島村楽器株式会社 ~個人文具店から日本一の楽器屋に。業界の慣習に対抗し続けた半生~

Vol.2 仕事への考え方

島村楽器株式会社 代表取締役会長 島村 元紹 (2015年4月取材)

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-仕事への考え方-

【聞き手】

「モノ」を売るのではなくて、「コト」を売るに当たっての信念というわけですね。それが御社の成長の要因なのだと思います。

【島村】

やっぱりそうでしょうね。「コト」を売るというか、ソフト主導型でしょうか。平井の駅前にライトミュージックの店をオープンした時も、そこを理解できない人からは「あんな場所で出店しても、すぐにつぶれる」と言われたものです。

【聞き手】

相当にバッシングを受けたそうですね。

【島村】

ええ。1、2年でつぶれると言われました。それがYAMAHAさんの耳に入って、あちらもライトミュージックに進出したから、うちでイベントをやりなさいと言ってくれました。そこで、YAMAHAさんの協力で、プロのミュージシャンのイベントをうちのスタジオで月に2回ぐらい開催したんですが、そのイベントの告知によって、お客さんが来店してくれるようになったんです。最初の1年は確かに厳しかったですが、2年目ぐらいから軌道に乗って、3年目からちゃんと収益が上がるようになって、売り上げも伸びました。このイベント開催を通じて、音楽の世界というのは基本的に、すなわち音楽そのものが中心で、そのために必要な道具として、楽器を買うのだと痛感しました。

最初に音楽教室をやった時もそうでしたが、我々の経営理念としては、音楽を楽しむ人を1人でも増やすというのが基本です。私自身、金もうけが目的という感覚は全くありませんでした。自分がやりたいことをやっていく、そのためにこの仕事を始めたのだと思って。他にも、例えば銀行さんは我が社がある程度の規模になった時、株式を公開しませんかと提案されたことがあります。でも、私は金をもうけるためにこの仕事をしているわけではないので、公開する気はないと答えました。

お客様のために仕事をする。お客様に喜んでいただく。この仕事をやっていると、生徒さんの父兄から「うちの子供が音楽を習って、音楽を好きになりました。ありがとうございます」と言われることが多いんですね。小売業をやっていた時は、私がお客様にありがとうございますと言っていたのですから。ところがこの仕事を始めたらそれが逆になった。商売をしている側がありがとうと言われるんですから、こんな素敵な商売はないと思いましたよ。

【聞き手】

でも同時の業界からするとだいぶ破天荒というか、業界の革命児だったと思いますが。

【島村】

そういうわけで、私はお客様を見て仕事をしています。メーカーを見て、ではありません。だから、確かに島村はイノベーターだとか、生意気だとか、そういう反発はありました。一番大きかったのは、地方に出店した時です。猛烈な反発を食らいました。

【聞き手】

業界自体が内向きというか、暗黙の了解の世界なのでしょうか?

【島村】

自分たちの地盤を守り合うという業界ですね。どこが規制していたというわけじゃないんですが。また、メーカーもそれを維持したい。そこで、我が社が地方にパルコに出店した時は大変なことが起きました。

【聞き手】

商品が入って来ないなど、色々あったと伺っています。そうやって、業界の中で闘ってこられた歴史があるわけですね。

【島村】

私はある意味で、自分がやっていることを妨害する、反対する人があると、逆に元気になるんです。そこを超えてやろうという感じで。

【聞き手】

それが奮起の原動力になるのですね。

【島村】

私は創業者です。最初から上司もいませんから、自分で考えたこと、好きなことをどんどんやります。お客様に喜んでいただく仕事をするという信念がありますから、第三者とか、取引先から言われたことは気にしませんでしたね。業界がどんどん変わってきて、お客様も変化しました。その中でわかったのは、お客様に評価されることが一番大事だという事実です。メーカーを見るのではなく、お客様の方を見て仕事をするというのは、文具店の時代から変わりありません。

社長プロフィール

President's profile
氏名 島村 元紹
役職 代表取締役会長

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