インタビュー内容
今後の展望
【聞き手】
100年続く会社を作るために何か新しいこと。こういうことをやってみたいなと思うことはなにかありますか。比較的事業は意図的に変えないというか、大きく変わらなかったんですけど。
【戸上】
ほとんど変わらないと思います。もちろん+αで環境関係をやったりですとか。けいそうき関係ですとか、そういうものもやってますしそういうものも着実になってはいますが、今はインフラ部分を十分海外その他で必要のしている所はたくさんあるんですよ。そういうところにすべて行きわたってしまえば当然次のことを考えないといけない。ただまだまだやることはたくさんあるのではないかなと私自身は思っています。ですから、変に新しい物を、もちろん追い求めます。追い求めますけども、失敗してもいいくらいで追い求めます。ただ本業としてはいまの本業に裾野というかまわり、市場として周りを広げるのと、今の商品の周りを広げると、これがですね、まだまだたくさんあるのではないかなと私自身思います。
【聞き手】
御社の事業も十分に、特に発展途上国とか、そういった所にたくさん出ていけると思うんですけども。その辺を広げて行きたい。
【戸上】
これはですね、簡単にはいかない。幸いにして今は円安ですので、それは追い風になっていますけど。意外にですね。国内もまだまだ機能を追加したものが新しくかわるということがあるんですね。ちょうど、昔入れたものが相当古くなってますので、それを新しく入れると同時に新しい機能を追加していくというのが今の流れです。ですから、最近ですと先ほど太陽光の話をされましたけど、電源が分散化されますとね。色んな面で不具合が出てくる可能性がたかくなります。その時にですね。例えば電圧ですとか、電流を絶えず見るものが必要になるそういう時に私共の最近のスイッチというものは、センサーが内蔵しておりますので、そこで個別に見れるようになっています。そういうものが売れたりしています。 昔みたいに発電所からまっすぐくるだけですと。変圧も少ないですし、非常にシンプルに管理すればよかったんですけど。最近は色んなところに電源ができてしまったと。個別の発電所も出来ましたし、あとは例えば太陽光、色々なものがありますので、それが例えば絶えず発電していれば、いいですけど、急に雨が降って発電が泊るということもありますので、しういう変圧等の変化がおこった時に、問題の無いようにしていかないといけない。そういう時に私共が役に立っているかもしれないですね。だから最近売れているのかもしれない。
【聞き手】
ここ数年の業績が右肩上がに伸びていらっしゃって、やっぱり時代の変化に御社の技術が求められているというのもあるんですね。
【戸上】
物をつくっているのは非常いいと思いますね。メーカーというか本当にものをつくっているところですね。ですから、私共だけじゃなくて、地元でもものを作っているところは、もう1回脚光を浴びている感じがします。ものを作らなくなってきたんですね。例えば、建設でもそうですよね。建設でもものを作るんです。ああいうところでも、今は高騰していますよね。資材だけでなくて、人手が足りないでしょ。で、これから先もそういう時代はきますよね。なぜかというと団塊の世代がごっそり抜けますよね。その時にその人たちがやっていた仕事分の仕事がだれがやるかなんですよね。非常に困った問題が出てきます。
【聞き手】
しかもこれからどんどん若い人の数が減って行くと日本は人手じゃなくて知的労働というか、こっちで勝負していかないと国として、成長の余地がないという。
【戸上】
そうなんですけど、昔はよくそう言われたんです。ただ頭だけでは成り立たないんです。例えば頭だけあって、それでパソコンがたたけて、パソコンは海外から買ってくればいいかもしれませんが。ただそれには電源がいりますよね。電気工事はだれがするのと、例えばエアコンは日本製じゃなくてもいいかもしれない。エアコンはだれが取り付けるの。
【聞き手】
確かに本当にそうですね。
【戸上】
頭では取り付けられないんですよ。頭で取り付けたことにしようと言っても、涼しくはならない。実際に取り付けなきゃいけないでしょ。そうすると現業をやる人が減っていることは結構問題じゃないかなと。私共も今年のテーマに上げているのが、私共の物だけは、社員なら取り付けられるようにしようと。
【聞き手】
全員の方が。
【戸上】
全員と言うわけにはいかない。ある程度年齢が高い方は、簡単にいかないかもしれませんが、ある程度の若い人間は全員が取り付けられるようにしたいと、そういう訓練をしようと。つまり大学を出ていようが大学院をでていようが。作業服を着て取り付けられないとだめだと。
