株式会社ABEJA 人工知能で顧客を見える化。最先端技術がもたらす店舗ビジネス革命 株式会社ABEJA 代表取締役CEO 岡田 陽介　 (2016年9月取材)

―今後の展開と求める人材―

【聞き手】

御社がやっているビジネスというのは日本では他に無いと思いますが、世界を見渡した時はどうなのでしょうか。

【岡田】

もちろん色々な見方があると思っていまして、例えばディープラーニングという広い意味で見させて頂くとGoogleや『Facebook』が競合になってくると思いますし。逆にリテイルというか、小売流通業というところで切らせて頂くと世界や日本でも何社かの競合さんはあるということですね。我々として一番重要なことは、ディープラニングと小売業を上手く繋げることにより、色々な下地を作っていくというか、組み合わせることによってオリジナリティを出していくというところがすごく強いなと思っていまして。ここはかなり我々が世界でも先行しているところかなと思いますね。

【聞き手】

日本人ならではの視点というものも生きていたりするものでしょうか。

【岡田】

それは絶対にあると思っていますね。やはり小売業もそうですし、製造業もそうですが、世界で日本が誇れるものだと思っていますので、そういうようなところと連動しながら新しいビジネスを作っていくことは、我々にとってもエキサイティングなことだと思っていますね。

【聞き手】

今後の海外進出等の展望も教えて頂ければと思います。

【岡田】

我々としてはASEAN市場に向けて今しっかりと動いている最中でして、ちょうど8月の段階で日本とマレーシアの合弁ファンドということで資金調達もさせて頂いておりまして。それでもうASEAN市場に関してはしっかりと動こうとしているイメージです。

【聞き手】

まずは、アジアですか。

【岡田】

そうですね。もう具体的に言いますと、やはり地の利があると思いますので、日本から近いアジア圏というのは非常に大きいと思っていますし、今から東南アジア圏はすごくリテールが伸びていくと思うんです。今ショッピングセンター等が異常な速度で増加していたりもするのですが、そこに我々のテクノロジーを使って頂くということで、より良い東南アジアの発展に貢献出来ればと思っています。

【聞き手】

御社のビジネスパートナーの方々には、いわゆる大学の教授も非常に多くいらっしゃると思いますが、そういった研究分野を突き詰めておられるような方々とも一緒にビジネスをやっていくということは、これからもスタイルとしてはお考えでしょうか。

【岡田】

そうですね。我々としては創業初期から色々な先生方にご協力頂きながら、技術の最先端というところを走らせて頂いておりますが、そういった形で今後も一緒に継続的にやらせて頂ければ、イノベーションの良いサイクルが起きると思います。それこそシリコンバレーのスタンフォード大学とシリコンバレーの企業というような形の良いサイクルが生まれると日本起業もアカデミアも継続的に良い形になると思いますので、そこはすごく強くやっていきたいと思っています。

【聞き手】

いわゆるビジネスに出来る力がある人の助けによって、きちんとビジネス化されるようになればもっと日本でも世界に発信出来るような新しいものが生まれてくるかもしれないですね。

【岡田】

そうですね。日本でも研究レベルは世界レベルとしてもかなり高い分野を保っているので、それで革新的な技術をしっかりとビジネスにして社会にインパクトを与えられるような形にはどんどんしていきたいと思っていますね。

【聞き手】

人の採用について、どういう人を採用したい、どういう人を仲間に入れたいと思っていらっしゃいますか。

【岡田】

そうですね。そこに関してはイノベーションを本気で起こしたいと思っている人ですね。やはりイノベーションを起こしたいと思わない人は結構辛いと思っていまして。我々は本当にイノベーションで世界を変えるということが基本になっていますので、本気で考えて本気で実行しようとしている人にどんどん入って頂きたいなということは強く思っていますね。

【聞き手】

例えば岡田社長が面接で必ず聞かれる質問というのはありますか。

【岡田】

よく聞かせて頂く質問は、倫理観みたいなところの質問をすることが多いですね。どういうことかと申しますと、今はすごくテクノロジーが軍事的にも使えることになっていますが、ここは表裏一体で、やはり良い形で使っていくものと悪い形で作っていくというものがあると思うんですよね。その中で、良い部分をやるテクノロジーを使ったイノベーションを起こしていくというところが我々は一番重要なポイントだと思っていますので、そこに強くコミットして頂けるかということを確認する質問は必ずさせて頂いてますね。