株式会社龍角散 ~背負った負債は40億円!窮地を救った大ヒット商品開発ストーリー~

Vol.5 企業とオーケストラの共通点

株式会社龍角散 代表取締役社長 藤井 隆太 (2015年8月取材)

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―企業とオーケストラの共通点―

【聞き手】

社員の方の教育や経営の方針についてはどのようにお考えですか?

【藤井】

会社というのは生き物ですから、例えば20年前どん底だった時と今とは違う考えでいいと思います。教育といっても、分かりたくないのに分かれと言ったって無理ですから。あまり私は教えませんでしたね。やらなかったし、押しつけなかった。ですけど、例えば強行突破して小さな成功でも成功例があると、こんなことができるようになったんだ、すごいなと勝手に分かってくれますよ。

最初のうちは営業本部長で、頭ごなしに行けとか、目上の方に向かってもだいぶ怒りました。最初はガッとやってきましたが、そのままではいかんなと私は思っています。私の今の一番の目標は、20年社長をやりましたから、もうやっても30年だと思います。

私はもう10年しか社長をやらないからと社員にも言っています。その間にトップダウンじゃなくてもできるようにしておかないと知らんぞと言っていますよ。そうすると大変だ、大変だとなって、色々と提案が出てきます。これをやってみたいと、今までなかったような提案が自然と出てくるようにはなりましたね。どうしますかと言われると、やれよと言います。俺が責任は取るから、失敗しても文句は言わないからやれと。そういうことは起きてくるようになりました。

【聞き手】

経営の指揮のとり方というのは、今も続けてやっていらっしゃるオーケストラと同じでしょうか?

【藤井】

今も調布市の晃華学園というところで100人のオーケストラを教えています。もう37年教えていますが逆に教えられることが多いですね。私は指揮をあまりやったことがないのですが、指揮者の重要性は、オーケストラの組織を考えた場合に非常に面白いのですよね。私はもともとプレイヤーだったから、学生の時は指揮者は一つも音を出さないのに偉そうなことばかり言いやがってと当時は思っていた。とんでもないことだと気が付きましたね。

オーケストラの団員は自分のパートの譜しか持っていないのです。100人いたとしても、全体のスコア、譜面を持っているのは指揮者のみなのです。しかも全体の音を平均に聞けるポジションといったら指揮者の場所だけ。そこで大事なのは、端的に言うと、指揮者が御用聞きになってはいけないということだと思うのです。

いかがですか、この曲どうしますか、あなたはどうしますかと言っていたら、みんな勝手なことを言って話にならなくなりますよ。これ、少しテンポ早いから遅く振ってくれと言われてやっていたら、何をやっているかさっぱりわからなくなりますよね。だから指揮者の役割というのは、この曲をやります、この曲はこういう曲で、こういう風に表現したいのです、このオーケストラはこういう風な演奏で感動させたいと思うのですということを、言うかどうかは別として指揮するわけです。

それは組織としての信頼関係でね。譜面にはそういうことは書いていません。実は楽譜というのはデジタルだから。いつどういう音をこういうふうに出してください、強くしたり弱くしたりは多少書いてありますが、肝心なことは実は書いていないのですよ。その楽譜の裏にある、作曲した思想だとか、実際に演奏するときの指揮者の考え方とか書いていませんから、それを感じ取って、書いていないことをいかに有機的につなげるかということが大事なんですよね。

それを中高生のオーケストラに教えると、ものすごい勢いで成長します。譜面だけ見てもわからない、ちゃんと周りの音を聞け、指揮者の指元を見ろ、お互いによく聞いていい音楽をつくれと言うと一生懸命やります。これは経営と置き換えてみた場合に理想的なのです。計画書がありますからその通りにやってください、はい、わかりましたでは仕事になりませんよ。方針はこうだけど、本当はどうしたらいいのか、具体的にどうやろうか、誰を見てどういうふうに仕事したらいいのかというのはそれぞれの考えであるから。感性と言えるのかもしれませんね。そこが大事なところなのですけれど。そういった意味ではオーケストラを教えている経験には非常に感謝しています。だから忙しいながらもまだ教えに行っているのですけどね。

【昇華学園オーケストラ演奏】

社長プロフィール

President's profile
氏名 藤井 隆太
役職 代表取締役社長

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