株式会社中村超硬 ~成長の裏に匠の執念あり!世界に誇る、革新的技術の秘密~

Vol.2 SONY退社と新たなステージでの挑戦

株式会社中村超硬 代表取締役社長 井上 誠 (2016年7月取材)

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―ソニー退社と新たなステージでの挑戦――

【井上】

ちょうどその頃、家内の父親が経営する中村超硬に異変が起こりました。後継者がいないことが先代にとっては悩みだったと思うのですが、そういう隙を突かれて社員の引き抜きがあり、社業が立ちゆかなくなる可能性が出てきました。自分の両親は町工場をやっていて、その仕事を私にやらせたくはないと言っていましたが、やはりそういう不公平感といったものは問題意識として持っていましたから、そういう世界で一度自分の力を試してみたいという気持ちに駆られて、あまり準備をすることもなくソニーの退職を先に決めました。ただ、大事に育てていただいたソニーに対する愛着なり感謝なりの念が非常に強かったものですから、せめてものということでボーナス直前に、11月30日付で退職をしました。とはいっても、自分としては何も恩返しができないままではあるのですが、大阪に帰るという決断をしました。

何ができるのだろうかと思ってはいたのですが、何もできないことがすぐに分かりました。ソニーにいたときは、ソニーのバッジを付けてブランドに守られながら組織としての仕事をしているわけですが、一人の個となったときは、現実的には機械を使って物をつくることからやらないと駄目なのですが、自分は全く何もできないということを学び取りました。ゼロリセットですね。そういう中小企業の現場で働くことの基礎から、ゼロからスタートしました。

大阪の地ですから、人が来たときには「まいど!」とかいう言葉が出るのですが、そんな言葉さえも出ないようなところから、ちょっとカルチャーショックも味わいながら、人とのコミュニケーションや、モノづくりの基礎など、全てをゼロから学んだ感じでしたね。

自分は確かに設計者であり、何かを開発するということに対しては若干の経験と知識を持っていましたが、まずはお客様の図面通りにつくる物の一部を担当するということですから、それは全く役に立ちません。入った翌年などは、1年で土日祝日合わせても1週間ほどしか休めないくらい。しかも朝早くから夜遅くまで。自分の両親がやっていたのと同じようなことをやっているなと思いながら、そんな日々ですね。現場の一作業者としての生活、もうそれしかなかったです。

社長プロフィール

President's profile
氏名 井上 誠
役職 代表取締役社長
生年月日 1954年5月11日

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