島村楽器株式会社 ~日本国内に150超の店舗と音楽教室を展開する、国内シェアトップの総合楽器店~

Vol.1 島村楽器創業の経緯

島村楽器株式会社 代表取締役会長 島村 元紹 (2015年4月取材)

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【聞き手】

本日は東京の下町の文具店からスタートして、いまや日本でナンバーワンの楽器店を経営される島村楽器の創業者、島村元紹会長にお話を伺っていきたいと思います。それでは会長、よろしくお願いいたします。

【島村】

よろしく願いします。

-島村楽器創業の経緯-

【聞き手】

お生まれは東京とのことです。

【島村】

東京の江戸川区平井。今の本社所在地と同じです。生まれてからずっとここにいます。

【聞き手】

さまざまな経験をされていらっしゃると思いますが、幼少期を振り返って、どのようなお子さんだったのでしょうか?

【島村】

中3の時かな、父が早くに亡くなりました。父はとても厳しくて、言うことを聞かないとぶっ飛ばされるくらいでして。逆に母親はすごく優しくて、とても可愛がってくれました。姉と妹しかいませんので、男の私を一番かわいがったと言っていました。姉たちが「なんで元紹ばかりかわいがるの」と文句を言っていたような記憶もあります。父は文房具屋で、母も一緒に手伝っていました。

【聞き手】

働くご両親の姿を見て、育ってこられたということですね。

【島村】

ですから、私も中学ぐらいから時々は店に出て、手伝いをしていました。

【聞き手】

お若い時にお父様を亡くされたわけですが、当時のご心情を伺ってもよろしいでしょうか?

【島村】

とにかく、母親が文房具屋をやるしかない状況でした。母は明治生まれですが、当時としては珍しく大学を出ているんです。ですから、私も大学を卒業しろと言われました。ですが、文房具屋を手伝わないとならないから、最終的に「後を継ぐから会社勤めをする必要はないのだから、卒業しなくてもいいよね」ということになって、3年で中退したわけです。早稲田の政経でしたけど。ですから、後を継いだのは義務感からですね。

【聞き手】

その時、他の選択肢はなかったということでしょうか?

【島村】

ありません。母親が一人で苦労しているのを見ていて、私は母が大好きでしたから、それを助けるという意味で手伝いました。本心から自分がこの商売をやろうという意志はなかったわけですよ。もちろん、それなりの商売はしていましたが、文房具屋という商売が将来的にどうなるのか、不安も多少ありましたし、義務でやっているだけで、本当の本気にはなっていなかった。でも、義務と本気とでは、全然パワーが違うわけですよ。

案の定、そのうち「仕事が楽しくなければ、人生は楽しくないんだ」と思うようになりまして。YAMAHAさんから音楽教室をやりませんかと声をかけていただいたのは、その頃です。私は音楽が好きでしたので、好きなことが仕事になれば、これほどいいことはないと思い決断しました。ところが、祖母が猛反対しましてね。余計なことをするなというのです。

でも、その反対を押しきって、音楽教室をスタートさせました。ただ、やった以上は成功しないと「やっぱり駄目だったじゃないか」と言われてしまい。それは不本意ですから、本気になって、生徒を募集をしましたよ。その結果、YAMAHAさんが期待した3倍の生徒を集められたその時ですね。本当に本気でやったら結果が出るんだと初めて感じたのは。それから、仕事というのは面白いんだと思うようになりました。

【聞き手】

そうだったのですね。しかし、当時は文具店だったわけで、音楽教室とか楽器を売るとか、そういうノウハウは全くお持ちでなかったと思います。そのあたりで、躊躇とか怖さというものはなかったのでしょうか?

【島村】

怖さとかはあまり感じませんでしたね。

【聞き手】

失敗したらどうしようとか、お考えにはならなかったと。

【島村】

全然考えなかったわけではありませんが、最初から絶対に成功させるという意欲がありました。やるしかない、本気でやれば必ず結果が出るというのは、最初の生徒募集で実感していましたから。それでやる気になったというわけです。

【聞き手】

すると、順調にスタートされたという感覚でしょうか?

【島村】

順調じゃないですよ。苦労はしました。音楽教室をやっていると、生徒さんがやめていくケースもありましたから。その頃です、教室の先生方が「生徒さんが家で練習するには楽器が必要だから、楽器も売らないといけませんよ」とアドバイスしてくれて、それで楽器の販売を始めたんです。我々は普通の楽器屋とは違います。普通の楽器屋は、楽器を売るという目的のための手段として、教室を開きます。それに対し、我々は生徒さんに音楽教室を継続してもらうという目的のために、楽器を売ったわけです。いわゆるソフト主導型の楽器店ですね。これは日本でも我々だけではないかと思います。

【聞き手】

確かに、そういう入り方をしているところは、ほとんどないと思います。

【島村】

音楽教室というのは、音楽を楽しむという意味では一番大切な仕事ですから、「教室に入ってよかった」とお客さんが喜んでくれることが、本当にうれしかったですよ。仕事がお客様のお役に立っているということですからね。

社長プロフィール

President's profile
氏名 島村 元紹
役職 代表取締役会長

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