Vol.4 求める人物像と経営者として必要な要素
―求める人物像と経営者として必要な要素―
【聞き手】
御社が人を採用される時、まず何を一番重視して見られますか。
【木谷】
中途だと専門性などを当然見ますが、新卒に限って言えばパッションですね。パッション第一ですね。
【聞き手】
御社へ入社される方って、こういうものがとにかく好きなオタクな人だったり、何かひたすらつくるために技術が必要だったり、特定の人しかいないのではないかというイメージですが。
【木谷】
そんなことはないですよ。
まずざっくり、カードゲーム中心の会社なので、カードゲーム好きは3割くらいいてほしいです。残り3割はオタク、残り4割は特段オタク趣味じゃない普通の人というので採用しています。
会社自体のバランスが取れないですよね。普通の人ばかりでもだめだし、カードゲーム好きだけでも会社は成り立たないですから。要はバランスの問題だと思います。
特にやはり重視しているのは、0から1をつくれる人ですね。これはもう持って生まれたものです。持って生まれたパッションとセンスなんで、新しく会社をつくるようなものなんですよ。皆が皆、経営者になれるといったらそういうものじゃないじゃないですか。500人に1人くらいしかいないですよ。
【聞き手】
そういう人がいれば、0から1をつくるための環境というか、やらせるということでしょうか。
【木谷】
本人も分かってないです。私がつくれると思ったのは38歳のときですから。分かっていないんです本人も。私も分からなかったですし。
ただ、私は分かるわけですよ。「こいつはできる」と。だからそういう人をそれとなく、周りに気づかれないように育てます。
【聞き手】
一番失敗しないために、経験したからこそ、これは絶対やらないようにしようということはありますか。
もしくはこれは絶対にやろう、とか。
【木谷】
やはりまず数字の見方ですよね。
【聞き手】
何の数字の見方でしょう。
【木谷】
例えば最初、大変な目に遭うまでは、売り上げとコストと利益、プラス在庫、これくらいしか見ていないわけです。
今は、粗利率とか総利益とかとても気にしますね。それとコストとのバランスを気にしますね。
【聞き手】
そこはやはり経営する上で、絶対に注意してみていなければいけない。
【木谷】
ある意味、売り上げは分かりやすいので最初に来てしまうんですが、あまり意味はないんですよね。売り上げがあるから他のものがあるんですが、やはり総利益というのが一番大事かなと思いますね。だからだんだん、売り上げと総利益を同じように見るようになってきました。
その中から、どれくらいのコストを使ってビジネスしていますかっていう話じゃないですか。余ったものが利益なわけですよね。それをまたバランスがいいかを見るために在庫を見たり、それ以外の資産の項目を見たりして。結局PLの一部しか見ていなかったというわけですね。
今はしっかりB/Sを見て、少し重くなってきたら、じゃあ削ろうか、落としちゃおうかとか、償却とか色々なものを見るようになりましたよ。数字面をちゃんと多角的に見れるようになったし見るようになりました。
それと人材マネジメントですよね。これは年齢が上がってこないと難しいですが「人を褒める」「人を叱る」ことのバランスですね。褒めることはちょっとしたことで良いんですよ。例えば、デザイナーの方に対してだったら「このデザインいいじゃん」と、こんな感じでいいんです。言われたほうは嬉しいはずですよ。
後は叱りすぎた時のフォローですね。「ちょっとあれは言いすぎた、ごめん」という一言が、上の立場の人は中々言えないんですよね。これは若い人だと難しいですね。
【聞き手】
若い時はそういうのを見ることは難しかったですか。
【木谷】
難しかったですね。だんだんできるようになりました。
部下に対して「お前のおかげだよ」というのを素直にわざとらしくなく言う。本当に思っている時だけでいいと思うんです。ただ、言えるようになるとのはやはり経験だと思うんです。
【聞き手】
会議室にいて常にこう高いところから指示される方と、ご自身が一番率先して動いていらっしゃっている人など、経営者も色々タイプがいらっしゃると思いますが。
【木谷】
私は会議室で数字だけを見て経営するとかはまずしないですね。
先ほどシンガポールにある店舗20店舗回っていると言ったじゃないですか。当然行ったら、売り上げはどうですか、「Haw about day now card games sales?」って聞くと、「slow down」「slow down」「slow down」と3店舗で連続して言われると滅入ってきますよね。
そうすると次は何を持っていったらもっと話を聞いてくれるかな、相手のためになるかなと思って、次に回る時に、販促ボタンつくるとか日本から販促品取り寄せようとなっていくわけですよ。
会議室にいてもそうならないんですよ。だからやはりお客様のところに行って、打たれることが大事ですね。
【聞き手】
最近の若い人は、失敗して怒られるのが嫌だから言われたことをとりあえずやっておこうと思う方も結構多いらしいですね。
【木谷】
それはだめですよね。失敗も成功もするから成長するのであって、失敗を恐れていたら何も成長しないですよね。失敗を恐れていたら成功だってしないですよ。
若い人は怒られる、叱られることを極端に恐れますよね。それは叱られた経験があまりないからだと思いますよ。持って生まれたものはなかなか人間変わらないですよ。環境によってももちろん変わるんですけども、それで変わるのは22歳位までですよね。
社会に出てしまったら、そんなに変わらない。慣れるということはあるんですが、育つことはなかなかないかなと思います。ただ組織全体でパッションが高いほうに動くということはあると思うんですよ。
社内に活気が出てきて、ワッという感じで。皆でずれるということはあると思うんですが一人だけいってしまうということはあまりないですよね。
どんどん組織全体を活性化させる。あとはリーダーシップのある人間を何人も入れて引っ張れる組織にしないといけないと思います。
経営者プロフィール
氏名 | 木谷 高明 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社ブシロード |
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本社所在地 | 東京都中野区中央1-38-1 住友中野坂上ビル |
設立 | 2007 |
業種分類 | その他の製造業 |
代表者名 |
木谷 高明
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従業員数 | 590名 |
WEBサイト | http://bushiroad.com/ |
事業概要 | TCG・デジタルゲーム・MDの企画・開発・発売、マンガ・アニメの企画・制作・プロデュース業務、広告代理店業務、声優事務所の運営、音楽コンテンツ・プロレス興行の企画・制作 |