100年企業を目指して
【戸上】
最終的には、どんな人がいいと言われたら、こうずるいかもしれませんが会社を好きになってくれる人。愛社精神と言うものはね。かなりの部分のカバーしてくれるんですよ。やっぱり会社を好きになってくれる人が来てくれればいいと思います。
【聞き手】
でも愛社精神を持たせるために、先ほどおっしゃっていたようなたくさんのチャンスを与えて、人で見るということをずっとやりつづけられるということですね。
【戸上】
そうですね。
【聞き手】
ちなみに社長から見た御社の社風を一言でいうとどんな感じですか。
【戸上】
おっとりしているとおもいますね。ただ、たぶんですね。まとまりはあると思います。
【聞き手】
みなさん団結力がある。
【戸上】
多分あると思います。それを絶えず刺激していかないといけないですね。
【聞き手】
これからのまた10年、いわゆる100年目の会社作りと言うのに向けて、これからやって行く中で、これは絶対に外せないというものはありますか。
【戸上】
採用でいうとですね。できるだけ同じ人数を長く取るということが重要だと思います。これは悪い時もいい時もあります。ただ悪い時に採らないよりは、いい時にたくさん採って悪い時に採らないよりはですね。絶えず同じだけ採ると。ですから、いい時でもずっと採用数は変わっていないんです。そういう点でいうと、それは変えない。
【聞き手】
今は大体どれくらい採られているんですか。
【戸上】
10数名です。
【聞き手】
それは新卒。
【戸上】
新卒です。中途も採ります。
【聞き手】
中途はやっぱり同じような業界。同じような業界と言っても、あまり。
【戸上】
あまり業界にはこだわらないです。
【聞き手】
技術者でうんぬんというよりは。
【戸上】
だけじゃないです。旅行会社からきたのもいます。
【聞き手】
それはすごいですね。
【戸上】
ただかなり若いときに来ていますけどね。20代で来て、今は管理本部長は役員ですけど。旅行会社にいましたよ。後役員でいうと2人くらいそうですね。考えてみると私もそうですね。あととにかくものつくりをしっかりしていくこと。これが重要じゃないかと思いますね。結構ものつくりって奥が深いとおもいますね。恥ずかしいですけど、本当にまだまだの部分がたくさんってそこを1つ1つ直していくところに楽しみがある。ですから、一般的にですね。さっき言った10年後どうしてますかっていうような話、もちろんこれは作っていくんですけど。絵に描いたもちはいらないと。私はいつも思っています。ですから、よく中継というのはよくっていました。でも数字から入っちゃうんですよね。これがぐらいまで伸ばしたいと、後追いでなにをやろうみたいな。何にもならないですね。私が今やっていうのは変な話ですけど。問題点や課題がいろんな所にあるんです。課題をつまみあげて、それを私もはいっていいまですと。4テーマか5テーマありまして、それを改善していく、直していく。というのが中継なんです。それをなおすとどうなるか。売り上げが増えるんじゃなくて利益が増えるんです。
【聞き手】
売り上げももちろんそうかもしれないですけど。まずはそうですよね。無駄をはぶいて。
【戸上】
マイナスの部分を減らす。原価率が悪い物を良くするとか。そういう当たり前のものを当たり前に中継としてやっていく。つまりそういうことかというと。ちゃんとコミットメントしてやると。いうことの方が重要だと思う。例えばこれいだけかけてもうまくいかない。でも、その中に入ってここまでこうしました、ああしましたというのを3ヶ月おきぐらいに、ずっと説明聞いて、こっちも言いたいことを言う。そうすると向こうも気合が入ってやりますよね。そうするといつのまにかうまなっていく。で、これが例えばこれが絵に描いたものばかり見せつけられてもですね。結果がでるのが何年後というそれはあんまり意味がないですよね。ただそれはあくまでもそのやり方で、これからは+α、将来の夢的なものも中に入れるんですけど。これはマイナス面を、マイナスからプラスに引き上げるんじゃなくて、ゼロをプラスにしていくというようなものもですね。ちょっと考えて行きたいなと。
視聴者へのメッセージ
【聞き手】
今回このご登場いただきますVTRは、それこそ今就職活動をおこなっている学生さんであるとか、今いわゆる都心で働いていて、地元の優良企業に戻ってきたいという方とかいろんな方が見ていると思うんですね。そういった方々にぜひ社長からメッセージを、御社に興味があって御社に入社をしたいなと思ってらっしゃる方に対するメッセージと言うことで、話を。
【戸上】
