【ナレーター】
未曾有の事態を乗り越え、河野は挑戦と撤退を決断することが重要だと、改めて気づいたという。
【河野】
困難な事態が起きた時はやはり、チームビルディングをする大きなチャンスだと思います。
コロナ禍で私が従業員に言っていたことは「とにかく死んだら終わりなんだよ」「死なずに生き残るだけでも生存者利益があるんだよ」ということでした。
そして「生き残った時には以前よりもはるかに、ずっと強くなっておきたいよね」「そのために、今すぐには利益に結びつかないことでも、お客様に提案をし続け、関係性を絶やしちゃいけないよ」と伝えていました。
そういう時に、このワクチン接種のチャンスが訪れましたので、何がきっかけになって事態が転換するかは本当にわからないものだと思います。
菅総理に会って直談判をするという、あの時の私の行動がひとつの転換点となり、まさに当社が再浮上するきっかけになりました。
このように、挑戦するだけではなく、撤退も含めて、伸ばす時には伸ばす、守る時は守るというメリハリをつけた経営を行うと、やはりピンチはチャンスに変わるのだということを、私は身をもって体験しました。このことは皆さんにしっかりお伝えしておきたいと思います。
【ナレーター】
既存事業のさらなる拡大に向けて、注力しているのが人材育成だ。現在行っている取り組みについて、河野は次のように語る。
【河野】
当社には研修制度がありますし、私自身も「幹部養成塾」を開催しています。
これからどのようなストーリーが当社に訪れるかは未知数です。今後も、「全従業員とともに冒険の旅に出ているのだ」という“一致団結”の思いは伝えていきますし、一緒に共感、共鳴しながら会社をつくり上げていくことが大切だと思います。
そういう意味で当社を、従業員の皆さんとともに変化を恐れず楽しみながら事業を続けていける集団にしたい。
私が先頭に立って、あらゆる革命、あらゆる事業の展開をしていきたいと考えています。「その船に一緒に乗ってくれ」というつもりで、皆さんには日常的に話をしています。
【ナレーター】
今後は、公園や企業が所有する物件の再利用など、“再生”というキーワードを軸に事業を展開したいと語る河野。見据えている展望とは。
【河野】
これからは、何かを新しくつくるというよりは、今あるものをどのように利用するか、今あるものを使って世の中のためになるものをいかにつくり上げられるかがポイントになってくるはずです。
事業を通じてさまざまな問題を解決していく、そういう企業であり続けたいと思っています。
【ナレーター】
ともに働く仲間に求める要素について、河野は次のように語る。
【河野】
ビジネスとは“挑戦の旅”だと思います。楽しみながらそれを挑めることこそがビジネスの一番の醍醐味です。
困難な問題をひとつずつ乗り越えながら進み、成長ができる。そういったストーリーが描ける企業にしたいですし、毎日成長し続けられる社員であってほしいと願っています。
ー大事にしている言葉ー
【河野】
経営学者、ピーター・ドラッカーの「社会の問題の解決を事業上の機会に転換することによって、社会の要請に応え、同時に利益にすることが企業の機能である」という言葉が、いつでも私の胸の中にあります。
社会の問題解決ができなければ企業の存在意義はないと私は考えているわけです。
その企業があることで、社会がより良くなったり、物事の効率がさらに高まったり、問題を解決していけたりする。
当社もそういった企業でありたいですし、そのような企業がよりいっそう増えていけば、社会はさらに良いものになっていくのではないでしょうか。
そういった意味で、このピーター・ドラッカーの企業観を大切にしながら、今後も当社を大きく成長させていきたいと考えています。