株式会社リアルワールド ~22歳で2億円の負債を抱えた男の起死回生ビジネスの全貌~

Vol.3 暗黒時代からの脱却

株式会社リアルワールド 代表取締役社長 菊池 誠晃 

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―暗黒時代からの脱却―

【菊池】

起業には、いろいろな過去の経験が重なってきます。地方で育ったこと、母子家庭で育ったことから、地域格差や働くということの不自由さがインターネットが現れたのになかなか変わっていないとすごく思っていました。

もう一つはポイントメディア。ポイント事業を立ち上げました。ポイントによっていろいろな方が動いているのを見たときにこれは労働力だと思ったのです。これを生かせばもっと面白いビジネスができるのではないかと。この二つの融合です。当時はクラウドソーシングという言葉はなかったのですが、ポイントを用いて労働力となる事業を立ち上げたいと思ったのが、この会社の大本です。

当時、うちは完全に後発でした。商社系の企業さんには2、300万人会員がいて規模も大きく、営業力、提携力もすごい中で立ち上がって、さあどう勝つかという状況だったのですが、ポイントの流動性に徹底的にこだわったからこそ、ユーザーさんから応援していただいたからこそ、当時営業1人もいない中、垂直で立ち上がることができました。

まず創業して垂直で立ち上がり、その後最短で上場しようという話が浮上しました。私も上京するときには上場は考えていたので、行けるのなら行こうと一気に計画は進みました。しかし創業で集めたメンバーは団結力や思いは強いのですが、やはりスキルの部分では不安があると。上場に耐えられるのかと思ったときに何をしたかというと、お金を使いまくって、とにかく世の中の優秀と思われる人をかき集めたのです。これによって何が起こったかと言えば、当社で“暗黒時代”と言っている約2年間です。

優秀な人が集まっても、結局会社のビジョンやミッションを明確に示していない、パーツ基準も明確に定めていない、コード入力のタッチも定めていないので、それぞれの価値観のぶつけ合いが社内で起こって、足の引っ張り合いみたいになってしまいました。50人くらいの会社でどんどん伸びていたのが徹夜状態で鈍化してくる。社内にいても成長するための議論ではなくて、あの人はこの人は、これがこうだからできないとか、できない言い訳ばかりがはびこっていきました。そのようになると、思いでつながっていた創業メンバーや女性やエンジニアやコミュニケーションが取りづらい人など、思いを持っている人たちが居づらくなって辞めていきました。セクハラやパワハラみたいな問題も起こり始めて、まさしく追い込まれた時代です。

その時、私の後輩から「菊池さんがそんなに元気がないのは見たくない、おかしい。それだったら会社を売った方がいいのではないですか」と(言われました)。当時はポイントメディアを立ち上げてはいたのですが、クラウドソーシングはまだ立ち上げていませんでした。まずはポイントメディアでしっかりユーザーを集めて、そのユーザーをベースにクラウドソーシングを立ち上げようと考えていたので。それを言われたときに、じゃあ自分は何のために独立したのかと。サイバーエージェントでいろいろ経験させていただく中で、自分のやりたい事業を本当にやるためにはオーナーにならないとできない、ということもすごく勉強させられていました。どんなに正しい事業戦略があったとしても、マーケットに対して適切であったとしても、経営戦略、会社としての今の状況から次に行く戦略がはまっていなければ、事業単体で正しくても全体最適のなかで意味がないのですよね。そういう意味でも自分が思っている事業を実現するためにはオーナーでなくてはならない、と思っていました。

そのあたりをひっくるめて、今のような状況だから売るのかと考えたときに、ちょっと待てと。自分は資金目的で立ち上げたわけじゃないですし、やりたい事業もあると。ではそのやりたいことをとことんやって、駄目だったら初めて売ればいいじゃないかと。やろうと思っていたことをとことん、何も気にせずやろうということを決めました。

もう一つはその当時ドラッカーの本を読んでいて、非常に勉強になったのは、「成果を出す上で疎外となる要因を除去せよ」という一文です。これがすごく響いたのです。その時の会社の状態に当てはめて考えると、その組織課題が大きかったのです。これは誰が悪いというわけでなく、採用の時点でその会社のミッション、ビジョン、方向性をしっかり示さなかった私自身の責任が非常に重かったのですが、その時は結局、ミドル以上の幹部に半年間かけて辞めていってもらいました。結果どうなったかというと、50人いてほぼ徹夜状態だったのが、半年後に30人になっていたのに、みんな8時に帰っているのです。事業の数は変わっても、業務量は変わっていないのに。なおかつ売上げはたった半年で倍増しました。

結局どういうことだったのかというと、一つの方向性を向いて、そのためにどうするのかという議論だけになったことで、無駄な時間を省いた。逆に言うと以前は一つのことをやるための調整に多くの時間を奪われていたのです。そこを学ばされたのが、創業期の“暗黒時代”。そこから会社の行動理念とかビジョンとかを明確にして、採用基準も明確にして進み始めた。

社長プロフィール

President's profile
氏名 菊池 誠晃
役職 代表取締役社長

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