価値観
【近藤】
ネクシィーズの風土というのは、昔から先輩方がなぜあんなに社員と社長の仲がいいのかと(言われるところです)。社員同士もなぜあんなに和気あいあいと、かつ、ぶら下がりあわないでライバルとして競い合えているのか、そしてノウハウをみんなで共有できるのかということは皆さんからすごく言われるのですが、それはやはりネクシィーズイズムなんですよね。僕は会社を作ったときからずっと社員とご飯を食べていて、あることに気づきました。人は説得しても動かないけれど、納得したら動くと。だから「同じ飯の釜を食う」という言葉があったじゃないですか。あれは多分ご飯の事ではなくて、同じ時間を共有しながら共にこれから歩む道を確認し合って、そしてそこでみんなで力を合わせて、その夢を追いかければ、その夢は見るものではなく、叶えられるものになるということを確信し合いながらやっているのが絆だと思うのです。自分が頑張っても隣の人が頑張っていなかったら、会社は倒産するのだという気持ちを持つことだと思います。
だからすごく良い仲間なのだと。最高の、自分にとって必要な人だと。大切な人なのだと思い合うことだと思います。そういう風土がネクシィーズにはあって、その中で培われていったというか、文化ができていったというか、それがネクシィーズイズムだと思います。
僕が自分の心に決めているのは業界ナンバーワンになるということしかしないということです。新規事業に関しても、全てで業界ナンバーワンを目指せること以外はしないと決めたら、自分のやるべきことがすごく明確に見えてきました。企画営業マンなので、あれもやりたい、これもやりたいと思いがちでして。でもその中で私はナンバーワンになることしかしないでおこうと思った瞬間に、自分のやるべきことがものすごく明確に見えてきました。ただ、ネクシィーズというのは、色々なことをやっていますが、一貫しています。企画と営業力の活かせるポジションしかいかない。これは前からそうです。それはどんな仕事でも我々は参入できると。ただ、その中でナンバーワンになれることしかしないと。
最初の10年はがむしゃらだったのでほとんど覚えていません。唯一覚えているのは会社を作ったときも若かったし、上場したのも最年少記録だったので、若い若いという言葉を言われて続けてきたということです。あるとき新卒採用の説明会で、この子たちは会社設立当時まだ生まれておらず、お父さんとお母さんが私と同い年なのだと知ったときは、もうそんなに若くないんだと思いました。
他にも、イベントでベンチャーのイベントがあれば乾杯の挨拶は僕だったのに、最近は最後の挨拶になってきたので、「ああ、もう僕は若手じゃないのだ」というふうに思いますね。
変わっていないことは自分が営業マンであること。企画マンであり、営業マンであることというのは僕の誇りなのです。
今でも新卒説明会で何の会社なのか説明するとき、将来社員になるような子たちには「電子出版社です」とは言いません。 やはり営業会社だと言います。それは当社が営業会社としてのサービスの本質を大切にしていることに誇りを持っているからです。テクノロジーの進化って、実はサービスの本質を失っている時があるんですね。
例えば、ファミリーレストランにある、呼び出しベルがあるじゃないですか。あれは何のためにできたテクノロジーかというと、ボタンを押したらすぐに店員さんが飛んでくるという、サービスの向上のためにできました。言い換えれば、店員さんは ボタンを押さないと来なくなったのです。でも、本当のサービスというのはお茶が欲しいなと思った瞬間に、お茶が出て来ることにあるんです。そこに感動するわけですよね。何かオーダーを聞いて欲しいなというときに「いかがですか」と言われて感動する、そういう気配り、目配り、心配りというのがサービスの本質なので、僕はやはり、特にハイテクノロジーな商品を扱う以上、お客様に説明し、納得し、喜んでもらうと。いわば、ハートtoハート。これが営業の本質だと思うので僕はそれを忘れない。忘れたくないし、忘れないと心に決めています。
-事業-
【近藤】
ネクシィーズは今までBtoCがメインにやってきましたし、BtoCをやめることはないのですが、今後はBtoBを強化していきます。新たに始めたバイオ事業もBtoBですね。エステティックサロンの500店舗以上にうちの(DNA健康コンサルティング)サービスを提供していますから、そういう意味でこれはBtoBですよね。BtoBtoCです。そのため、こちらの方に力を入れていくと思います。
