Vol.2 “一対の鳥”というこだわり
―“一対の鳥”というこだわり―
【野水】
その後は大学院で博士号を取得して、そこからようやく会社に戻り、海外駐在をします。当時は香港。 2000年の1月から駐在して4年間、海外営業部長としてツインバード製品をアジアからアメリカ、ヨーロッパまで営業活動して、一生懸命に販売しました。海外駐在は約4年間でした。
それが終わってから、今度は国内営業をやりました。国内営業の統括副本部長をすぐに拝命しまして、今度は我々の主戦場である国内のお客様、流通さん向けに色々と商談しました。今から約10年前ですね。事業承継するということで新潟の本社に戻り、それから5年間ほど経営企画を中心に仕事をして、役員、それから専務を務め、5年前に事業承継して今日に至っています。
代表権を親と子で持って、代表取締役の会長と代表取締役の社長として大体1期か2期くらい続けて、穏当に事業承継を進めるというのが一般的なんですね。最初は私たちも、2人代表で事業承継していこうかというふうに、周りの皆さんからもアドバイスいただいていたのですが、ちょっと私の気が変わりまして。
やはりあまりに外部環境の変化が激しいですし、いずれにしても腹をくくってツインバードを経営していくわけですから、やっぱりドラスティックに変えていきたいなという、ちょっと力みもあったのですね。
当時の社長室に行って、「1人代表をやらせてくれ」と。社長は会長になって、代表権の座を降りてくださいと話をしました。当初は、当時の先代の社長も考えておりましたけれど、1週間くらいたって「自分も永遠に経営者はできないから、おまえに任せた。やってみろ」ということで、その日以来、会社の経営に関しては一切、先代の社長、私の父は何も言わなくなりました。
ですからこの5年間、業績もおかげさまで増収増益基調を続けていられますけれども、色々なことがあったにせよ、私に全てを任せ切ってくれた父には非常に感謝しております。
私たちの会社は、お客様に感動と快適さを提供する商品の開発をしていく会社で、世の中のお役に立っていく。そしてお客様と私どもが一対の鳥、つまり社名にあるような「ツインバード」になって、お客様とのお約束あるいは信頼関係を大切にしていくのだという経営理念があります。これは今でも尊重して、大切にしています。
ただ、外部環境の変化に合わせて、変えるべきことはスピーディーに対応して変えていかないと、事業の継続というのはなかなか容易でない時代がやってきたと思っています。
まず初めにやったのは、今日まで続いているんですけれども、会社というのはやっぱりお客様のために存在する、あるいは世の中のお役に立つ、社会貢献していくというのが会社の存在価値の一つだと思っていますので、まずはお客様を大切にする会社、お客様起点でものづくり・ことづくりをしていける会社になりたいと思っています。
まさに今、人口減少、あるいはもの余り・こと不足の時代になっていますので、そういった「個」の時代、あるいは多様化の時代に対応していくために、お客様の声を拾うためのお客様接点、これにずっと投資してきました 。
例えば、2年前に始めたFacebook。今(取材当時)では2万5000人 のファン(フォロワー)がいらっしゃいますけれども、タイムリーにお客様と双方向でコミュニケーションできるようにしておりますし、昨年の7月に新たにフル改修したホームページも、「一緒に、つくる。お客様と。」 という、私たちのブランドプロミスを掲げながら、ぐっと今風のデザインにして、お客様の悩み事を受け止めるような仕組みを考えております。
新潟の本社にあるコールセンターも人員を増強し、職場の環境整備もしていますし、去年の3月には、この今いる東京都日本橋の9階建てのビル、また今年の4月は新潟の本社のショールームも大改装して、私たちのユーザーさんと一緒にイベントができるような投資をずっと続けています。これはまず社長になって、一番力を入れてきたところです。
経営者プロフィール
氏名 | 野水 重明 |
---|---|
役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社ツインバード |
---|---|
本社所在地 | 新潟県燕市吉田西太田2084−2 |
設立 | 1951 |
業種分類 | 機械器具製造業 |
代表者名 |
野水 重明
|
従業員数 | 303 名 |
WEBサイト | https://www.twinbird.jp/ |
事業概要 | 家庭用電気機器家庭用照明器具理美容・健康機器電気音響機器製造及び販売FPSC ( フリーピストンスターリングクーラー )及びその応用商品の開発・製造・販売 |