今はですね、ほとんどがネットで申し込むようなエントリーシートですね。そうなっていますけど。もし興味があられたらですね。佐賀が地元で、一回きてみたいというのがあれば気楽に来ていただければなと。大してですね。堅い会社でじゃございませんので、見るだけでも古い建屋ばかりですので。ぜひ一見は百聞にしかずということもありますし、ぜひ来て頂ければと思います。たぶん受付に来て頂いた雰囲気だけでも、あと応対してきた人の雰囲気だけでも会社の雰囲気は伝わるのではないかと。
【聞き手】
そうですね。本当に建物、敷地を見学するだけでも御社の歴史と社風が感じられると思いますんで、ぜひ見に来て頂きたいというところですね。これからも本当に、まずは10年後の100年目の状態、それから先の200年300年と続く会社を作って行かれることを本当に心から期待をさせて頂いて、終了させていただきたいと思います。本当に本日はありがとうございました。
【戸上】
ありがとうございました。
社史とマネジメント
【戸上】
うちのおじいちゃんは間違いなく発明家ですので、ただ明るいんですよね。非常にいつもにこにこ笑って。
【聞き手】
先ほど映像で拝見しましたけど本当にそんな感じでした。
【戸上】
そうなんです。あの時代の人っていうのは、あまり笑わないんですよね。特に明治生まれの人ってちょっと厳しい顔をしている人が多いんですが、笑顔が多かったと。うちの父はですね。口下手なんですよ。口下手なんだけども実をいうと社史がありましてね。私はその社史を愛読しているんですが、そういうのを作ったのがうちの父なんです。非常に不器用そうに見えて、そういうデータをちょこちょこ蓄積してですね。そういうのをつくるのがすきだったと思いますね。
【聞き手】
今はお話に出ましたんで、社長が色々な場面でそれこそ経営の参考にされたりってことろで使ってらっしゃる御社の社史ですね。
【戸上】
経営の参考と言うか、実をいうと愛読書がビジョナリーカンパニーであります。あれもそうなんですけども実証的に見てどうなのかって言うのが書いてあるんですけど、これもですね。昔の歴史が、会社の歴史がはっきりわかるようになっているので、そういう点でいうと、こういう歴史の時にこうだったと、非常に参考に出来るかどうかわかりませんが、参考になるかもしれないなと。
【聞き手】
通常の会社の社史というのは、どちらかと言うと事実が羅列されているというか、何年にこういったことが起こったというようなことがただただ羅列されていることが多いんですが、こちらは歴史的な背景もそうですし、その当時の経営者の心情といいますか、こういうことが起きた時にどう感じたかっていうこともすごく書いてある。
【戸上】
そうですね。ある意味感情がはいっているんですね。私は非常に優れいている社史だなと。実をいうと会社の社史を作るに当たってですね。編集して頂く方にこれを見せたことがあるんですけど、これは素晴らしい社史だと。これを踏襲するべきだというんですけど、これを作るのに大変だった。これは実を言うと戦前と戦中くらいまでなんです。戦後ちょっと書いてあるだけなんです。ところがその戦後を作ろうとすると、大変です、これだけの資料を集めようとすると。今では大したことはないけど、50年後にはこんなことがあったんだということを残すのが歴史ですよね。
【聞き手】
本当に事実がつぶさに記録されていてすごく面白いなと思って。
【戸上】
特にですね。戦中とか戦前の話は、どちらかと言うとカットされやすいんですね。で、また戦前、戦中にあった会社が戦後になくっているということもあるので。そう思うと貴重な資料じゃないかと思いますね。
【聞き手】
とても面白く拝見させて頂きましたが、ぜひずっと継承されて。
【戸上】
続けてらればいいですけど。
【聞き手】
経営者のタイプでいいますと。ご自身は経営者だとどういうタイプだと。
【戸上】
以前はどちらかというといちいち気を使っていた、気にしていたんですけど、今は信頼することが一番じゃないかと。後は本当に頑張った人が報われると。それが一番だと思います。ですから、そこの部分についてははっきりと私も見たいし、私のすぐ下の人間にも見てもらいたい。それだけです。へたに学歴遍重にならないように、大学出た人間より、高校を出た人間の方がすばらしかったりするんです。ですから私の場合は、そういうもので差は一切つけません。時期によっては高卒の方のほうがその年の管理職になった人数が多くなった年もあります。
【聞き手】
本当に人物を見て、実力で戦う会社。
【戸上】
