Vol.6 今後の事業の3本柱と視聴者へのメッセージ
―今後の事業の3本柱と視聴者へのメッセージ―
【井上】
今、ダイヤモンドワイヤを新たな技術として標準化する速度が非常に早まっています。流れが速い業界の中で、自分たちの存在感をいかに保ちながらグローバルトップを取るのかということに関しては、極めて戦略的な取り組みが必要だと思っています。ただ、事業全体として見たときにエネルギー分野は確かに成長事業分野ですが、これに偏りすぎてはいけないので、二つの新たな事業分野をできるだけ早く立ち上げたいと思って取り組んでいます。
その一つは、マイクロリアクター(一辺あたり1mm以下の空間で化学反応を行う装置)という技術をベースにした新規事業への取り組みです。マイクロリアクターというのは化学製品のものづくりの技術を転換するものです。今、一番この中で事業化に近いところでこの技術を使って、医療の分野における薬の開発に関する事業を起こし、これをベースにこの関連の事業に肉付けをし、拡大をしていきたいと思っています。ただし、これは中村超硬が自前でできるものではありませんので、外部の力をいかにうまく活用し、ひとつの事業分野としてつくり上げていきたいと考えています。これが、医療関係の分野でのマイクロリアクターに起点を置く一つの事業の期待値です。
もうひとつがシリコンです。我々はシリコンを大量に削るためのダイヤモンドワイヤを世の中に出し、このシリコンの削りクズを「シリコンスラッジ」と呼んでいますが、これは今ほとんど価値を生み出していません。これを、ものすごく価値を生み出すものに変えようではないかということを、大学と連携で4年前からやってきました。そのひとつがゼオライトという材料で、IRもさせていただいておりますが、これは日本の国内外で行なう事業になるかと思います。というのはシリコンのスラッジは、中国で最もたくさん採れるわけですから、日本の中で留め置くには非常にもったいない技術シーズです。多分、環境に有効なさまざまな製品をつくるために使われる材料に育っていくと思います。ですから、このシリコンのスラッジから、そういうゼオライトのような非常に環境に優れた材料をつくり出し、それをまたナノサイズ化したりしてさらに付加価値を高めて、それから生まれる製品展開、場合によっては我々が何かの製品メーカーになり得ることもあると思います。
ダイヤモンドワイヤがエネルギー分野です。我々の微細加工技術から生まれたマイクロリアクターが、医療分野で医薬になろうかと思います。そしてシリコンスラッジの活用というところから生まれた事業が、環境分野です。そういったところで、我々の当面の経営課題であり目標なのは、エネルギー、医療、環境という三本柱でポートフォリオを分散し、バランスを図っていきたいと考えています。
匠ということに支えられてきたものから、組織としてのプロセス開発に社業が転換してきて、この先にあるものというのは、さらにこれを製品展開するということです。プロセスでつくったものは、今までは大体がBtoBなのです。今後はBtoBを含め、BtoCということにも展開の可能性があると思います。自分たちのプロセスによってつくり出したモノの魅力を、直接製品にまで落とし込める。そういう可能性は、将来的に秘めていると思います。
中村超硬という会社は、チャレンジを続けるということが最も大きな特徴の会社であり、私はチャレンジャーであり続けたいと思っています。新たな技術、製品、事業にチャレンジを続けていきたいと思っています。もし当社にご関心があって、入社をご検討いただけるのであれば、まだまだ発展途上の会社ですので、自分の力で何か会社を変えてやろうという気概のある方がご入社いただけることを、心からお待ち申し上げております。どうか今後ともよろしくお願い致します。
経営者プロフィール
氏名 | 井上 誠 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1954年5月11日 |
会社概要
社名 | 株式会社中村超硬 |
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本社所在地 | 大阪府堺市西区鶴田町27-27 |
設立 | 1970 |
業種分類 | 機械器具製造業 |
代表者名 |
井上 誠
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従業員数 | 145名 |
WEBサイト | http://www.nakamura-gp.co.jp/ |
事業概要 | 特殊精密部品、工具および産業用機械装置の設計・製造・販売、化学繊維用紡糸ノズル及び周辺部品、不織布製造装置、不織布関連ノズル等の設計・製造・販売、ダイヤモンドワイヤ製造装置の開発・販売、パワー半導体・難削材向けダイヤモンドワイヤの開発・販売、ナノサイズゼオライトの開発・販売 |