「ハクビ」というのは関東を中心に62教室展開していて、歴史も40年以上ある着物業界の超老舗ということなのですが、もともとその創業者の理事長さんを僕は20代の頃から知っていて、昔から後継者がいない、後継人になってくれないかということを何度か頼まれていたのですが、全く業界が違いすぎるということで当時はお断りしていたのです。でも上場してからまたそのような話があったときに、この古い体質の中に新たに我々の企画力と営業力を入れていけば、もしかしたら面白いことができるかもしれないと。
だから伝統的な守るべき文化とか守るべきルールというのは絶対にあるのですが、だけど、あまりにも進化していないため、ここを変革できたら面白いなと。しかもブランジスタがあって、タレントさんのコンテンツが使えると。着物クィーンコンテストで女優さんたちを呼んできて、大々的にやると40メディア以上来ますし、参加者もすごく多い。日本最大の着物イベントができてしまうわけです。色々な形でできるなと。
それともうひとつ興味があったのは、インターネットの世界というのは、すぐ消えたり、できたり、消えたりと新しいものが次々でてくるではないですか。それはそれで良いことだし、競争は大切なのですが、着物はなくならないなということ。日本人である以上、どんなにマーケットが小さくてもなくならない。なくならない中でナンバーワンを取ると、これはそれなりの大きなマーケットになると。しかも世界ナンバーワンの民族衣装である。これによって世界にも展開できる。世界でイベントをやると外国の方はものすごく喜んでくれるので、そのようなものを持っているというのはこれまたかっこいいなと思い、グループとして迎えました。
まず、パッションリーダーズは僕だったら絶対入りたいと思う会を作ろうと思い企画しました。特に僕は若いときから(経営を)やってきたので人脈が欲しかったわけです。でも、今まで世の中の会というのはものすごく大きく分けて2つしかなくて。
ひとつはすごく安く参加できるところ。パッションリーダーズもそうですが、例えば1万円ぐらいで参加できる。ところがそれなりに偉い人の話も聞けるし、安いけれど立食などで(名刺交換し)名刺の束だけができ、あとで見返したときには誰だったのか分からない、その場だけのイベント。もうひとつは、例えば月10万円、入会金300万かかるけれどサロンなどの施設があって、そこにみんな集うからそこで友達ができたり、仕事に繋がったりする。僕が見てきたのはそういう会でした。
しかし何百万円もの入会金、月10万円も払うようなイベントにはベンチャー起業家は入れないだろうと考え、月1万円で出来る会でベストなことをしてやろうと思いました。
まずは僕が代表になり、世の中の重鎮たる方々を特別顧問として招く。また本来なら講演しない方を、現役経営者の僕だからこそ呼ぶことができる。そして、色々な方、僕は先輩を大切にしてきたので、僕のためだったらやってくれるという方が、非常に感謝ですけど、たくさんいてくださる。そして運営する理事、参事にしても、上場会社を中心とした今旬なイケてるメンバーが集まってくれる。組織がこういう体制でできて、ドリームチームができるのです。
僕がみんなの前で話す講演もたくさんできるし、人を呼んで来ることもできる。1カ月に1回は大きなイベントができるということです。そしてそれ以外にも仕事と遊びを思いっきりやろうというこということで、イベントを行なうなら当社のビルの会議室を無償で提供しようと。会社のイベントなどはそこを使えばいいし、他にも、ネクシィーズスクエアビルの横にもともと家賃を払っていたゲストルームも開放しました。他に色々な施設、僕が提携してきた今まで使ってきた会員制のレストランにお願いして、会費なしで使えるようにしてもらうとか、そういう施設も充実させて、色々遊びも混ぜながら、そしてビジネスマッチングといってみんなで集まってビジネスをする。それが月1万円で入れてしまう。そして代表である僕が思いっきり参加する。 だからすごく活気のある会になっていて、僕は日本最大の情熱ベンチャー連合にしようと、この会を全国に広げていきたいと思っています。
-キャリア-
【近藤】
リーダーにとって一番必要なことは覚悟かな。社長をするとして人の上に立つということは、という言い方をしたほうがいいかな。人の上に立つということは、職業ではなく自分の生き方になっていかないといけないし、全てをそこにつぎ込んでもやってやるぞという覚悟がないと駄目だと思うんです。その覚悟に人々や部下は安心する。覚悟がないリーダーは駄目ですよね。
