株式会社龍角散 ~背負った負債は40億円!窮地を救った大ヒット商品開発ストーリー~

Vol.2 龍角散入社の経緯

株式会社龍角散 代表取締役社長 藤井 隆太 (2015年8月取材)

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―龍角散入社の経緯―

【聞き手】

入社をされたのが小林製薬と伺いました。

【藤井】

小林製薬は遠い親戚にあたります。一応新入社員として、龍角散のことは一切伏せて、社長と人事部長くらいしかご存知ないという形でお世話になりました。今考えると当時の小林社長は、よく私みたいなどこの馬の骨かわからない奴を入れてくれたと思いますよ。それは最初面接してわかりましたので、これはもう期待を裏切ってはいけない、失礼があってはいけないとは思いましたね。私は感謝しています。

【聞き手】

薬学部を出てのご就職ではないので、お仕事の内容は営業などですか?

【藤井】

営業ですね。まずは新入社員の教育を受けて、泊まりがけの研修があって、配属されて。最初は大阪市内の薬局を回りました。行って、注文を取って来いと言われました。

【聞き手】

全く地の利もないところにいきなりぽんと入られたのですね。

【藤井】

全然違う関西で、難しかったです。でも皆さん苦しがっていましたけど、私にとっては、例えばステージに出て演奏するのとそんなに違いはないなと。ステージに出て、1回演奏したら止められないのです。何とかして自分でできる限りの最大限の演奏をして、お客さんに感動していただくというのが仕事ですから。だからその時薬局さんは私にとってのステージですね。行ったからには何か結果を持っていきたいなと一生懸命やりましたので、意外とその辺はうまくいったというか、そんなに抵抗はなかったのです。

【聞き手】

ザ・営業といいますか、本当に薬局や医師の方などにベタベタの営業をされたのでしょうか?

【藤井】

演奏というのは、曲があって、その曲はどういう作曲家が何を意図して書いたのかということを理解した上でそれを自分の技術で具現化します。それでお客さんに感動していただくということですから一方的では駄目なのです。お客さんがこれを聞いてすごく感じてくれたのかどうなのかを常にこちらが感じないと。一方的な演奏ではつまらないですよ。あるいは自分がどういうことを表現したいのかを自分で持っていないと。誰かの真似事をやってもそんなものは全然いい演奏とは言えませんね。やはり自分はこの音楽をこういう風に表現したいんだ、それをあなたはわかってくれますかということを、やるわけですから。我々のこの仕事はそんなに変わらないでしょう?

【聞き手】

確かにすごく通ずるところがありますね。

【藤井】

ですから、最初にそういう仕事をした時はあまり抵抗がなくて、かえって楽しいくらいでした。

【聞き手】

その後にまた少し違う道に進まれました。

【藤井】

当時龍角散グループと提携関係にあった三菱化学、当時の三菱化成に行き、ITの事業部にお世話になりました。

【聞き手】

それは何かを見越してそこの経験も積もうと思われたのですか?

【藤井】

その時はなんとなくもういずれ継ぐのかなとなってきていましたし、大企業の組織を経験するのもいいことだろうということで、行ってこいとなりました。そこから三菱化成には8年くらいいました。

【聞き手】

お仕事の内容としては、どの様な内容でしょうか?

【藤井】

営業や、海外展開、本社の事業部にお世話になりました。ITですから先端産業ですね。これも意外と抵抗がなくて、音楽家というのは録画・録音技術を結構勉強しますから、当時から桐朋学園ではデジタルレコードをやっていました。その辺りの技術というのは比較的抵抗なく、ハードディスクの構造がどうとか、記録フォーマットがどうとか大体分かりましたし、いい経験をさせていただきました。

【聞き手】

では20代というのは武者修行で外に出られて、色々な経験をされたのですね。

【藤井】

色々な会社にお世話になって、今でも感謝しています。

【聞き手】

そして30歳半ばに龍角散へご入社を?

【藤井】

33歳のときだったかな?あるとき親父と子どもを連れて家族で会っていたら、突然帰って来いと言い始めてね。

【聞き手】

寝耳に水という感じだったのでしょうか?

【藤井】

そう。大体子どもを連れて行っても仕事の話は一切しなかった。何か言うと大げんかになるからもうしないよと。「龍角散、もたもたやっているとえらいことになるぞ」と言ったりするからね。すると「お前に何がわかるんだ」と怒るから一切しなかった。突然どうしても帰って来いという話になって、「勉強していいといったじゃないですか、今更何ですか」と言っても、「いいから」と言われました。

今から考えると、自分でもう体に自信がなかったのでしょうね。もしかしたらもう持たないと思ったのでしょう。あの時はものすごく手回しが早かった。週末だったけど、月曜日に会社に行ったらすぐ事業部長に呼ばれて、「残念だけど帰すことになったから」と言われて。「どうしてですか?」と言っても、「しょうがない、俺も初めて聞いて参った」とか言ってね。あの時、光ディスクを一生懸命売っていましたし、私のチームで結構売っていたものだから、驚いたなとなりました。

社長プロフィール

President's profile
氏名 藤井 隆太
役職 代表取締役社長

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