さくらインターネット株式会社 創業6年で上場。高品質・低価格のレンタルサーバで売上100億円を突破 さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 / 最高経営責任者 田中 邦裕　 (2013年8月取材)

価値観

【田中】

当社のMissionですけれども、これについては１７年間創業以来変わっていないものでございます。というのも、誰でも気軽にインターネットの情報発信が出来る環境を作って誰でも自分のやりたいことを実現できる、そういった世の中を作りたいと思ってやってきました。自分たちでいうのもなんですが、IT業界はよくやることが変わってしまうという会社も多いのですが、当社においてはMissionに書かれているように創業した時も今も、そして未来も、お客様のITインフラを支える存在としてビジネスをやっていくと、そういった覚悟を込めてMissionを作らせていただいたということになります。

【田中】

Valueについては例えば技術をしっかりと考えないといけないですし、やはりスケールメリットを生かす上では運用というものをしっかりとやっていかないといけないということもあります。そして会社というのはたくさんの方が集まってやっていくものですので、お互いのコミュニケーションというのがなくてはやっていけないと考えています。

【田中】

そして、最後にあるイノベーションというものがあるのですが、アイディアだけでは世の中変えられないというふうに思っています。何か技術やアイディアを具現化し社会を変えたときにそれがイノベーションになると言われています。何かアイディアや何か技術があったとしても、世の中の人に伝わらなければ意味がないというふうに思っています。実は学生時代にロボットを作ってNHKのロボットコンテストに出場していたのですけども、作る過程はすごく長いのですけども、何が楽しいかというと試合になって自分のロボットをお披露目して、そして賞をもらうと。自分がやってきた技術であったりアイディアが具現化されて、それが人から賞賛され、そしてそれ自体が世の中に認められるということがすごく重要だと思っています。なので考えただけではダメだというのは間違いないと思っていますので、考えただけでなくてそれを実現してそれが世の中の人に影響を与えると、その時点で初めて自分が評価されることにつながると思うのでイノベーションという言葉を入れさせていただいたということになります。

【田中】

当社がやっているITのビジネスというのは非常に新規参入者の多い分野になっています。というのも今一番伸びているのがクラウドデータセンター業界でして、当然当社の業績も伸びているわけですけれども、もうかるところに参入してこない人がいないわけもないので、非常に厳しい戦いが繰り広げられているというのが現状です。そういった中で、どなたもおっしゃるのが差別化というものですね。

【田中】

差別化の中で一番重要なキーワードとしてよく挙げられるのが付加価値の増大というふうに言われています。よくあるのが商品を売るときにもその付加価値がないと、その商品自体がまったく使い物にならないというものがあるんですね。例えば電話でもインターネットのサービスはオプションになっているのですが、そのオプションを付けないとインターネットの通信が携帯でできないというサービスがありますよね。ああいうのは私は本当によくないなと思っていて、そのサービスをつけないとまともにその製品が使えないのにそのサービス自体が付加価値になってしまうとですね、本質的な価値と付加価値を混同してしまうことになるのではないかなというふうに思っています。ですからわれわれが考えているのは、付加価値は当然重要なものだとは思いますけれども、まず基本的な価値でお客様に認めてもらい、他社さんとも戦っていけるようなサービスを作りたいという思いがあります。ですので本質的な価値で対抗していく、そういったことが本当の意味でのブルーオーシャンにつながっていくのではないかと考えていまして、当社の場合だと本当に安価で高品質な本質的には価値を持ったサービスだけを契約いただければ使えるようになると、そういう観点からレッドオーシャンに見えるような非常に厳しい戦いに身を投じているように見えても本当の意味ではレッドオーシャンを泳いでいるような会社というのは意外と少ないのでですね、それ自体がブルーオーシャンとしてすみ分けができるのではないかなというふうに考えているということです。