実力というのは努力。経験値といってもいいのかもしれませんけど。やっぱりその分の努力が報われるという形にしないと、会社と不平不満があっては意味がありません。ですから90周年も、今年も私のスローガンはとにかく一体化するということ。これが一つのスローガンになっているんですけど。一体化するためには、不平不満ができるだけ少ない方向に持っていかないといけないですよね。
【聞き手】
不平不満を少なくするために、これって心掛けてやっていることはありますか。
【戸上】
さっき言った人事関係でいいますと。学歴偏重にならない、あとはエコひいきとかもちろん無いように。特に年功序列とか、年功序列の要素と言うのは、ゼロでは無いかもしれませんけど、全くそれを否定すると問題が出てきます。でも、年功序列だけではない。
【聞き手】
いろんなチャンスをこれからの若い人にもどんどん与えて行くっていう。
【戸上】
不平不満の無い会社、組織と言うのは無いんです。ただし、その比率を少なくするのは出来るかもしれない。
ものつくりへのこだわりと訪れた転機。
【聞き手】
大学の学部は文系で、経済学部でらっしゃったのにいわゆるメーカーさんものつくりをされてらっしゃる。
【戸上】
それは昔からものを作っている頃に入りたいなとは思っていましたんで。サービス業よりはそういうものがいい。金融業も含めて。ものを作っているというのは、作ったものに誇りを持てるような物ってありますよね。ただ最近はテレビでもなんでもコモディティ化していて、どこが作って同じような感じになっていましたけど。昔はやはりそうでなくて、例えばここのがいいとか。洗濯機ならここだとか。冷蔵庫がどれだとか。そういう物によって違いましたよね。
【聞き手】
企業のブランド色というか、そういうのが投影されているというのはありましたよね。ソニーはデザインがずば抜けていいとか。
【戸上】
特殊技術がありましたよね。ただ最近はどこで作っても早い話がどこの国で作っても同じとなってしまったので。特色がないのはさびしいなと。幸いにして私共のようなじゅうでんに近いものは大量にはけるものは無いですから。そういう点でいうと1つ1つ違う気はしますよね。じゅうでんというのはそういう点でいうと、今はいって良かったなと思います。ですから、どちらかというとものつくりの原点に近いという気がします。
【聞き手】
社長も、30の時に沖電気さんからこちらの実家の事業を継ぐというか。継ぐというか、その時はお父様から戻ってこないかというか、入らないかと誘われて。その時にそうしようと決断をされたきっかけというのは。
【戸上】
特にないんですよね。そのこれがっていう大きな物は無い。
【聞き手】
逆にどこか潜在的にいずれそうなるんじゃないかというのは今振り返ってみるとあったんですかね。
【戸上】
普通に前の会社で会社生活を送る中で、なんとなく出てきたというかですね。やはり学生時代と会社に入ってからというのは、かなり違いますよね。物の見方が、学生時代はある意味とんがっているんですね。会社にはいると丸くなりますよね。その辺があるんじゃないかと。逆に言うと、若い時から丸くなっていたらこれはこれでもんだいがあると思いますよね。多少とんがっている位の方が。来て頂く方でもそうですよね。
【聞き手】
でも沖電気の大手企業の在職中は営業はもちろんですけど、人事も経験されてらっしゃるんで、そういう意味では組織のマネジメントとかそういった物も色々勉強して経験も持って帰られたって感じですか。
【戸上】
あのですね、そういう面でいうとそういう経験は少ないです。経験は少ないんですけど、ただね。私個人的に言わせてもらうと、なんだかんだ言っても人の繋がり、人とのコミュニケーションでいかに多くの人とたくさん話すか。これが、人の力を決めるのではないかと言う気がしますので。そういう点でいうと、沖電気の人事にいた時に色んな方と会話出来たので、それはよかったかなと。今だにそれは続いてますしね。
【聞き手】
そうですね。人脈と言うか。それは本当に幅広い人脈を持たせて頂いたので、これは色んな方に言えるのではないかと。やっぱり自分が行くか、または人が集まってくるか、どっちでもいいんですけど。とにかくコミュニケーションが取れる量じゃないかと思いますね。
ナレーション
国内シェアトップの製品を有し、世界のインフラを支える100年企業「株式会社戸上電機製作所」。
九州・佐賀県に本社を構え、電力システムの開閉器(スイッチ)や水質浄化設備など、社会インフラを支える多彩な製品を世に送り出す。また、2024年7月には、本社屋である「戸上電機製作所本館」が、国の登録有形文化財に登録され、歴史的な建造物としても評価されている。
今後は、次の100年を見据えて、アメリカを中心に海外展開を強化していく方針だという。
