Vol.3 ビジネスの原点と経営に大切なこと
―ビジネスの原点と経営に大切なこと―
【本郷】
我々はどういう視点でやってきたかというと、元々、市外電話や国際電話の簡単な取次や代理店営業をやっていて、そこの通信費の一部をキックバックでもらったり、インセンティブをもらったりしていたのです。ふと見てみると、色々なお客様のニーズがそこにはありました。電話の回線を安くするだけではなくて、電話も新しいのを売ってくれないの?とか。
そうすると、お客様が代表番号は何番で、ファックスの番号が何番で、デジタル回線なのかアナログ回線なのかとか、色々な情報がないと、そういう市外電話や国際電話の申し込みはもらえないのです。その情報が、ある日、気づいたら山のようにあるわけです。これを基に電話機を売ったら売れるんじゃない?ということで、電話を売り出しました。電話を売り出したら、コピーはやっていないの?と言われて、「やっていますよ」と。それで、コピーをやりました。
コピーをやって、電話をやっていると、配線でその当時、少しずつパソコンが普及し始めて、オフィスの中心がビジネスフォンや複写機などから、少しずつパソコンのほうに流れてきて、電話の配線と一緒にパソコンのラン配線もやってよと言われて、これはありだなと。では、電話配線と一緒にLAN配線もやりましょう、と。LAN配線をやっていると、ハブを売ってくれないの?となりました。あるいは、ファイアウォールや、ネットワーク機器、ルーターなどはやってくれないの?と。「やりましょう」となりました。
ルーターなどをやり出すと、今度は企業でVPNを組めないの?とか。「いや、組めますよ」ということで、ルーターやVPNをやっていると「ウェブなどもやりたいのですが、自社でドメインを立てるのが大変だから、ホスティングをやってくれたらホームページをつくりたいのですが」みたいな問い合わせもありました。それでホスティングサービスもやりますよと。
これはお客さんの時代の、オフィスの中心の選手を追いかけていけば、お客さんのニーズに合ったものができると思いました。お客さんも、オフィスの中の色々な端末やIT機器が複雑になっていけばなっていくほど、中小企業ですと情報システム部の担当者はいないですから、1社で全部まとめてやりましょうというような会社があれば、これは絶対に重宝してもらえと思いました。
ですから、ホスティングから入って、ホスティングをやる会社がウェブもつくってあげたほうがいいねということになって、ウェブの取り扱って。しかし、単純にウェブ制作だけだったら、どこでもできるでしょう。そこに対して、中小企業様の役に立てるということでいくと、やはりウェブを通して売り上げを伸ばしていかないと、人を採用しづらいですよね。ましては、中小企業に優秀な人間はなかなか来ない。そうすると、優秀な営業マンの代わりに、ウェブというツール、あるいはオムニチャネルというツールを使って、売り上げ拡大の支援をするというところまでやってあげたら、浮いたお金で色々なネット機器を買ってもらえるので、これはいいと思いました。
「何とかします」と言って帰ってきて、どうやればいいのか、みたいな、そんな世界でした。しかし、それがすごく大事なことで、それが商売の原点ではないかなと思うのです。僕らはできませんと言っていたら、仕事にならないです。知名度があるわけでもないし、すごいバックボーンがあってというわけでもないですし、すごい技術力があるわけでもないし、お客さんのほうから売ってよというような商品も何もないわけです。そうなってくると、役に立ってもらってなんぼという、そういう世界ですから。とりあえずは、まず「やります」と言ってから考えるという文化がずっと続いています。ベンチャーはどこもそういうところがあるのではないかなと思います。
自分自身の経験がほとんどないであろうサラリーマンで、これから頑張っていこうといってかけてやっていた会社が、突然倒産したということを経験したということではないでしょうか。それを通して、企業とは何だろう、会社とはどうあるべきなのか、経営者はどうあるべきなのかということが、すごく考えさせられました。会社というのは継続しなければいけないということがすごく大事だと思います。継続していくためには理念が大事だし、長く社員が働くということは、自分の定年退職である60や65に向けてそれなりの資産を形成するために、自分の大事な何十万時間や何百万時間という時間を会社に対して提供するわけですよね。
それに対しては、10年後にはつぶれるよ、20年後にはつぶれるよということではだめですよね。やはり継続して、この会社で最後まで頑張りたいという社員が一人でもいれば、継続しなければいけない義務が会社にはあると思うのです。ましてや、うちのように新卒採用をしている会社というのは、これから先は多分年金ももらえない時代が来るということを考えると、65歳、70歳まで働かなければならない可能性もあります。それを考えると、23歳で入ってきたら、下手をすれば40年、50年ということになっていくと、我々がやらなければいけないことは、企業の寿命は30年と言われている中で、どうやってこの壁を乗り越えて、50年、100年と続く会社にしていく礎が僕の代でつくれるかどうか。
そこが根幹にあるから強いし、それが強いと言えるかどうか分かりませんが、それが我々の良さであり、その根幹には長期にわたって永続的に繁栄し続ける会社でありたいと。そのためには、必然的に時代とともに変わっていかなければいけない。ダーウィンの法則ではありませんが、強いものが残るわけではなくて、時代に対応したものが生き残れるという、ビジネスの世界もまさしくそういう時代だと思いますから、そういった意味ではそこが根幹としてあるからかなと思います。
経営者プロフィール
氏名 | 本郷 秀之 |
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役職 | 元代表取締役社長 兼 最高経営責任者 |
生年月日 | 1966年5月1日 |
会社概要
社名 | スターティア株式会社 |
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本社所在地 | 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19階 |
設立 | 1996 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
本郷 秀之
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従業員数 | 474名(2024年3月末時点) |
WEBサイト | https://www.startia.co.jp/ |
事業概要 | システムインテグレーション・セキュリティ対策、通信システム機器販売・設計・施工・保守メンテナンス、OA機器販売・設計・施工・保守メンテナンス、Webサイトの企画・制作、Web集客のコンサルティング、電力小売、LED照明、空調機器、空気清浄機、電子ブレーカーの販売 |