいから、そしたらまあ別に、ここのところは多少悪くてもいいじゃないかという、そういうのが引き出し方ですよね。
【住谷】
そうですね。ええ。
―”体験させること”の重要性―
【住谷】
そういう意味では、キッザニアの場合は色々な職業があります。100種類くらいの職業が揃っていますので、平たく言うと、理系なのか文系なのかというところから始まって、何となく子どもはいつも同じことを体験するという。こっちの方が好きなのかな、自然に何かそういうのが出てくる。そういうところを伸ばしてあげる。確かに、実際にキッザニアに、小学校、中学校、高校に行く時、「僕理工系に決めました」と言う子に「なんで?」って聞いたら、親も子どもも理系の仕事と、子どもが好きだって、キッザニアの体験を通して分かりましたという話で。それまでだったら、何を持って自分が文系なのか、理系なのか、ということを調べたことはなかったんだけど、自分でも納得する。これが好きなんだよねという話で、じゃあこっちだよねって。もちろん運動系もありますし音楽系もありますし、英語もありますけど、そういうのを自分の向き不向きだけじゃなく、将来の自分の仕事を選べる。
【加藤】
そうですね。
【住谷】
イメージできる、こういうふうになりたいんだと思える。
【加藤】
僕自身も、大学時代、休学して、ベンチャー企業で一年半ほどフルタイムで働いて、そこで、例えば0から1をつくるのは得意だけれど、1のものを10、100にしようとした時に、表等で計数管理等をして、もしくはプロジェクト管理とかをしなければいけなくて。それが弱くて、1を10にし切れなかったな、みたいな思いがあって。大学に戻って、そこから会計を勉強するゼミに入り、会計を通じて企業分析をしました。その後に戦略コンサルに入って、そこではマネジメントを多角的にやる。そこで初めて、今度はベンチャー、レアジョブというのに挑戦しました。
【住谷】
できるだけ若いうちに、ある程度の職業観なり、目標なり、持つということは大事だという話ですよね。
【加藤】
そうですね、はい。それを、実戦を通じて見ているというのが、大切なのかなって思いますね、いかにこういう職業があるよって、紙ベースで教えたとしても何もピンと来ないというか。
【住谷】
おっしゃる通りですね。
【加藤】
でも、魚一匹売ってみて初めて…。
【住谷】
商売の難しさが分かるというね。
【加藤】
どこが向いているのか、さばくところなのか、買ってくるところなのか、売るところなのかとか、それが全部見えてくるのかなと思います。
KCJ GROUP株式会社 代表取締役社長 住谷 栄之資
2006年、日本初のエデュテインメント施設『キッザニア東京』を立ち上げる。
住谷氏は、藤田観光株式会社を経て株式会社WDIの柱となる事業をつくり上げる。「ケンタッキー・フライド・チキン」約30店舗のフランチャイジーを手がけた他、「トニーローマ」「スパゴ」「カプリチョーザ」などのライセンスを獲得。60歳で同社を退職し、キッズシティージャパン(現KCJ GROUP株式会社)を設立。60代で再起業を果たした。
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株式会社レアジョブ 代表取締役会長(対談当時) 加藤 智久
Skypeを使ってフィリピン人講師とのマンツーマンレッスンを25分129円から受講出来る格安オンライン英会話サービスを提供。約4,000人の英会話講師数を有し、レッスン提供数は業界No.1(2016年3月時点)。2014年6月東証マザーズに上場。
加藤氏は一橋商学部卒業後、外資系戦略コンサルティングファームを経て、現社長の中村岳氏と2007年にレアジョブを創業。2015年に代表取締役会長に就任した。