株式会社ブシロード 発売半年で売り上げ枚数6億枚。カードゲームから始まった快進撃の全容 株式会社ブシロード 代表取締役社長 木谷 高明  (2015年10月取材)

Vol.2 ブシロード誕生秘話

インタビュー内容

―ブシロード誕生秘話―

【聞き手】

証券マンとしてこのまま過ごすのではなく、別の道を歩みたいなというふうに思い始められたのはいつ頃なのでしょうか。

【木谷】

元から私は会社をつくりたかったんですよね。それで、証券マンになったのもあります。色々勉強になるだろうなと思って。ですので、どちらかというと証券マンが嫌だったわけではないですね。やってみたかったんです。

証券マンの仕事は面白かったです。色々な部署も経験できたし、非常に会社にはよくしてもらったなと思っていて。でもやはりどうしても自分でやりたいなと思うところが勝っちゃったという感じでしょうか。小学校5年か4年か、忘れたんですが、将来の夢に「大会社の社長」と書いているんですね。

組織をつくるのが好きなんですね。ゼロから組織をつくって伸ばしていくというこの角度がとても好きですね。

【聞き手】

昔からそういうのが好きで、やるのであれば今しかないというところで。

【木谷】

歴史ドラマでもコミックでも色々ありますけど、仲間がだんだん増えていくストーリーってあるじゃないですか。ああいうストーリーが大好きですね。1人、2人から始まって、最終的に仲間が10人くらいになっていくような、ああいうストーリーがとても好きですね。

【聞き手】

実際に辞めて、起業するぞという時には、やりたいことというかこのビジネスで行こうというふうに決めていらっしゃったところがありましたか。

【木谷】

辞める半年前くらいですね。こちらの方向でと思ったのは。

【聞き手】

ようやく方向性が固まってという。

【木谷】

固まってというよりは、勝算があるわけでもないですし、何も知らないジャンルですし、今はこういった商品なんて、それっぽくなっていますが、前の会社の最初はも同人誌の即売などそういうのから始めてますからね。

【聞き手】

同人誌の即売会場に行かれて、そこで黒山の人だかりを見て、こんなに人が集まるんだったら何かできるんじゃないかと思われたと。

【木谷】

例えば、この本は650円でこれだけの厚さじゃないですか。同人誌って、これくらいの厚さで1000円くらいなんですよね。これを買う人がいるわけですよ。それが付加価値だと思ったんです。で、皆商売って付加価値の低いものを選ぶんですね。付加価値の低いものというのは一般的なものですよ。

例えば、言ってしまっていいのか分からないですが、コンビニのオーナーになるのは付加価値は低いじゃないですか。でも人に説明するのは簡単。ですから脱サラしてコンビニのオーナーになるぞって、僕からするとそれはサラリーマンじゃなくなるかもしれないですが、独立じゃないんですね。

ですので、その付加価値の高さを魅力として感じたんですね。こういうのを買う人がいるんだと。

【聞き手】

それをビジネスとしてやっていこうということで、始められたのが、ブロッコリー」という会社ですね。

【木谷】

とりあえずやってみようと思ったんです。それをずっと続けていくとかそういうことではなくて、それをやってみたら何か分かることがあるんじゃないかなと。

【聞き手】

それで以前、最初に始められた会社から離れることになって、その時のご心境として、よし、もう一度自分でまた新たに立ち上げてやるぞというふうな、そういうお気持ちだったんですか。

【木谷】

離れることになった瞬間は、自分のつくった会社を離れるんだと半分は寂しかったですね。半分は「もう1回できる。ラッキー」と思いましたね。

要するにもう1回広いキャンバスに絵を描けるということですよね。すでに描いてあったら、その上を直すくらいしかできないじゃないですか。それよりも、もう一度白いところから描いたほうが良い絵が描けるんじゃないかと思いましたね。前向きに考えるほうなので。

【木谷】

要するにもう1回広いキャンバスに絵を描けるということですよね。すでに描いてあったら、その上を直すくらいしかできないじゃないですか。それよりも、もう一度白いところから描いたほうが良い絵が描けるんじゃないかと思いましたね。前向きに考えるほうなので。

【聞き手】

ブシロードを立ち上げるとなった時に、どういう会社をつくりたいという構想みたいなものはありましたか。

【木谷】

最初は社員、十何人くらいでのんびりやりたいなと思ったんですが、十何人だったのは最初の1年くらいでした。その後、売り上げも人もどんどん増えていって。行きついた先でやりたいこと見つけてしまうんですね。これを抑えるのも弊社の能力の1つですね。

やりたいことを抑えるのって、大切だと思いますよ。組織全体でついていけるか分からないじゃないですか。前の会社でもやってないんですが、本業とあまりにも関係ないことはやらないだとか、自分の不得意なことはやってはだめだと。

結局和私は小売が不得意だったんですよ。メーカーって5つ作品があるとするじゃないですか。1つ当たれば他が全部外れても良いわけなんですよ。でも小売って4つ勝っても、1つ負ければ全部利益が吹っ飛んでしまいますよね。値幅が非常に狭いので。

それを緻密にきちんとやるということは私はあまり向いていないので、メーカーのほうがいいなと思いました。それで3つくらい続けて当てると自分は天才じゃないかと思ってくるんですよ。

【聞き手】

でも当たってましたよね。

【木谷】

3つくらい続けて当たったんですよ。ただ、そのあとが膨らんでしまっているじゃないですか。結果4期連続赤字できつかったですよ、親会社に掛け合ってね。

ようやく黒字にしたと思ったら、辞めなければいけなくなって。経営者として未熟だったんですよね。単についていただけだと、前の会社はそう思っていますよ。

【聞き手】

今度こそはもっと、きちんと自分で計画的につくり上げていってというふうに思われたと。

【木谷】

そうですね。今回はアクセルを踏むのとブレーキを踏むのがだいぶ巧くなったかなという感覚ですね。アクセルはギリギリまで踏めるわけですよね。まずいと思ったらすぐにブレーキを踏むということはできてきたかなとは思いますけどね。

【聞き手】

ブシロードでやってきたことと、以前のブロッコリーとの決定的に違うことは、どういうことなんでしょうか。

【木谷】

まず、カードゲームに特化したということですね。今でも海外を合わせてですけどもカードゲームの売上比率が約55パーセントあるんですよね。売り上げが210億くらいですが、それでも55パーセントがカードゲームの売り上げなので、カードゲームに特化してやった結果、企業が成長できた要因だと思いますね。


経営者プロフィール

氏名 木谷 高明
役職 代表取締役社長

会社概要

社名 株式会社ブシロード
本社所在地 東京都中野区中央1-38-1 住友中野坂上ビル
設立 2007
業種分類 その他の製造業
代表者名 木谷 高明
従業員数 590名
WEBサイト http://bushiroad.com/
事業概要 TCG・デジタルゲーム・MDの企画・開発・発売、マンガ・アニメの企画・制作・プロデュース業務、広告代理店業務、声優事務所の運営、音楽コンテンツ・プロレス興行の企画・制作
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