Vol.3 M&Aが担う社会的使命
―M&Aが担う社会的使命―
【ナレーター】
創業後、10年間は思ったような成長曲線が描けていなかったと語る三宅。苦悩の末にたどり着いた答えとは。
【三宅】
10年が経った時、本当にこれでいいのかなという思いに駆られました。ここから会社の方針をもう少し決めていかなければいけないのでは、との思いです。例えば、5人とか10人の少数精鋭で、あるいはスーパー営業マンだけで会社をやると、配分もたくさん取れますよね。だから、3000万円、4000万円という配分を受け取って、給料を受け取って、豊かな生活を目指していくのもいいし、会社をさらに伸ばしていくというのもいい。どうあるべきなのかと考えたのが、10年目です。
そこで10年を振り返ると、やはり本当に感謝されているのですね。調印式の時は、本当にみなさん号泣されて、「会社が救われた」、「従業員が救われた」と喜んでいただいた。その後もやはりお付き合いが続きまして、家族ぐるみというケースもありました。ですから、ひょっとしたらものすごく社会的な役割を果たしている会社なのではないかということに、そこで気がつきました。そして、これはやはりもっと多くの人にM&Aの素晴らしさを享受していただくというか、そうしていくことが我々の社会的な使命なのではないだろうか。だから、もっと会社を大きくして、もっと多くの人たちを救っていこう。そう決めたのが10年目ですね。
【ナレーター】
より多くの人にM&Aの素晴らしさを知ってもらう。その使命を全うするためには、ある重要なテーマがあるという。
【三宅】
このM&Aという業界は、実はものすごく古い業界です。これは今でもそうですが、ほとんどの会社は職人的な方法でやっています。だから、Aさん流の企業評価のやり方と、Bさん流の企業概要書のつくり方が、それぞれ違うわけですね。流儀がある。これをそのまま放置しますと、情報の共有化ができません。そこで、まず企業評価のやり方を、“レファレンス”という方法で評価することに決めました。その評価方法も工夫に工夫を重ねて、中小企業に合った計算方法を考え出したのです。
それと、例えば譲渡企業の社長さんにインタビューをして、会社の状況を聞いていかなくてはなりませんが、そのためのツールも「インタビューシート」という標準的なテンプレートをつくりました。このインタビューシートに沿って話を聞いていくことで、誰が聞いても網羅的な情報が手に入るようにして、そこから「企業概要書もこのような形でつくる」というように全部決めました。それで何ができるようになったかというと、例えば企業評価で、時価純資産5億円で、営業権が3億円つきますという場合、どんな計算方法でこの資産5億円と3億円の営業権が計算されているか、全社員が知ることができるわけですね。そうすると、考えることなく情報が共有化できます。
しかも、これは当社だけで使うのではなく、そのノウハウを会計事務所と金融機関に全部オープンにしたのです。そうすると、会計事務所の先生方も、金融機関の方々も、全員が当社のやり方を踏襲してくれます。当社の考え方で情報が全国に共有化できるようになったということです。これが成長の大きな要因ですね。やはり共通言語がないと、会社はなかなか成長することができません。M&Aで一番大事な企業評価と、企業概要書のところで、完全な共通言語をつくって、それを社内だけではなく、当社のネットワーク先にまでオープンにして、互換性を保てるようにした、情報共有できるようにしたということですね。
経営者プロフィール
氏名 | 三宅 卓 |
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役職 | 代表取締役会長 |
生年月日 | 1952年1月18日 |
出身地 | 兵庫県神戸市 |
会社概要
社名 | 株式会社日本M&Aセンター |
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本社所在地 | 東京都東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 鉃鋼ビルディング 24階 |
設立 | 1991 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
三宅 卓
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従業員数 | 258 名 |
WEBサイト | http://www.nihon-ma.co.jp/ |
事業概要 | 中堅中小企業を対象にした友好的M&Aの支援 |