それから、幸せの定義が分からないと駄目ですね。お金を持っても心が貧乏な人って結構います。例えば、時計を10個持つ、車を10台持つ。「僕はコレクターだ」と言われればそれまでかもしれませんが、僕自身はそれを幸せだと思わない。幸せってなるものじゃなくて、感じるものだから。この時計はいいな、この時計もいいな、でもこの時計のほうがいいなと。これが幸せなので、お金があるからやっている、こういう人はだいたい消えていく。そういうリーダーにはついていかない方がいいですよね。
リーダーというのは生き方として、その着いてきてくれる仲間に対して、夢やロマンが共有できる、要するに自分の私利私欲ではなくて、みんなで大きくなっていくぞという気持ちを本当の心のど真ん中に置いているかということだと思います。
それともうひとつあります。それは「有言実行」。リーダーというのはヒーローでなくては駄目だということ。ヒーローって何かというと、今から俺はそこにボールを打つぞと言って、ヒーローのバッターはそこで打つという、漫画やドラマでよくありますよね。あれがヒーローの最大の条件なので、人が難しいということを有言実行してやり遂げると、それが神話になる。この人はやると言えばやるんだという安心にもなるし、神話になる。自分たちは何でもできるんだという希望になる。大いなる夢に広がっていく。リーダーというのはそういうスケール感がないと僕は駄目だと思います。
僕は新卒採用説明会を全部自分でやっているんですよ。全部。明日も仙台、札幌へ行くし、その後高松もあるし、先日は名古屋や大阪にも行ったし、全部行っているんですね。最初のファーストインプレッションというのは自分でないといけない。僕が(学生に)面接してもらおうと。逆に「近藤太香巳ってどんな男か」ということをみんなに分かってもらうために行くんです。
トータル5000人ぐらい来てくれるのですが、選考希望率は95%ぐらいあります。自分から心に汗をかきながら、本気で自分の夢や思いを語りにいく、ネクシィーズというのはこういう会社なんだと伝えにいくということがすごく大事だと僕は思っています。そのときに僕は話すことがあって、1時間以上話すのですが、(そうすると)授業みたいになるわけですよ。僕からしたら大半の人たちが落ちるわけだから、今日説明会に出て良かったなと思わせたい。勉強になった、生き方や考え方が変わったみたいな、そういうふうな説明会をやるので、講演会みたいになるんです。拍手が起こったり、泣いたり、笑ったり、そんなイベントになっている。そのときに、僕が言うひと言は、「社会人というのはプロだということ」。
私は新人ですという気持ちで入るな、新人ですと言うなと。高校生だったピッチャーがある日突然プロのマウンドへ立った時に、スーパースターがバッターボックスに立っていて「僕は新人です」と言って投げないだろうと。三振取ってやるぞと思って投げるでしょう。その理由は、プロだから。プロだという覚悟を持つと全く伸び率が変わるぞという話をするんです。それと、社会ってとても楽しいぞと。学校は足し算で、1年生、2年生、3年生、4年生と1年ごとに上にあがっていくし、よっぽどのことがない限り進級できるし、でも卒業式では同じ日に、成績が一位も最下位同じ扱いで卒業するんですよね。1位だからといって、「就職どこでもできる券」はもらえないし、賞金がもらえる訳ではない。
だから勉強しなくていいとは言わないけども、社会というのはそれと比べて掛け算だと。5年10年たったら友達とは比べものにならないくらいのスケールでそのステージで仕事とができているかもしれない。そう考えると社会ってめちゃくちゃ面白いぞ、という話をするんですね。
社会人というのは2つあって、ひとつ自立すること。お父さん、お母さんから自立すること。もうひとつは、自分の人間力を磨く場だと思うのです。自分の人間力。松下幸之助さんが頑張ったんだから君も頑張りなさいと僕が言ったって頑張らないけれど、私はこうだった、俺はこんなときこうだったけどこういうふうにしたよと、お前も勇気を持って頑張れと、自分の言霊というか経験談、体験談を語るから人の心って揺さぶれると思うので、そういう意味では器というか人間力を磨く、それが大人になっていくことだと思うんですよね。そういう僕は話をしますね。
