part.2 少人数で“ものづくり”ができる理由

社長対談 第3回のゲストは、幻のスポーツカー『トミーカイラZZ』を復活させ、多様なEV(電気自動車)開発に挑むGLM株式会社の小間 裕康氏と、世界初、民間商用の超小型人工衛星を開発する東大発ベンチャー、株式会社アクセルスペースの中村 友哉氏。
新進気鋭の経営者が語る、ものづくりベンチャーの挑戦と可能性。その秘めたる想いに迫ります。

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少人数で“ものづくり”ができる理由

【小間】
自分のことを棚に上げてなんですけど、16人でどうやって衛星をつくっていくんですか?

【中村】
一般的には衛星って、それこそ百何十人とかエンジニアが集まって5年10年かけてつくる、それが一般的だし、大型の衛星って今でもそうなんですけれど、元々我々が、人工衛星をつくり始めたのって大学時代なんですよね。

そのときは研究室のメンバーがそれこそ20人くらいでしょうか。メンバーとして、せこせことつくっていたところで、手の平に乗るような小さなところから始めて。それで、我々も大学時代に3つの衛星をつくるところから始めて、その後、それを発展させて商用の人工衛星をつくっているんですけど、そこから積み上げてきたものがやっぱりあって。

大学はお金が無かったから、少ない人数と予算でやらないといけなかった訳ですよね。だから、国だったら絶対やりませんけど、秋葉原から部品買ってきて、それを乗せてしまうとか、NASAの人が聞いたら卒倒するようなことをやっていて。でも実際それで動いちゃったから、これでもいいんだということになって、我々は逆に言うと、そもそも与えられたものが、条件がそれだったんですよね。

その中でつくれるやり方でつくってきて、それが今、つながってきているので、何といいますか、大学からの継続という感じですね。

そういったつくり方を、我々が築き上げてきたというのが、正直なところかなと思いますね。

【小間】
今、従業員の皆さんは日本人ですか?

【中村】
二人外国人がいて、一人がフランス人で、一人がイタリア人ですね。インターンの子は、マレーシアの子など外国の方が結構いますね。

【小間】
社内の公用語は何ですか?


【中村】
日本語はそれなりに話せるんですよ。よくわからなくなると英語になっちゃいますけどね。小間さんのところはどうですか?16人で車って、つくれるんですか?

【小間】
そうですよね(笑)

元々、我々の場合は、先に事例があったんですけれど、我々が継承した『トミーカイラ』というブランドがあって、これも、いわゆるベンチャーが十数年前につくったんですね。国内で200台、同じコンセプトで、屋根がない、エアコンがない、軽量でハンドリングが楽しい車として、公道を走れるレーシングカーというコンセプトで販売をしたんですね。

これも設計者が十数名最初にいて、その中で、じゃあどうやってつくるのかということなんですけれど、サプライヤーさんは大手さんばかりなんですが、やっぱり、ちゃんとした部品を調達する、そしてそれを組み付けて、まず試作品をつくる。つくったら今度はアウトソーシングの世界になっていくので、これを組み付けてアッセンブリーする会社さんにお願いしていく。

こういった、我々が持っている技術を、ちゃんと形にしてくれる企業パートナー、これを、我々エコシステムと呼んでいるんですけれど、ここを広げていきたいなと思っていて。こうやって、メンバーの建設事務所みたいな感じで設計だけをやって、テストをして、評価をして、あとは、マーケティングの人間が入って、売っていく。製造など、一番人やお金がかかるところは外部に頼むという考え方ですね。

【中村】
いいですね。まさにこれ、我々が将来目指したいモデルで、さっき、我々全部自分たちでつくっていると言いましたが、それは、衛星は一基とか二基とかしかつくらないから、任せる意味があまりなくて、コストばかりがかかってしまいますからね。

でも、やっぱり50基60基、100基とかになってくると、我々自身が抱えきれないというところもあるので、とても我々の目標にしたいモデルだなと思うんですけど、そういった、いわゆるエコシステムって、どうやって構築したんですか?

【小間】
最初、我々も大学発のベンチャーとして大学の冠でお願いしていくと、大企業が、大体OKして下さるんですね。それで、ものができるところまではいいんですが、いい形になりましたね、これ売りましょうかと言ったらいきなり引くんですね。

【中村】
そうなんですね。

【小間】
「これ売るの?本当に?」と言うわけです。やっぱりベンチャーのつくっている車なので、なんか問題があった時に、自分たちは部品を提供しているだけなんですけれど、そこで不具合があった時には看板に傷がついてしまうというのがあるみたいで、とても躊躇されたんですね。

これに対して、大丈夫ですよ、しっかりとこういうようなテストをしますから、とか言うんですが、実はそこからテストをするための資金調達をしなければいけなかったり、テスト項目を自分たちだけじゃなくて、第三者機関につくってもらって、項目をクリアしていったりとか、同じようなことをしていくことによって、ここまでしたら大丈夫だなというような思いを持ってもらうというところが結構大変でしたね。

【中村】
そういうこう、産みの苦しみってやっぱりあるんですね。

【小間】
そうですね。

【中村】
さっき、話でちらっと出た、やっぱり、本当に売るとなると躊躇しちゃうという、我々も学生時代から経験していて、どこかのメーカーに行ってこの部品使わせて下さいというと、「え?宇宙?」とか言われて、「もしそれで動かなかったら、うちの製品の評判に響くじゃない」ということになって。

「使うなら勝手に使って、うちの製品を使ったって言わないでね」とか、そういうことも実はあったりして、対応が二分するんですね、「どんどん使ってアピールして」という企業もあって、だから、結構会社の色みたいなものがあるんだなと思った記憶はありますね。


GLM株式会社 代表取締役社長 小間 裕康

EV(電気自動車)を開発する京大発ベンチャー。「幻のスポーツカー」と呼ばれる『トミーカイラZZ』をEVとして復活させた。2015年8月、VCなどから総額17億円の資金調達を行う。
小間氏は2010年にグリーンロードモータース(GLM)を設立。国内のベンチャー企業で初めて、EVスポーツカーでの認証を取得した。

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この社長のもとで働きたい
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株式会社アクセルスペース 代表取締役 中村 友哉

超小型人工衛星を開発する東大発ベンチャー。世界で初めて民間商用の打ち上げに成功し、2015年11月には19億円の大型資金調達を行う。
中村氏は、東大在学中に超小型人工衛星の開発に携わり、卒業後、同専攻での特任研究員を経て、2008年にアクセルスペースを設立。

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