Vol.3 事業の核“ディープラーニング”との出会い
―事業の核“ディープラーニング”との出会い―
【聞き手】
いろいろなことを勉強されたリッチメディアさんでの時代というのもさほど長くは無かったんですよね。
【岡田】
そうですね。
【聞き手】
それはもうご入社される時から、このくらいで経験を積んで新しい道にということを決めていたんですか。
【岡田】
そうですね。そこまで短いつもりでは無かったんですが、結果的に短くなってしまったんですが、一番の契機はシリコンバレーに行かせて頂いたことが一番大きいですね。シリコンバレーに行かせて頂いて色々な方とお会いしていく中で、そこで人工知能、ディープラーニングというのを聞いたことが一番大きかったんですが。そこでディープラーニングというものに触れてしまったので、革命が起きたと思ったんですね、当時。
それを日本企業がまだ一社もやっていなかったので、アメリカがここまでやっている中で日本が一社もやっていないというのは逆に脅威だなと思って、それで日本に戻って会社を立ち上げようと決めたという感じです。
【聞き手】
逆にやるなら早くというか、今しかないという感じだったんですかね。
【岡田】
そうですね。今しかないというよりは、恐かったというか、脅威だなと思ったんですよね。日本企業がこのままディープラーニングとかでどんどん遅れをとってしまうと米国に後れを取ってしまうので、それは絶対やめたかったなと思いますね。
【聞き手】
まずディープラーニングとは何ぞや、ということを理解させるのも相当大変だったのではないかなと思うのですが。
【岡田】
まずそもそもディープラーニングという言葉が無かったものですから、まず言葉がありそうな機械学習とかに落とし込んでみたり、画像解析とかに言葉を変えてみたりするということが最初ですね。その中で、ディープラーニングで出来ることと出来ないことみたいなことはたくさん最初に研究したいと思っていまして。それで実際に出来ることと出来ないことはあるんですよね。
出来ないことをずっとやっていても出来ないものは出来ないので、そこに関してはやらないと決めて、出来ることに注力していくということを決めたんですが。出来ることが分かると、ディープラーニングと言わなくても物に落ちてくるんですよね。そこまでやることがすごく重要だなと思っていまして、最終的にお客様にお伝えするのはディープラーニングとかではなくて、こういったことが出来るようになっていますとか、これが過去よりも精度が高く出来るようになっていますとか、より正確になっていますとか、そういったお伝えの仕方をして、色々なPOC、Proof of conceptで、いわゆる仮説検証を繰り返していったという形ですね。
【聞き手】
御社のサービスについて分かりやすく教えて頂けますか。
【岡田】
現状我々がディープラーニングの仮想化みたいな所が一番技術的なコアになっていまして、今我々はそういったところで、『PaaS』と『SaaS』というのがありまして、1つは『Platform as a Service』。これはディープラーニングであったり、人工知能の基幹技術のコアみたいなところですね。これをクラウド上で分散して仮想化出来ているというところが一番我々のコアな部分ですが、そこの部分のエンジンを売っていく。これがいわゆる『ABEJA PLATFORM』ですね。
もう1つは、もう1つ上の『SaaS』というものが『Software as a Service』というものになっていまして、ここは『PaaS』の技術を使って、『ABEJA PLATFORM for Retail』という形になっていますが、この基幹技術をリテイル向けに応用して、実際に店舗にセンサーをたくさん置かせて頂いて、そのセンサーのデータを集めてクラウドに送って、そこで解析をして、その解析したものをお客様に可視化してお伝えするというサービス。大きくわけてこの2つですね、基盤系とソフトウェアみたいなところが動いているというイメージですね。
【聞き手】
ご自身のお考えの中でこういったことが出来ると面白いなという構想はありましたか。
【岡田】
そうですね、もともとウェブでやっていることをリアルに持ってくるとすごく面白いなということは、もともとのPOCの中でもたくさんありまして。ウェブだと当たり前に何人がいらっしゃっていて、何人が購入されたかというようなコンハージョン率をベースにしたり。あとは、実際にどこが一番クリック率が高いかを見ていくと思いますが、そういうことがリアル店舗だと全く出来ていなかったんですね。それをリアル店舗に適応していくというところのニーズがあるのではないかという仮説、かつ、これをディープラーニングを使うとコストを安く、精度が高く出来るということは革命になるんじゃないかというところで、このサービスがいけるんじゃないかという1つになったということですね。
【聞き手】
今までなかなか売り上げが上がらない、なぜ売れないんだろうと思っていたことが、なぜ売れないかということが分かるようになるような経験ですよね。
【岡田】
今までそれも経験と勘みたいなことでやられていたことが、科学的なものに基づいて定量的に評価されていくということですね。
【聞き手】
すごいですね。
【岡田】
ありがとうございます。やはり我々のサービスを小売店様だけではなく、お客様にとっても商品が見つけやすいということであったり、一番快適な商品への導き方を設計してくれている上で、素敵なショッピング体験ですね、購買体験が出来るかなと思いますので。我々としてはどちらかというとそういう形よりは、自然に、いかにお客様に快適性や利便性を持たせる形で店舗設計であったり、AIと変えていけるか。かつ、お客様に対して接客であったり、そういった快適性をもたらすところに注力が出来ていけるかという店舗づくりを支援させて頂いているということですね。
【聞き手】
始められた当初はそういったことを提案に行かれるわけですよね。わりとすんなりと受け入れられたものですか。
【岡田】
そうですね。本当に企業様というところにもよりますし、企業様によって持たれている課題であったりニーズも違うというところはありますけれども、やはり課題と思われているところが非常に小売店さんは共通のものがあったりしますので、そこに関しては受け入れて頂ける企業様はすごく増えてきているというところですね。
【聞き手】
いわゆる大手のIT系起業であったり、大手の電機メーカーだったりというところが参入してくるとか、そういったことは無いんですか。
【岡田】
そうですね、逆に我々としてはディープラーニングというか人工知能業界が盛り上がっていくのはすごく良い事だと思っていますので、一緒にやっていけるところがあれば一緒にやっていきたいと思いますし、一緒に盛り上げていきたいなということはすごく思っていますね。
その中でやはりディープラーニングというのはある意味でブレイクスルーテクノロジーですので、いわゆるずっと研究していたものでドカンと制度が上がって来たところもあったりはしますので、そこに関しては、我々は2011年からずっと研究を継続していますので、そこに関する技術的優位性みたいなところは簡単には崩れないのではないかと思っていますね。かつ、そういったことが出来る人というのが一番重要になってくるので、そういった人を弊社で採用させて頂いて、長く働いて頂いて、一緒にイノベーションを起こしていきたいなということは強く思っていますね。
経営者プロフィール
氏名 | 岡田 陽介 |
---|---|
役職 | 代表取締役CEO |
生年月日 | 1988年12月15日 |
会社概要
社名 | 株式会社ABEJA |
---|---|
本社所在地 | 東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階 |
設立 | 2012 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
岡田 陽介
|
従業員数 | 103名(2023年8月末時点) |
WEBサイト | https://abejainc.com/ja/company/ |
事業概要 | デジタルプラットフォーム事業、AI倫理に関するコンサルテーションサービス、DX人材育成支援 |