だからネクシィーズには本当に情熱家がきてほしいし、挑戦は青春だというような人に入社してもらいたいと思って、一生懸命話しています。情熱家の塊ですね、うちの会社は。
-プライベート-
【近藤】
学生時代の僕というのは、勉強しなかったし、だからできなかったし、落ちこぼれ人間だったので、自分に自信がなかったし、社会人になって営業マンをやっているときに、冬場、会社から支給されたジャンパーを着て、バインダーを持って、一日中一般家庭にダイヤル電話機をプッシュホンに切り替えませんかという仕事をしていたとき、ちょっとした小洒落たレストランみたいなところに(営業に)入ろうと思ったことがありました。ジャンパー着て、バインダー持って。そうしたらその地域の大学生たちがビリヤードをしていました。学生たちが楽しんでいる姿を見て思った事は、この人達は貴族だと。自分はこんなバインダー持って、ジャンパー着て、これが頑張ってこなかった自分の姿なんだと。彼らがすごい貴族に見えた。高貴なものに見えたわけです。でも「あそこに追いつかなあかん!」と思って自分を奮い立たせたことがあって、すごくくだらない事だけれども、そうやって「今に見てろよ!」という気持ちが僕を支えていたと思います。
僕の父は事業家ではなかったけれど、僕が商売を始める事に対するハードルは低かったかな。反対もされなかったし。個人事業主でやったらええやんという感覚を持っていたので、そういう環境で育ったのはプラスだったなと思っています。僕の父方の祖父が偉大な人で。母が義理の父親(祖父)のことをすごく尊敬していて、あの祖父を越えるのは絶対無理だと言われていたので、それがまた逆に、祖父を超えるような男になってやろうという気持ちになったこともありました。
あとは社会に出て、色々な先輩に出会いました。生涯の恩師はSBIの北尾さんですね。一番きつい時にお金を出していただいて、上場ができた。だからそういう意味では(上場によって)たくさんお金は儲けていただけたので義理は返せましたが、恩は生涯返せないものなので、恩義というのは生涯持って行きたい、大切にしたいと思います。孫さんとの出会いも事業家としてスケールの大きさを学べました。僕が「NTTと本気で戦うんですか、孫さん」と言った時に、孫さんが「近藤君、男が戦うのだったらNTTぐらいがちょうどいいんだよ」と。「それ以下にいったら弱いものいじめだ」とおっしゃったとき、かっこいいなと思いましたし、色々な人から影響を受けました。しかし僕は近藤太香巳だから、僕は僕のスタイルで、僕の信じるものを追求していこうと思います。
キザなことを言うと、一番大切なのは自分の仲間、社員です。そこから広がる、派生する僕の人生の仲間、色々な人達、パッションリーダーズの仲間もそう。歴史に残る男になりたいというものもありますが、孫さんほど僕は強くはないと思います。人々の記憶に残るような男になりたいと思うんです。僕は僕と出会ったことによって、「ああ、こうなって良かったな」とか、近藤はいい男だったなと言われるような、人々の記憶に残るような男になりたいなと思います。
僕が今一番親しいのは、出版界のドンである幻冬舎の見城徹社長です。あの方の繊細さたるやすごいです。一緒にブランジスタもやっているので、すごく仲良く、一緒に旅行もしているし、すごく繊細で、すごく難しいところもありますが、すごくシンプルで、まっすぐで、ハートフルで、親友であり、尊敬する大先輩ですね。他には、GMOの熊谷さんとか、楽天の三木谷さんとかね。僕なんかより成功されているけども、すごく気さくで、そしてすごく深いところで優しくて、一緒にパッションリーダーズで特別顧問になってもらっている、僕の大切な人ですね。
あと、稲本健一さんも、ダイヤモンドダイニングの松村さんも親友です。ちなみに僕、IT業界の社長の友達も多いですが仕事柄クライアントでもあるので、実は飲食系の社長と仲が良いんですよ。牛角の創業者の西山さんもそうだし、飲食の経営者というのは、ハートtoハートがあって素敵ですね。飲食系やサービス業の社長は僕好きです。
すごく気に入っている場所があって、元東京都知事の石原さんと見城さんに勧められて買ったマンションがあります。隣が見城さんの家で。フロアに二世帯しかないので、「近藤来い」と言われて買いました。ものすごく海が綺麗。緑があって岩があってというすごくロケーションが良い。そこのマンションが自分の別宅と言うべきか、自分の時間の中でそこに行くのが僕は好きです。パッションリーダーズのメンバーも連れて行ったりするんですが、夏は船を出したりジェットスキーに乗ったりして、プライベートとしてすごく楽しい季節がこれから来きますね。
