スターティア株式会社 「役に立ってなんぼ」オフィスのITを支える企業の顧客ニーズのつかみ方 スターティア株式会社 元代表取締役社長 兼 最高経営責任者 本郷 秀之  (2016年9月取材)

Vol.2 『スターティア』誕生秘話

インタビュー内容

―『スターティア』誕生秘話―

【本郷】

当時、今から30年前に手取初任給33万円というのがありました。今思うといかないですよね。これは何か怪しいのではないかと思いますよね。当時は20歳で学校を出て、2年間しか東京の経験もないですし、世間的な知識がないわけです。「33万円もくれるの?これいいね」と思ったのですが、33万円をくれるのだったら厳しいだろうからこういうところで鍛え直してもらったほうがいいなと思って、パッと見たら、初任給33万円、寝具の訪問販売と書いてあるわけです。

「本郷、大丈夫か?頑張れ」とか、最初の1ヶ月間は優しいわけです。研修期間の3ヶ月は33万円の給料が保証なのです。4ヶ月目からは保証がなくなって、給料が23万ぐらいに下がるのです。3ヶ月間は優しかったのですが、4ヶ月目の初日から部長も変わりまして、もう観念して、どうせだったら布団の訪問販売なんていうのは営業力がないとかなり厳しいし売れないと思ったので、ここで営業力を身につけて、いっぱいお金を稼いで一旗揚げてやろうかと腹を決めまして、約7年近くいたのです。それなりの成績をおさめて、お金をたくさん稼いだのです。営業力もそれなりに身につきました。しかし、何か面白みがないのです。今まで培った営業の力を使って、何かレバレッジがかかるような事業に行けないのかなと思いました。

通信の自由化という波が日本にちょうど来ていました。アメリカは多分、日本の数年前に、AT&Tというアメリカの国が経営していた電話会社が民営化になって、日本も電報電話局が民営化になるということで、私がその業界に入る数年前に実はもうすでに民営化になっていたのです。NTT東日本とか西日本とか色々できて、そこがちょうどガーッと盛り上がるときだったので、事業転換で官から民へいく産業というのはものすごく競争が激しいのですが、成長性、あるいは潜在的なマーケットにはものすごいものがあるなと思いまして、これだと思いました。

当時、東京~大阪間の通話が3分間でNTTさんだと400円です。これは下手をすれば、ハワイにかけるより高い値段だったのです。今はいくらになっているかというと、IP電話などを使えば、10円や20円でかけられるのです。下手をすれば、無料で『LINE』で話ができたりしますしね。大阪にいるので、東京と『LINE』同士は関係がないですよね。だけど、官から民になったことによって、競争ができてきました。

競争が全ていいとは言わないですが、競争したことによって、確実に我々は通話料やインターネットの接続の費用など色々なものが下がっているのです。ここはものすごいチャンスだなということで、あなたも一緒に日本の通信料金、電話料金、市外電話料金、国際電話料金を下げる、こういう大きい公共的な仕事をやりませんかというようなキャッチがあったわけです。給料は、(以前と比べて)全然低いのです。だけど、これだと思いました。

俺も布団を売っている場合ではない。これからは、やはり通信だと。通信の値段を下げて、お客さんに喜んでもらう。これは俺の営業力を培ったことで、これを全面に押し出してやっていくのだと思って、すぐにアポを取りました。しかし、布団と比べると、通話料400円が300円になりますという営業ですから、簡単なわけです。取れないやつのほうが悪いのではないかと思うのです。僕は結構ぶっちぎっていました。大体、普通の営業マンの5倍から10倍ぐらい取っていました。布団と比べると簡単なのです。1年ぐらいでマネージャーになって、このまま行ったら、僕はこの会社で営業本部長ぐらいになれるかなと思っていたら、その会社が潰れました。

ちょうどその会社が潰れて、しばらく経ってからになるのですが、一度はバラバラになった当時の部下が、2、3年後ぐらいに集まる機会がありました。中には僕と一緒にある競合の会社に転職した人間もいるのですが、「みんなどうしているの?」という話をしたら、「こうやっています、ああやっていますと。だけど、もう1回本郷さんと一緒にやりたい」という話がありました。

「もう1回俺らでやりませんか」みたいな話になってきて、「誰が社長をやるんだ」と言ったら、「本郷さんしかいないでしょう」と。「本郷さん、お金は持っているって言っていたじゃないですか。本郷さんがお金を出して、社長もやってください。そうしたら、僕はもうついていきます」と。ここがみそなのですが、「僕らでもう1回、潰れない真面目なしっかりした会社をもう1回つくりませんか」と。本郷さんがやるのだったら、僕はついていきたいと言ってくれるやつがいて、「分かった。じゃあ、やるわ」ということで、この会社をつくりました。ですから、いまだにその創業メンバーで、当時「やるか」「やりましょう」と言ったメンバーが4人ぐらい残っています。創業の頃からいてくれているメンバーは全く辞めていないです。

恐らく僕の人徳ではなくて、いいメンバーに巡り会えたかなというふうに思っています。それでうちの会社があるということです。よその会社のことはあまり分かりませんが、役職が上にいって、社長出勤や役員出勤をして、銀座で飲み歩いて午後に来て、ごくろうさん、ゴルフ行ってくるわ、という会社ではないです。僕らも含めて、上に行けば行くほど働くのが当たり前だろうし、人として会社として正しいことをやろうということをすごく大事にしてやってきた会社です。それが認められて、今のような形になっているのかなという感じはします。


経営者プロフィール

氏名 本郷 秀之
役職 元代表取締役社長 兼 最高経営責任者
生年月日 1966年5月1日

会社概要

社名 スターティア株式会社
本社所在地 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19階
設立 1996
業種分類 情報通信業
代表者名 本郷 秀之
従業員数 470名(2023年3月末時点)
WEBサイト https://www.startia.co.jp/
事業概要 電子ブック、ITネットワーク環境からファシリティまで、オフィスのトータルコンサルティング・SaaS型オンラインストレージサービス・マネージドネットワークサービス、システムインテグレーション、セキュリティ対策・モバイルソリューションの販売、企画、開発、提供・通信システム機器販売、設計、施工、保守メンテナンス・OA機器販売、設計、施工、保守メンテナンス・コーポレートベンチャーキャピタル・連結子会社スターティアラボにおける電子ブック作成ソフトサービス、WEB制作・持分法適用会社MACオフィスによるオフィスファシリティのソリューションサービス
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