株式会社龍角散 ~背負った負債は40億円!窮地を救った大ヒット商品開発ストーリー~

Vol.4 選択と集中

株式会社龍角散 代表取締役社長 藤井 隆太 (2015年8月取材)

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―選択と集中―

【聞き手】

その中から、新製品や新しい龍角散という会社の顔となるものがたくさん生まれるわけですよね。

【藤井】

でも見てください、喉関係だけでしょう。余計なことを全部やめてしまいましたから。当時は色々やっていました。新しくやるのはいいけど、せっかく始めたのだからとやめるのが大変なのが経営で難しいところです。例えば高額な漢方製剤を売りましょうといってチームをつくってやっていましたが、やってもやっても駄目なのです。やめるのは大変でしたけどね。

【聞き手】

難しいですね。今のままでも駄目だし、新しいものを芯のないところで始めても結局上手くいかないしという。このあたりが非常に難しいところですよね。

【藤井】

何かやってすぐ結果が出るものでもないですしね。特に主力製品のパウダーは、使い方を再提案しなくちゃいけないから慎重にやらないといけません。それをやりながら、若い方にはパウダーじゃ飲みにくいから、水なしで飲めてさっと溶ける『龍角散ダイレクト』を展開しました。これは昔の『クララ』という商品です。

せっかくいい技術があってもブランドが違うとそういうところが出なかった。だから45年間やった『クララ』というブランドを叩き潰したわけです。そういった意味では親父がつくったブランドを潰したわけだからすごいことだけど、そのおかげで『クララ』は今すごく売れています。選択と集中というのはよく言われますが、切る方が大変ですよね。

これはピーチ味です。これは中国の方が大好きな味ですね。

【聞き手】

今は爆買いしていかれるのですよね。

【藤井】

そうなのです。爆買いはいいのですけれど、肝心の日本の愛用者にものが届かなくて大変お叱りを受けていましてね。これは申し訳ないことで、いま昼夜運転でつくり続けています。

【聞き手】

365日稼働されていらっしゃる。

【藤井】

夜もずっとつくっています。当社としては初めてです。

【聞き手】

本当にこれから、高齢者が増えていく中で薬をいかに飲みやすく、きちんと体内に届けていくかというのは大事なところですよね。

【藤井】

お医者さんの薬は、どうしても1つの中に1つの成分しか入っていないものがほとんどです。組み合わせて処方されるからどうしても飲む量が増えてしまいます。若い方でも処方されている方は5、6種類飲んでいますよ。後期高齢者でもやはり3分の2くらいは10種類とか飲んでいます。それでは飲めませんね。なので、こういうものと一緒に飲むと、固形物が入ってきたなとなって喉につるっと入っていくのです。安全に飲むことができますから、実はこれはオールターゲットなのです。もともとは介護用でスタートしましたが、お子さん用も出して、今は中高年の多剤服用という薬をたくさん飲まざるを得ない人にこれでいっぺんに飲めますよと。どんどん売り上げが上がっています。

【聞き手】

今日は私も初めてチャレンジさせていただきたいということで、ここに錠剤があるのですが、これを子どもさん用のブドウ味でいただいてみたいと思います。

~試食中~

おいしいですね。

【藤井】

おいしいというゼリーではないけれど(笑)。まあ、まずいわけにはいきませんから。

【聞き手】

でもおいしいですし、本当につるんと喉を通ります。

【藤井】

薬がどこにあるのかわからないでしょう?付着といって薬とゼリーが一体化して、上手く張り付くのです。それが一緒に喉に入るから、どこに薬があるかわからなくなるのですね。そしてちゃんと胃の中まで入るのです。

【聞き手】

薬がないのにちょっと食べたくなってしまうくらいおいしいです。

【藤井】

喉頭蓋のところをちゃんと通っても、食道の入り口が普段は蓋が閉まっています。通るときにぱっと開くのですが、水だけ先に行ってしまって閉じると薬が引っかかります。これで飲めば、薬も一緒に入ります。

【聞き手】

そうですね。すごく苦い薬をたまに水で飲もうと思ってまず薬を口に入れて飲むと、この辺(食道)で何か薬が残っている感じといいますか、貼り付いてしまうという感じがあります。

【藤井】

実際貼り付くのです。特にゼラチンのカプセルなんかは水で濡れると貼り付いてしまってなかなか落ちないのです。そこで溶けると、本来そこで溶けては困るものが入っているので非常にまずい。潰瘍を起こしたりします。薬は原則的にはしっかりコップ1杯の水で飲んでくださいということですが、でも飲めない時はどうするのですかという話なのです。

社長プロフィール

President's profile
氏名 藤井 隆太
役職 代表取締役社長

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