Vol.2 大学中退後の挫折と同社設立までに得た学び
―大学中退後の挫折と同社設立までに得た学び―
【聞き手】
大学時代も結構真面目に研究活動と言いますか、そういうことに取り組んでいらっしゃった、と。
【岡田】
そうですね、研究はかなり真面目にやっていましたね。これも誰かにやらされているというよりは、ひたすら面白かったんですよね。コンピューターを使って、ずっと触っていられるので。その中で色々な知識が必要になってきて、数学であったり物理学であったりもそうですが、そういうことは大学であれば先生に聞けば教えてくれるわけですよね。好きに図書館に行って調べられて、それを使って好きな作品を作るということも出来ますし、研究をすることも出来たりしますので、そういったところがただただ楽しくて、いつも夜遅くまで残って、警備員さんに早く帰れよと言われながらも頑張ってやっていましたね。
【聞き手】
そうなんですね。本当に真面目な大学生だったわけですね。
【岡田】
そうですね、ある意味では真面目でしたね。ただ、ヤンチャな研究というか面白い研究をしていくと、色々とヤンチャなところもあるので、ある意味アクティブな大学生だったかなとは思いますね。
【聞き手】
その先に進路を考えられる際に、どこかの会社に入って、いわゆる技術職として仕事をしていかれる、もしくは今のように起業をするというような選択、そういったところは大学生の時代からお考えはあったのでしょうか。
【岡田】
そうですね、起業する選択肢は結構ありましたね。実際に大学の時にベンチャーを立ち上げたりもしていましたのね。そういった選択も結構自然だったかなと思いますね。
【聞き手】
実際に大学を卒業されてすぐに起業というわけでは無かったのでしょうか。
【岡田】
いえ、私は大学をドロップアウトしているんですね。ドロップアウトして起業をしたんですが、見事に失敗をしたという感じなんですよね。
【聞き手】
ちなみに、なぜ卒業を待たずに起業しようとしたんですか。
【岡田】
私はあと一年間くらい残っていたのですが、そこでずっと研究とかもしていたので、今更卒業研究するのかというところもありまして。その中で研究をしていくよりも、自分で作ったものを社会に発信していく方がはるかに面白いですし、それで大学に一年いるのはもったいないと思ったので、もう起業してしまったという感じですね。
【聞き手】
その時に始められたビジネスというのはどういうビジネスなんですか。
【岡田】
その当時はインスタグラムというのがちょうど流行っていた時期で、画像シェアリング系をやっていたんですが、これが見事に完全に逆ビジネスモデルなんですよね。ユーザー数が増えれば増えるほど、サーバーコストが増えていくんですよ。これにいわゆる広告を乗っけていかないと利益が出ないビジネスモデルになりますが、当時はビジネスというのが分かっていないので、どうやったらここを取れるのかというメソッドが分からないというのと、そもそも絶対に最初は赤字になっていくので、そこの資金をどう調達していくかというところもありますが、大学を出たてのガキのような人間に1億とか2億のような資金を準備出来るわけでもなく、これは難しいよねという話になりましたので、仲間と相談しながらいったんやめようということで。それでいったん会社を辞めてしまったという形ですね。
その時に相談に乗って頂いていたのが、私の前職の株式会社リッチメディアの坂本幸蔵社長だったので、いろいろ相談しているうちに、うちに来て修行しないかとお誘い頂いて、それで、是非ということで入らせて頂いたという感じですね。
【聞き手】
なるほど、そういう繋がりがあったんですね。実際にどうですか、いわゆる組織人として新規事業とかもいろいろと任されていたとも伺っていますが、その当時のご経験というのは。
【岡田】
今考えてもすごく楽しいというか、やりがいがあることをすごく任せて頂いたということと、すごく勉強になりましたね。坂本社長に張り付くというのは少しおかしいですが、一緒に営業に行かせて頂いたり、一緒に新規ビジネスを作っていったり、事業責任者みたいなこともやらせて頂いたんですが、ここまで近くで経営的なことを学べるというのは無かったことだったので、すごく嬉しかったですね。
もともと坂本社長がサイバーエージェントのトップ営業マンというキャリアもあって、驚異的な営業力を持っているんですね。そこを間近に拝見出来たことは、こういう風にビジネスを作るんだなとか、こういう風に人とコミュニケーションを取ることによって魅力を伝えることが出来るんだなということはすごく勉強になりましたね。
【聞き手】
今はトップとしてやってらっしゃいますが、ご自身も組織の一員だった時のことを振り返ると、今の社員やメンバーの方に対する接し方というのも少し違ったりしますか。
【岡田】
それはあると思いますね。私が坂本社長にというよりは、私が従業員だった時にやられて嫌だったことは社員にやらないようにしようということは思っていますね。
【聞き手】
例えば、どんなことですか。
【岡田】
例えば、何事も無かったかのように方針転換するということであったり、ビジョンが180度入れ替わるとか、自分が入社する時に信じていたものが全く変わることはやらないようにしようということはすごく強く思いますね。それは前職時代の坂本社長もずっとおっしゃっていたことで、やはり変えちゃいけないものがあるよね、ということですね。そこはすごく私自身勉強になったことで、たしかにそれを変えると従業員だった私は嫌だなと思うことだったので、そこは変えないようにしたいと思っていますね。
経営者プロフィール
氏名 | 岡田 陽介 |
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役職 | 代表取締役CEO |
生年月日 | 1988年12月15日 |
会社概要
社名 | 株式会社ABEJA |
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本社所在地 | 東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階 |
設立 | 2012 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
岡田 陽介
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従業員数 | 103名(2023年8月末時点) |
WEBサイト | https://abejainc.com/ja/company/ |
事業概要 | デジタルプラットフォーム事業、AI倫理に関するコンサルテーションサービス、DX人材育成支援 |