株式会社アクセルスペース ~宇宙に挑む東大発ベンチャー!超小型衛星プロジェクトの舞台裏 ~

Vol.3 超小型人工衛星プロジェクトの裏側

株式会社アクセルスペース 代表取締役 中村 友哉 (2015年10月取材)

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―超小型人工衛星プロジェクトの裏側―

【聞き手】

始められた当初はどんな感じだったのですか?

【中村】

もう最初は失敗したなと思いましたね。その研究室に配属されて次の日、相模原にある宇宙科学研究所で試験があるから参加してくれと言われて。

【聞き手】

試験?

【中村】

衛生が宇宙で耐えられるかどうかの試験をちょうどやっている時期で、やってきてと言われて行ったら、「じゃあ24時間シフトでお願いします」と言われて、「え、どういうことでしょう」と(笑)。その場で寝て、24時間たったら誰かが交代の人が来るという試験で、今で言ったらブラックな研究室みたいな感じですね。

【聞き手】

でもその時には入ってすぐなので何の知見もないわけですよね。

【中村】

何もないんですよ。

【聞き手】

とにかく行ってくれ、そこにいてくれ、研究に立ち会ってくれと。

【中村】

やはり人が足りないので、本当に猫の手も借りたいような状況だったのだと思います。しかも先輩方が話すことは専門的すぎて何言っているかわからないわけですよね。なんかまずいところ来ちゃったなと、最初の1ヵ月は思いましたね。

【聞き手】

どのあたりから面白さに目覚めたのですか?

【中村】

3ヵ月ほど経ってくると、だんだん何を話しているのかがわかるようになってきて、自分が何をしないといけないのか、何をしているのか、その衛星の中でどういうパートを担当しているのかということがわかるようになってきますので、そうするとやっぱり面白さがわかってきて、先輩方が寝る間も惜しんで衛星を一生懸命作っているという行為の意味がわかってきたという感じですかね。

【聞き手】

実際にやり始められて、どれくらいの期間で完成に至ったのでしょうか。

【中村】

私は途中から入ったのですが、検討開始から考えると3年くらいです。

【聞き手】

もっと何十年もかけてのプロジェクトかと思っていました。

【中村】

いやいや、学生は数年しかいないですから。学生がいる間に完成させないと、なかなか引き継ぐのも大変ですし、そのくらいで出来るくらいの複雑さの衛星だったということですね

【聞き手】

実際に打ち上げて、それが成功するわけですよね。その時の心境はどういう感じだったのですか?

【中村】

その時はやはり、何か信じられないような気持ちではありますね。自分たちが動かない動かないと一生懸命開発して、夜中までずっとソフトを開発したりして育ててきた衛星が、ここの場からいなくなってしまうということなので、何と言うのか、本当にロケットに乗っているのかなとか、やっぱり行ってしまうのがちょっと寂しい感じ。

【聞き手】

我が子の旅立ちのような?

【中村】

そうですね。娘を送るみたいな。

【聞き手】

手塩にかけて育ててきたのにと。

【中村】

もう帰ってこないのですけど、まさに嫁にやるくらいの気持ちで送り出しました。

【聞き手】

そんな宇宙に嫁にやった娘から、元気だよと信号が届いたときは…。

【中村】

それが一番、人工衛星のエンジニアがうれしい瞬間なのですよね。

【聞き手】

鳥肌が立ちますね。

【中村】

プロジェクトが1年2年と長いことかかるわけです。ゼロから自分たちが設定して組み上げて、動かない動かないとソフトウェアもハードウェアも作り直しを何度も何度もして、完成したら完成したで、今度は宇宙に耐えるための試験にどんどんかけられるのです。ロケットの打上げ振動とか、高温低温に耐えられるかどうかとか、真空はどうかとか、放射線はどうかとか。そういう次々試験をかけて、大丈夫だということがわかったら、今度は長期で動かして、地上との運用訓練といいますが、交信してソフトのバグがないかどうか調べていくということを長いことやって、ようやく打ち上げに至る。そこまで大体1年から2年かかってしまいます。それで祈るような思いでロケットに宇宙に送ってもらって、その衛星が初めて日本上空に来たときに、信号が出ているか出ていないかというのが、一番ドキドキするポイントなのですね。だから本当に祈るような思いで、信号来ますようにという感じで。そして来た瞬間というのは、すごいやはり大喜びですよね。

【聞き手】

みんなでうわーっと。感動の瞬間ですね。

【中村】

やはりパスが来る直前、パスというのは上空に来るタイミングのことですが、すごい緊張感です。しーんとなって。やはり聞こえた瞬間は皆で大喜びして。当然担当のエンジニアは今衛星の状態がどうかというのを一生懸命見るのですが。やはり苦労が報われた瞬間というか、もちろんこれからスタートするのですが、スタートがなければ何もかも始まらないので、ようやくスタートを迎えることができたという瞬間は、やはり非常に感動的なんですよ。

【聞き手】

一生忘れられない瞬間ですよね。

【中村】

これはおそらく人工衛星のエンジニアしか感じることの出来ない瞬間だと思いますね。

【聞き手】

すごくロマンがありますね。

社長プロフィール

President's profile
氏名 中村 友哉
役職 代表取締役

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