iHeart Japan株式会社 ~iPS細胞を活用した心臓の再生医療に取り組む京都大学発のバイオベンチャー~

Vol.4 世界を変える同社の細胞医薬品開発技術

iHeart Japan株式会社 代表取締役 角田 健治 (2016年6月取材)

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-世界を変える同社の細胞医薬品開発技術-

【聞き手】

プロとして、投資家として色々とご覧になっていた中で、そんな角田さんがこれは素晴らしいと思ったポイントは何だったのでしょうか?

【角田】

それはもう効果です。今まで見たことがないくらいに効果があって、テクノロジーの中には実用化しやすいものとしにくいものが当然あるわけです。iPS細胞は比較的実用化しにくい難易度の高い技術です。それに比べて低分子の医薬品と呼ばれる、化学物質でできているもの、化学物質を使うものは実用化しやすいのです。

ですが、心臓の分野というのは、研究はやりつくされている部分があって、低分子でやれるものはかなり限界が来ていると思うんです。で、それに対して細胞そのものを医薬品として使うと、低分子化合物を使ってやるのでは全くできない、次元の違う治療ができるわけです。例えば低下した心機能で心不全という状態になっている。この状態を薬物で回復させるなどというのは、およそ無理なことです。低下していくのをちょっと遅くする、機能低下のスピードや悪化のスピードを遅くするというのができるぐらいで、機能を回復するというレベルの治療はおよそできないんですが、細胞を移植してやるとこれができるんです。

細胞医薬と呼ばれるものは細胞の小さいものを想像しますけど、実際にやることは細胞を培養して、ある程度組織のようになったものを移植するので、心臓を丸ごと移植しているわけではなく、心臓の壁の一部だけを移植しているというような治療なのです。

心臓は命にかかわり、しかも再生しないのです。肝臓だと切り取って、その部分が再生してくれるので、肝臓をドナーの方から移植しても、ドナーの方の肝臓は元通りに戻るわけです。でも、心臓においてそれはできないわけです。ドナーの心臓をとってしまったら、ドナーが亡くなってしまうわけですから、脳死の患者さんから移植するぐらいしかできない。心臓の組織を患者さんに移植するというのはそれくらいのことだったわけですけれども、iPS細胞だったらそういうことを気にせずにドナーがいなくてもできるわけですから、革命的な変化があります、ここには。

【聞き手】

本当にそれができるようになったらものすごく画期的で、世界中から注目される素晴らしい技術ですね。

【角田】

今は心臓の機能が低下することを心不全、その中でもひどい状態を重症心不全というんですけど、その患者さんが日本には20万人以上いるんです。この人たちの命を救おうと思うと、心臓移植をやらないとだめなんですが、心臓移植は年間で35件くらいしかできないんです。それは日本でドナーになる方がそれくらいしかいないからなんです。

これから先、ドナーの方が増えるというのは考えられません。脳死が増えるということを意味しているので、そんなことは起きないと思うんです。だから心臓移植を必要としている人と心臓移植を受けられる人の間の20万人以上と35件というこの大きなギャップが、iPS細胞を使った細胞医薬であれば、埋められるわけです。これは世界が変わりますよ。本当に。

【聞き手】

日本人の死因の第2位は心疾患ですが、これが変わってしまうわけですね。これは世界中の医療に携わる方が研究されているのですか?

【角田】

研究者はとても多いです。アンメットニーズと言いますが、そのギャップが大きいが故に、そこに挑戦する人も多いわけです。かなりメジャーな疾患ですし、競争はとても激しい。研究者が多いし関わっている企業も多いですから、世界を見渡すと競合技術はものすごくたくさんあります。けれども、そういった競合技術をベンチャーキャピタルの仕事をしながら色々見ていて、どのぐらいの機能回復が期待できるのかというのは概ねわかっていたんです。それで、それらと比べたときに山下先生がつくられた細胞シートの多層体というものがあるのですが、それがつくり出す薬の機能回復効果は桁外れにすごいです。

社長プロフィール

President's profile
氏名 角田 健治
役職 代表取締役

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