【ナレーター】
時代のニーズに合わせ、幅広い領域でビジネスを展開する「株式会社NEXYZ.Group」。
LED照明や空調をはじめ、環境に配慮した設備の導入支援を行う「ネクシーズZERO」。グループ全体で、タレント広告や電子雑誌、EC支援を手がけるメディア・プロモーション事業など、数多くのサービスを手がける。
創業者の近藤太香巳氏は、18歳でNTTの関連会社に入社後、19歳で独立。2004年、当時最年少での東証一部上場を実現し、現在は日本最大規模の経営者交流会の代表理事を務めるなど、次世代育成にも注力している。
「まだない常識を、次の当たり前に。」をビジョンにかかげ、圧倒的なスピードとアイデアで社会の課題解決に挑み続ける創業社長の、情熱の原点に迫る。
【ナレーター】
自社の強みは、「世の中に必要とされている」という誇りが持つエネルギーだと、近藤は語る。
【近藤】
他社ができないサービスや、やらなかったサービス、今まで常識ではなかったサービスというものを僕は設計してきました。その点に対して、当社の社員は皆、誇りを持っています。
たとえば、僕たちが行っているネクシィーズ・ゼロ事業では、これまでCO₂排出量を200万トン削減しました。人間一人あたりが1年間に排出するCO₂は9トンから10トン(※)だと言われています。
※国立研究開発法人 国立環境研究所のホームページより
https://www.nies.go.jp/gio/faq/faq5.html
ですから、計算すると、当社は20万人分のCO₂の排出量削減をしていることになるわけです。20万人といえば、僕たちの本社がある渋谷区の総人口とほぼ同じです。たとえて言えば、20万人の人々が1年間電気を使わず、息も止めているというイメージです。
「それぐらい社会貢献してるんだぞ」っていうのを社員はみんな分かっているからこそ、誇りを持っているわけです。このような「俺たちは必要とされている」という誇りが、僕は大事なのではないかと思います。
【ナレーター】
近藤のビジネスパーソンとしての歩みは、10代から始まった。18歳でNTTの関連会社に入社し、その1年後の1987年に起業。本来、数十万円するものを初期費用0円で持てるというビジネスモデルもこのときに誕生した。
【近藤】
僕は営業の世界で起業しましたが、その後、携帯電話が登場しました。当時はまだ、携帯電話には初期費用が20万円かかり、基本料金も通話料金も大変高額だったんです。それが月々2,000円で持て、さらに初期費用は要りませんというサービスを始めたところ、ブレイクしました。
その後も、これと同じ初期費用ゼロ方式のビジネスを、衛星放送のチューナー、国土交通省からの依頼をもとに手がけたETC、ソフトバンクの孫正義さんの電話がきっかけで始めた、Yahoo! BBのモデムの無料配布などで展開してきたわけです。
これらはいずれも、どちらかというと、企画はしているものの代理店的な仕組みのサービスでした。それが現在では自社完結型モデルのビジネスへと変わっています。その中にはLEDなどをはじめとする50万品目の商品が初期投資0円で設置でき、最新設備が今より安く使えるというサービスを提供しています。また、2社目の上場会社であるグループ会社、ブランジスタメディアは電子メディア事業を手がけています。
他にも、同じくグループ会社のブランジスタエールが運営する『アクセルジャパン』というサービスでは、通常、出演料が何千万円もかかるタレントに、月々40万円程度のサブスク料金で自社の広告に出てもらうことが可能です。
そのように、初期投資をかけずに良質なサービスを提供できることが僕たちの売りなんです。
【ナレーター】
その後も業績は順調に推移したが、2000年、ITバブルの崩壊により事態は急変する。
【近藤】
2000年の4月、新興市場であるマザーズの第1号として当社は上場予定でした。ところが、わずか上場2週間ほど前に、ITバブル崩壊の影響を受けて上場取り消しになってしまったのです。上場直前に取り消しになった例は20数年ぶりとのことでした。
このことは世界中で報道もされ、結果的に会社は倒産しかけるという、とても厳しい出来事でした。IRも全部終え、時価総額も決まっていたにもかかわらず起きた取り消しは、株式市場の歴史上でもなかなかありません。しかも第1号上場の取り消しということで、本当に苦しい時期でした。
【ナレーター】
