東京テアトル株式会社 消費者の「時間」を演出する！映画会社の次代に向けた挑戦 東京テアトル株式会社 代表取締役社長 太田 和宏　 (2017年5月取材)

―主力事業の今後の展開とこだわり―

【太田】

映画に関しては、『この世界の片隅に』は作家性を追求した作品なのですが、全国的に200万人規模でご覧いただきました。そういう可能性がでましたので、そういう作品はこれからは売り出していきたいですし、映画の配給ビジネスをこれからは拡大していきたいと思っています。

外食については、今まで札幌地区は子会社がやっていましたし、東京地区は東京でやっていたのですが、今度関東にセントラルキッチンの工場を作ることにしました。そうすると両社が連携して店舗展開ができます。今3つの業態を持っています。前は1業態しかなかったのですが、3つの業態を持つことによって、立地とか経済状況の制約がずいぶんなくなりますので、フレキシブルに動けます。そういう意味では外食事業を伸ばしていきたい。

中古マンションは今、旬なのですが、それよりもリノベーションに力を入れていきたい。今はリノベーションしてマンションを販売して、販売の方で収益を上げていますがが、お客様にあわせてカスタマイズしていくリノベーション販売でシェアを上げていきたいと思っています。

顧客シェアを高めるということにこだわっているのです。1人のお客さんに対していろいろなサービスが当社は提供できるという。いわゆるマスを対象にした会社さんというのは、その商品を買ってくれる人をできるだけ増やします。僕はどちらかというと、顧客シェアを高める（方向）。うちのお客さんというのは、映画と飲食と中古マンションで属性がかなり似ているのですね。

1つには自分の趣味や嗜好に明快なスタンスを持っていて、流行に流されないというのがうちのお客さんの特徴なのです。2つ目は、教養に対する投資を全く惜しまない。自分の教養を高めたり、知的好奇心や心を満足させたりするためには、投資を一切惜しまない。最後がある一定のコミュニティーを形成するのが好き。オフ会など、自分と同じ嗜好や考え方を持った人たちと、定期的に集まって話し合いをするのが好き。コミュニティーを形成するのが好き。うちのお客さんは特に映画はそうなのですが、よく考えたら外食もそういう人が多いのです。中古マンションのリフォームもそうなので、ライフスタイルにこだわりを持った人が多いのです。顧客がそういう属性なので、それに対していろいろなサービスが提供できるようになれるのであれば、全く違うジャンルでもひょっとしたらこれから新規事業で参入していくかもしれません。