Vol.3 今後の事業展開とプロレス業界参入の経緯
―今後の事業展開とプロレス業界参入の経緯―
【聞き手】
日本は今、少子化に向かっているという中で、子供や若い人向けのコンテンツを扱っていらっしゃると伺いましたが、その先の展開はどうされる予定でしょうか。
【木谷】
2つありまして、1つは当たり前のことなんですが海外にも売っていくということ。もう1つは、いわゆる熱心なユーザーなどがついているものなんですけど、意外とここが想像したよりはなかなか卒業しない。ありがたい話です。
ですから、さすがに30代位までかなと思ったら、40代になっても買ってくれる人は買ってくれたり、遊んでくれる人は遊んでくれたりします。1つはそのユーザー層の年齢、要するに子供向けの、子供から30代前だったものが40代、もしくは50代まで広がってくれるかもしれませんし、趣味によっては40代50代の趣味がありますよね。ラジコンなんて50代60代ですし。
ですから、当社の商品の年齢層を広げていきたいです。年齢が上の層のユーザー向けにつくるというより、今のユーザーの年齢が上がっても遊べるように、つくっていくと。
向こう10年だとか20年は現状でもいけるかもしれませんが、その間に、海外のマーケットということですね。
【聞き手】
今はほとんどシンガポールで過ごしていらっしゃる。
【木谷】
60パーセントくらいですね。日本は35パーセントくらいでそれ以外の国に5パーセントくらいかなと。
シンガポールは国が小さいので、カードゲームショップの専門店が20店舗くらいしかないんですよ。
3日あれば全部回れるので、毎月全部回っているんですね。
全て分かるのでエリアマーケティングとしては非常に面白い地域ですね。
【聞き手】
アジアの中では比較的富裕層の方が多いですし、こういうものにお金を出して遊べるような人たちがたくさんいらっしゃいますよね。
【木谷】
実は専門店に行くと、日本よりも子供が多いんですよね。中学生高校生、特に中学生が多いですね。
なぜだろうと最初は分からなかったんですが、皆制服着ているのが多いんですね。シンガポールって非常に教育熱心じゃないですか。家に帰ったら勉強しろって言われてとても遊ぶどころじゃないので、学校の帰りに皆専門店に寄るんですよね。カードゲームをして遊んで帰っていくと。
【聞き手】
子供の憩いの場になっているということですね。これからはシンガポール以外にも進出される?
【木谷】
既に英語版は世界中に輸出していまして、売り上げの半分はアメリカなんですよ。アメリカのマーケットは大きいですね。人口も多いですし、経済力もありますし。カードゲームの専門店の数も多いんですよ。
カードゲームのマーケット自体は日本のほうが大きいんですが、専門店の数はアメリカのほうが多いですね。
【聞き手】
こういった手に取るもの以外に、いわゆるスマホゲームなどのデジタルな方向に向かわれる方もたくさんいらっしゃると思うんですけども、それ自体はいかがですか。
【木谷】
まずいですね。国によって事情も違うんですが、アジアはスマホなんですよね。
【聞き手】
そうなんですか。
【木谷】
アメリカ、ヨーロッパはブラウザゲーム、PCのゲームなどが主流なので、まだスマホゲームはそれほどでもないですね。
でもどうなんでしょう、アメリカで電子書籍からまたアナログのほうに戻ってきたという話もあったりしますので、カードの手触りや光る加工など、そういうのはなかなかアプリにはできないことですからね。
【聞き手】
どんなに進化してもバーチャルのものには限界がありますよね。
【木谷】
紙のカードゲームは確かにバーチャルのゲームに、特に日本で押されたと思うんです。私はやはりずっと残っていく文化は「遊び」だと思いますね。
【聞き手】
ビジネスとしてなのか、趣味が高じられてなのか、新日本プロレス傘下におさめられましたが。
【木谷】
半々ですね。半分はビジネスとして可能性があると思ったんです。ライブビジネス、音楽ビジネスがあれ程伸びているのに、なぜプロレスがあんなに落ち込んでいたのかなと。
ですから変えれば、もしくは宣伝すれば一気にブームになる可能性があるなと思ったので、3年半程前に傘下に。
【木谷】
好きでというか、お世話になったからという感じですね。
【聞き手】
こういうコンテンツを扱っている中で、ヒット商品を売るコツなどは何かありますか。
【木谷】
なるべく人がやっていないことをやるということですね。マーケットはあるんだけどそこに対してビジネスが提供されていないのが一番いいですね。
【聞き手】
人がやっていないということは、手を出す人が少ないのかもしくは、手を出したいが難しすぎて出せないのか…。
【木谷】
潜在需要があるのに、商品やサービスに対して提供されないパターンがいいということなんですね。
【聞き手】
ブルーオーシャンを探すといった感じですね。
【木谷】
日本人は競争が好きだから、競争に勝とうとするじゃないですか。競争自体をなくさなきゃいけないですね。競争がないところを探さないといけませんね。
経営者プロフィール
氏名 | 木谷 高明 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社ブシロード |
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本社所在地 | 東京都中野区中央1-38-1 住友中野坂上ビル |
設立 | 2007 |
業種分類 | その他の製造業 |
代表者名 |
木谷 高明
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従業員数 | 590名 |
WEBサイト | http://bushiroad.com/ |
事業概要 | TCG・デジタルゲーム・MDの企画・開発・発売、マンガ・アニメの企画・制作・プロデュース業務、広告代理店業務、声優事務所の運営、音楽コンテンツ・プロレス興行の企画・制作 |