倒産の危機という最大のピンチに直面した近藤に「諦める」という選択肢はなかった。
【近藤】
当時、僕らがやっていたビジネスモデルというものに対しては「社会にとって必要なことをやっているんだ」という自負や思いがありました。ですから、社員は誰も辞めませんでしたし、みんなファイティングポーズを崩さなかったんです。
そして僕は、生涯の恩師となる現・SBIホールディングスの北尾さんに15分だけお会いすることができました。その15分間で、僕がいかに世の中にとって必要なことをやっているのかという話をしたところ、たった15分にも関わらず、30億円の出資をしてくださったんです。
その30億円を元手に、2年後の2002年3月6日にナスダック・ジャパン(当時)に上場しました。
さらにその2年後の11月11日には、東京証券取引所の一部上場を果たしました。僕の誕生日は11月1日なのですが、上場した11月11日には、当時最年少で一部上場会社の社長になれたわけです。
こういったことを振り返ると、人間は“出会い”というものが大事だと思います。
【ナレーター】
「挑戦とは自分の能力の範囲内で頑張ることではなく、限界を超えること」だと語る近藤。その真意に迫った。
【近藤】
“限界突破”こそがチャレンジであり、成長の本質です。それを忘れたらベンチャースピリットなんかないと僕は思います。
そして、何のために頑張るのか、これが明確じゃないと駄目だと思うんです。僕は19歳そこそこから、若い仲間たちとずっと一緒に頑張ってきて、今、グループ全体で社員が1,000人を超えました。
ですから、僕が何のために頑張るのかといったら、僕と出会って良かったなと思ってくれる仲間の笑顔のために頑張るのだと。
仲間を笑顔にするためには、お客様を笑顔にしないといけない。そのお客様の笑顔の数が利益である。その利益が結果的に、株主やお取引先や全てのステークホルダーを笑顔にすることになる、という信念が定まっているので、頑張る理由や目的という点で僕がぶれることは一切ありません。
ですから、「何のために頑張るの?」ということは皆さんにもやはり考えていただきたいと思います。「車が10台欲しいのか?」、「お金が欲しいのか?」と。
もちろんお金は幸せのファクターのひとつですから、あった方がいいものです。しかし、お金のためでは、ピンチを乗り越えることはできません。
経営者プロフィール
氏名 | 近藤 太香巳 |
---|---|
役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1967年11月1日 |
出身地 | 大阪府 |
座右の銘 | 『挑戦は青春』 常に挑戦者であり続けたい |
愛読書 | 『編集者という病い』 ( 幻冬舎代表取締役社長 見城徹 著) |
著書 | 「夢みることから始めよう:20代のあなたへ ちょっとした「気づき」があなたを変える!」ダイヤモンド社/「リーダーは背中で語れ」アーク出版 |
「初期投資ゼロ」をサービスの基盤とするエンベデッド・ファイナンス事業、電子雑誌を中心とするメディア・プロモーション事業、日本経済の成長を加速させる企業応援プロジェクト「アクセルジャパン」など多様なビジネスを展開する。
2011年に次世代リーダー育成と経営者の地域間交流を目的とした一般社団法人パッションリーダーズを代表理事として設立し、会員数4,000名を超え日本一の団体に。ビジネスパーソンから若者まで情熱あるリーダーとして圧倒的な支持を得ている。
業界をリードする環境先進企業として2020年に環境大臣より「エコ・ファースト企業」に認定。2021年「ネクシィーズ・ゼロ Green Finance」が世界初 ムーディーズ「Aaa(sf)」、国内初R&Iグリーンローン評価も取得。
会社概要
社名 | 株式会社NEXYZ.Group |
---|---|
本社所在地 | 東京都渋谷区桜丘町20-4 ネクシーズ スクエアビル |
設立 | 1990 |
業種分類 | その他金融業 |
代表者名 |
近藤 太香巳
|
従業員数 | 1,171名 |
WEBサイト | https://www.nexyzgroup.jp/ |
事業概要 | エンベデッド・ファイナンス事業である初期投資0円の設備導入支援サービス「ネクシーズZERO」がCO₂排出削減に取組むとし、2020年環境大臣から「エコ・ファースト企業」の認定を受ける。電子雑誌やタレントプロモーション事業なども。 |