経営者が語る、グローバルで躍動する組織のあり方とは。
【ナレーター】
自社の強みについて、戸上は次のように語る。
【戸上】
弊社の強みは、内製化率が高いことです。昔は内製化率が高いと、価格競争力がありませんでした。「団塊の世代」が現役だった時代は、彼らが下請けを支えていて、人件費がとても安価だったからです。
ところが、「団塊の世代」の人たちが抜けて、今の日本は生まれてくる人が70万人ぐらいで、労働人口が減少しますから、そうなってくると中で作れる会社の方が強くなります。中で作ろうとする会社は、生産性を上げるための工夫をしますから。
現在、溶接工は全国的に非常に不足していますが、戸上電機グループの戸上メタリックスには、溶接工だけで80名ほどいます。これほどの職人を確保できている理由は、工業高校に溶接を教えに行っているからです。そこで興味を持って、溶接の仕事に就く方もいます。
溶接現場は昔、屋外の気温が32〜33度でも、屋内は40度になるような、厳しい環境だったんです。ところが、今は大きな室外機を置いて、空調ダクトを引いているので、湿度も温度も下げられるようになりました。以前に比べると、はるかに快適になっています。仕事の環境は、いろいろ気を遣わなきゃいけません。
溶接現場が快適な職場になると、人がちゃんと入ってくれます。最近は、女子トイレもきれいにしました。やはり油で汚れるような作業ですから、そういうことも重要だと思っています。
今は社員からのクレームが本当に減りました。ものづくりは経験の積み重ねで、いろいろなミスの積み重ねがあってこそ良いものができるのです。
ただ、そのミスを会社がしっかり把握できていないといけません。そうしないと、会社としては問題がありますよね。ミスを放置していたらダメだし、そのミスをオープンにしなきゃダメだし、みんなで共有してなきゃダメ。そうしていれば、ミスも起こらないと思います。
【ナレーター】
戸上は、大手情報機器メーカーからキャリアをスタートし、29歳で戸上電機製作所へ入社。その後、順調にキャリアを重ね、1993年4月に代表取締役社長に就任した。現在の戸上電機製作所の特長のひとつである「自分たちでつくれないか」という文化は、この頃から根づき始めたという。
【戸上】
たとえば、生産管理システムなど、大手のソフト会社に頼んでいたものを、「自社で開発できる」と内製化しました。社員も社内で作る気満々で、それを抑えるのが難しいほどなので、会社としては非常に喜ばしいことです。
ただし、内製化するときに、費用を抑えようとしたらダメなんですよね。しっかり投資をして成功に結びつける必要がある。やはり成功体験は非常に大きい糧になりますから。会社も一皮むけると思います。
大阪・関西万博では、九州大学が考えた、二酸化炭素からエチレンやメタン、メタノールなどの有用なガスを発生させるシステムに使う機材の製造のお手伝いをさせていただきました。それも弊社の変化の一つです。
何をどうつくるかじゃなく、つくれるものをつくっている。そうすると、今までつくったこともないような製品もつくれてしまうかもしれない。そこが弊社のいいところだと、社員みんなが思っています。
大切なのは、とにかく背中を押して、足を引っ張らないこと。そうすると、いつの間にか、後ろを振り向いていた人が、振り向かずに勢いよく歩いていくようになりますから。そうすると、その人はもう変わっているのです。

経営者プロフィール

氏名 | 戸上 信一 |
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役職 | 代表取締役社長 社長執行役員 |
生年月日 | 1956年4月10日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 精神一到何事か成らざらん |
尊敬する人物 | 戸上信文(株式会社戸上電機製作所 創業者) |
会社概要
社名 | 株式会社戸上電機製作所 |
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本社所在地 | 佐賀県佐賀市大財北町1番1号 |
設立 | 1925 |
業種分類 | 電気機器 |
代表者名 |
戸上 信一
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従業員数 | 1,083名(連結) 441名(単体)(2024年3月末現在) |
WEBサイト | https://www.togami-elec.co.jp/ |
事業概要 | 電気機械器具製造業 |