株式会社ツインバード 顧客第一主義の極み、ココにあり！ものづくり企業の真心経営 株式会社ツインバード 代表取締役社長 野水 重明　 (2016年12月取材)

―ユニークな商品を生み出す開発力―

【野水】

とにかくお客様起点、お客様の声を日本で一番大切にする生活家電メーカーを目指すということで、そのようなスローガンを掲げております。

例えば、こちらにあります『フルーツビネガーメーカー 』。これは、今年の最新のヒット商品なんですけれども、ツインバードの若手の女性デザイナーが企画デザインを提案してくれましたし、回路の方も、理系女子（リケジョ）が設計してくれて、女性のコラボで開発したものなのです。通常は3カ月くらいかかる、おいしい「フルーツ酢」がたった1日でつくれてしまうという、非常に画期的な新商品です。

ツインバードのユーザーの大体7、8割は女性で、特に30代、40代の女性が多くいらっしゃる んですけれども、とにかく女性目線で、本当にお客様に喜んでいただく、あるいは感動と快適さをご提供できるような商品開発、ものづくり、これに力を入れています。特に今は、家電の普及率が非常に高くなってきました。逆に言いますと、お使いいただくターゲットユーザーをしっかりと絞る、切る、セグメントした上で、ユーザーの琴線に触れる、あるいは本当に感動していただけるような商品をおつくりしないと、製品を買い替えていただけない。あるいは新しい需要を掘り起こすことができない。そのためにお客様の声をしっかり受け止めさせていただきながら、我々のプロフェッショナルなデザイナー、企画、開発技術部隊が「タイムリーに」「スピーディーに」「小ロットで」ユーザーさんに喜んでいただくような商品を柔軟に開発できる、そういった開発力がツインバードの強みの一つだと考えています。

お客様の声はさまざまな場面で受け止められるように投資してきておりますけれども、一番分かりやすいところが、本社にあるコールセンターですね。コールセンターも設備投資、それから人員の増強で対応しています。お客様からいただいた電話、あるいは声をデータベースに落として、それをもとに、部門の垣根を越えたVOC（お客様の声＝ボイス・オブ・カスタマー）活動というものを全社で推進しておりまして、お客様の声からこんなものをつくったらいいんじゃないかということをディスカッションして、商品企画・開発にフィードバックをし、製品開発に生かすという活動をしています。

東京・日本橋にあるこの体験型のショールーム。それから本社の体験型のショールームを活用しながら、定期的にFacebookを通じて呼びかけをさせていただき、ツインバードのファン、ツインバードのユーザーの皆さんと双方向でのリアルな空間でイベントを催しています。最近では、世界で一つのオリジナルのLED卓上スタンドを、小学生のお子さんとご両親に集まっていただいてつくったり、あるいはレストランのオーナー、シェフをお招きして、ツインバードの調理家電を使って一緒に料理教室をやったりと、製品を使っていただく中で、生活者、あるいはツインバードユーザーの声を受け止めさせていただく活動も、積極的に推進しています。お客様の声をしっかり受け止めて、やはり競合他社と同じようなものは決してつくらない。ターゲットユーザーを絞った上で、今まで以上に豊かな生活、あるいはおいしい料理とか、美しくなれるとか、そういった体験価値、あるいはデザインも含めたオリジナリティーある家電製品を、小ロットでスピーディーに、世の中の変化に柔軟に対応してご提供できるということが、ツインバードのビジネスモデルだと捉えています。

ツインバードの特徴の一つに、非常にオリジナリティーあふれる商品だけれども、同時にリーズナブルで良心的な価格ということがあると思います。例えば燕三条であれば、素晴らしい金属加工、プレス、研磨、そういったメーカーさんがありますし、プラスチックの成形とか、電子回路の基板のメーカーさんとか、燕三条の地域には、素晴らしいものづくりの生態系、エコシステムが既に出来上がっているんですね。こういった素晴らしい協力工場さんとネットワークを張り、コラボレーションしながら、優れた商品をつくっていく。ローコストにつくっていけるというのが、ツインバードの特徴の一つだと思います。