株式会社イトーキ 老舗企業が直面した大赤字から奇跡のV字回復の裏側 株式会社イトーキ 代表取締役会長 山田 匡通  (2016年3月取材)

Vol.5 進化するイトーキのビジネス

インタビュー内容

-進化するイトーキのビジネス-

【聞き手】

今やっていらっしゃるビジネスは、空間そのものをつくっていくという、今日はイトーキの東京イノベーションセンターというところで撮影をさせて頂いていますが、これはオフィスなのだろうかと思うぐらい、とても環境づくりというところにこだわって、今やっていらっしゃいますよね。

【山田】

結局イトーキという会社は、元々発明特許品の販売から始まって、途中からすぐに製造に入っていったんですね。ですから長い間オフィス関連の家具も含めた製造・販売をするという、いわば物理的なものの製造・販売、そういうことでずっときたのですが、オフィスの家具を製造・販売するんじゃなくて、オフィスを製造する、これを追求してきています。つまり、「オフィスをつくる」。今のこの時点では「空間」それから「環境」ですね。

要するに皆さんが働きやすい、そこから新しい価値を創造できるような、そういう生き生きとした職場を構成する空間、環境、場、これを提供すると。ですから、家具はその結果そういう場をつくることでついてくる、そういう位置づけで考えていて、新しいこれからのワークスタイルも含めて、私どもは提供していくという目標を掲げています。

【聞き手】

あと健康というのも意識して空間づくりっていうのをされていらっしゃる。

【山田】

そうなんですね。やはり健康経営というのが非常に重要だということは先ほど申し上げた通り、人間の体と心の健全性というものが、結局新しい人間の価値をつくり上げていくベースになっています。

新しい価値というのは、やはり人間の健康な心と体がベースになって、活き活きと躍動して活動する時に生まれてくるというふうに、皆さんも恐らくそう思っているように、我々もそれを強く意識しています。活き活きと活動する、その時の僕らの標語としては「人も活き活き、地球も生き生き」という2つのテーマで表現しているんですけれども、そこに込められている想いというのは、実は人も地球も本質的には1つの存在なんだということですね。

人間がなぜ生きているかというと、地球や宇宙が存在するからであり、人間だけを切り離して存在することはできないわけですね。ですから、地球が生き生きと活動することで初めて人も活き活きと活動ができますし、人が活き活きできない状況だと、地球自体も元々持っている機能を発揮できないという、そこは1つの世界なんです。

これは禅の考え方も入っているんですが、禅というものは、個々の存在と全体の環境は、本質的には1つの存在なんだということに僕の思想の原点があるんですね。だから人も活き活きする、地球も生き生きする、それによって1つの意味で人間の生活と創造的な活動がそこから生まれてくるんだという、それを追求しようというものがあるんですね。表面的には人も活き活き、地球も生き生きといっているんですが、それを追求しようとしているんですね。

その中でも健康ということについてもイトーキは非常に意識をしていて、エクササイズとワークというものを1つにする、ワークサイズという言葉を使い、働きながら健康を維持できる。健康のためにベットの時間を取るのではないということを追求しようと。これは厚生労働省や経済産業省などともコラボして、イトーキの色々なものを使いながら、実践しようとしているところです。

国としても、健康を維持しながら働ける環境をなんとしてもつくろうとする意識が強まって来ています。役職的に言うと、働くことによって健康が妨げられて、医療費がかさんでしまう、そういう観点からも見ていますし、やはり日本という国が正しく世界の中で戦っていくには新しいクリエイティブなものをつくり出していく、これがやはり日本のこれからの歩いて行く道なんだという意識が非常に強くなっていますね。イトーキはそれに積極的に取り組んでいこうとしているところです。


経営者プロフィール

氏名 山田 匡通
役職 代表取締役会長

会社概要

社名 株式会社イトーキ
本社所在地 東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋三井ビルディング
設立 1890
業種分類 その他の製造業
代表者名 山田 匡通
従業員数 3,892名
WEBサイト https://www.itoki.jp/
事業概要 ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業
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