【ナレーター】
その後、冠婚葬祭時に使用する写真・動画の制作事業へ転換。当時のニーズを捉え、注文は殺到するも、競合他社が多く参入し、業績は停滞した。このまま事業を続けるか苦悩する中、ある企業との出合いが、ジェネレーションパスの運命を大きく変えた。
【岡本】
ある時、木工製品を手がける会社に通い、職人さんがていねいな仕事で木の表紙の思い出アルバムを製作するのを眺めていました。しかし、大手の会社では、同じようなものを中国やインドネシア、アメリカ、ベトナムなどで大量生産しています。
しかも大手以外でも、このような職人さんがつくったものを高く買ってくれるわけでもない。それなら、ネットを用いて、できるだけ自分たちから直接、消費者に向けて販売したほうが儲かるじゃないですか。
そのことを職人さんに話したところ方法がわからないと言うので、「じゃあ僕がやりましょうか」と、ネットビジネスを始めたわけです。
そのときに、思い出を次の世代に引き継ぐのも、ものづくりに携わる人の思いを消費者に伝えるのも、「橋渡し」だと感じました。それで、事業をECのマーケティングに変更しました。
【ナレーター】
EC事業への転換が奏功し、2014年に東証マザーズへと上場するなど、企業は順調に成長。自身を「商売人」だと語る岡本が、挑戦を成功させるために意識していることとは。
【岡本】
アルバムの事業やブライダルの事業、ECの事業やシステムの事業など、さまざまな事業を行ってきましたが、個人的には仕事を変えている気はありません。
逆に、ひとつの商品だけを手がけていくというスタイルを、商売の世界ではあまり見たことがありません。ものづくりの人たちのなかにはいるかもしれないですが、商売人というのはそういうものではないと思っています。
失敗をすることも当然考えますが、先に成功することをイメージして売れるという意識を持って、どうやって売るかを考えるのが商売人だと思うんですよね。
ものづくりの人も、購入者も同じように利益を得る。よく三方よしなどと言いますけども、適正な価格で適正な販売をするという。目先のことにとらわれないようにするというのがひとつ大事なことかもしれないですね。
【ナレーター】
現在、ジェネレーションパスが注力しているのが『IECOLLE(イエコレクション)』をはじめとしたメディア事業だ。その真意について、岡本は次のように語る。
【岡本】
ECサイトだけで表現できないものはたくさんあります。当社には商品が200万ほどありますが、世の中には4億ぐらいの商品があります。
そうすると、自社の商品をどうしても売りたいとか、取引先のために売りたいとか思うんですけども、すべての商品を比較することってできないんですよね。
であればそれを別枠にして、メディアというかたちで、さまざまな商品や、その活用法について提案するのがよいと考えました。メディア事業については毎年150~160%ずつ伸びています。
【ナレーター】
今後、売上高500億円を目指すと語る岡本。その実現に向けて描いている展望とは。
【岡本】
自社商品の拡大というのももちろんありますが、エリアの拡大を大きなテーマとして、チャレンジしていきたいと思っています。
最近は、海外に向けても商品を販売していますが、われわれが売ることで、中国製の商品が中国で売れるんです。そういった意味では、どこの国でつくられても日本人がブランドとして品質を管理することが、今後大事になってくると思っています。
【ナレーター】
求める人材像について、岡本は次のように語る。
【岡本】
基本的には明るくて親しみやすいというのはすごく大事なんですけど、なによりも本気でビジネスをやってみたいと思っているかどうかですね。
社会人になると週7日のうち一般的に5日間、7分の5は仕事をするわけですよね。自分の人生において一番長い時間となるのですから、職場の仲間たちと一緒に楽しんだり話したりするほうがいい。
好奇心や冒険心をもつ人を採用し、挑戦したいと思っている事柄を入社後に実行してもらう機会を提供できればと考えています。
-大事にしている価値観-
【岡本】
本気でやること。本気でやっている人に対しては、応援してくれる人もいるし、助けてくれる人も出てくるものです。必ず道は開けてきますので、本気でやることが、一番大事なことだと思います。
僕はいつも、謙虚、感謝、工夫と3つの言葉で説明するのですが、本気で物事に取り組んで、気持ちとしては常に謙虚に、感謝の心を持ち続け、そして最後に工夫するということ。それが大事だと思っています。