Vol.4 人材への拘り
―人材への拘り―
【古内】
情報共有という意味では、私が月一回大阪で夜の6時から8時まで社員懇談会という会を設けているのですが社員であっても、パートさんであっても誰でも参加でき、最初の一時間は私が社員の方々に役立つようなお話をした上で、残りの一時間は社員の皆さんから意見や質問を頂きながら物事の考え方や感じ方を共有したり、或いは意見を発信していただいたりする情報交流の場を設けております。後は、私が現場の担当役員の時には、実際に話法についても自分が考えたものを研修したり、一緒に棺メーカーに工場見学に行ったりもしました。そういった皆で一緒に考えて作るという事が当社の良い所だと思っています。
特徴的な制度としては、ジョブチャレンジ制度があります。この制度はサービス業ですと、一度担当した職種がずっと続いてしまうケースが多いですが、当社では申請をして頂いて新たに違う職種にチャレンジ出来る制度です。これを利用して次の自分のステップを作っていっている方が沢山出てきています。
後は、葬祭業は24時間365日の業務となり、その中で人材が交代で仕事を行っているので、他の業種に比べるとお休みが少ない業種となりますが、当社は数年前から完全週休二日制を目指してお休みを毎年増やしてきております。この業界において非常に珍しい特徴的な制度と思っています。
人材採用に関して大切な事は、基本的には当社で新卒採用をしている時には葬儀のサービスをする葬祭ディレクター候補者を採用しておりますがその場合に大切にしているポイントは、志望動機です。葬儀の仕事は誰もが出来る仕事ではないと思っていますので一定の精神的なハードルを越えられる方しかできない仕事だと思いますので、どういうきっかけでこの仕事をしたいのかをしっかりと聞くようにしています。それが一つ、その人の志というものを確認するポイントではないかと思っています。もう一つは常に誠実に人に対処できる人かという所も大切なポイントにしています。好き嫌いで行動を判断してしまうケースですとサービス業には向かないという所がありますから、どんな相手であっても誠実に自分の職務を全うできる人かどうかを判断しております。後はコミュニケーション能力です。サービス業においてコミュニケーション能力は非常に重要なポイントです。これは誰にも備わっているものではなく例えば学生時代のクラブ活動を長年やっていたとか、アルバイトを長年続けられたとか、そういう中からその人のコミュニケーション能力或いは人間関係力が判断出来るのではないかと思い、大切に見ています。
組織を活性化したり組織が成長していく為には次世代リーダーの登用は大切なポイントだと思いますので、そういった素養のある人を常に発見する努力や、発見して育てていく努力が必要だと思います。そういう意味で抜擢人事は企業にとって重要な考え方ではないかと思います。
社員懇談会も一つのやり方だと思いますが、社内報なども一生懸命作っております。社内報は古いツールではありますが毎回楽しみに見て、社内のどういう人がどういう事をしているかや、どこに誰がいるのかを知るだけでも社内のコミュニケーションに繋がりますし、自宅に持ち帰り家族と見ることによってもコミュニケーションの活性化に繋がるという意味では社内報は重要なツールだと思っています。それから社内のイントラネットの中で社員同士がコミュニケーションをとれる掲示板のようなものがあり、色々なアイディアや意見を出し合う姿を見ますと、現代風のコミュニケーション活性化のツールだと思っています。
組織力を表すエピソードという意味では、通常のご葬儀だけではなく事故や被害時に当社の社員が現場に行って亡くなった方のご対応をするケースもありますが、その時は定型的な仕事ではなく現場でそれぞれの社員が考え行動しないといけない時に、私たちが指示をしなくても自主的に社員の人達が連携をして速やかに仕事を進めている姿は本当に素晴らしいなと感心します。危機対応の時に組織力の凄さが実感できると思います。
経営者プロフィール
氏名 | 古内 耕太郎 |
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役職 | 元代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 燦ホールディングス株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館14F |
設立 | 1932 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
古内 耕太郎
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従業員数 | 709名 |
WEBサイト | http://www.san-hd.co.jp/ |
事業概要 | 持株会社事業、不動産事業、管理業務受託事業 |