株式会社市進ホールディングス 成熟した組織の戦略!人材の高齢化が秘める新たな可能性 株式会社市進ホールディングス 代表取締役社長 下屋 俊裕 

Vol.2 講師の高齢化に秘められた可能性

インタビュー内容

―講師の高齢化に秘められた可能性―

【聞き手】

ものすごく時代が大きく変化していっていると思いますが、この40年くらいの中で一番大変だったなとご自身で思われる時期はいつ頃ですか?

【下屋】

この10年ですね。少子化をある程度読んだ展開を、会社自体はして来ていたと思います。ただ対面事業の場合は、全国展開の商品ではないなと。結局、個性のある先生が何人も同じように存在するわけではありませんし、子どもも少なくなっていくのに、教室を出していって維持をしていくというやり方の限界に、どこで見切りをつけなくてはいけないのかという判断のつらさがありました。あるいは首都圏に展開した後、生徒はやはり段々と減っていく状況の中でどう事業を転換させていくのかというのが、ちょうどこの10年間だったと思います。
ある面“のほほん”とやっていた時期というか、子どもたちが受かったと報告に来てくれて、よかったなとか、社会人になってからも挨拶に来てくれる子の報告を受けていた頃のうれしさとはまた違って、会社としてのこれから先の生き方というのがこの10年間である意味凝縮されていたような気がするので、そういう意味では一番しんどかったなというのがここ10年ですね。

【聞き手】

生徒さんには、自分たちでやる気を伸ばしていくというところに力を入れていらっしゃると伺っているのですが。

【下屋】

例えば1時間から1時間半教えた後、家に帰って出来るまで塾に留めておいてやる必要はありません。手取り足取り宿題までやってあげて、完成させて返しても、その子が家へ帰って、じゃあ何をすればいいのか全くわからない。塾できちっとやったことを家へ帰って復習すると、同じ復習するでも1番から5番まで(繰り返す)。1番2番は簡単に出来たのに、何か復習しろと言ったら1番からやろうとするのです。そうじゃなくて、3番や4番の出来なかった問題や中途半場に解けた問題などをきちっとするのが復習です。そういうことを自分で考えながら出来るようにさせたいし、そういう時間もきちっと家庭で作ってあげたい。家に帰って自分で何をやらないといけないかがわからない子が、そのまま中学校にいったとしても、面倒を見ないと何もできない子にしかなりません。
自立する子どもは、自分がその日何をやるべきかがきちっと判断できる子。もちろんそれが小学校の段階、中学校の段階、高校の段階ではそれぞれ異なりますが、いわゆる自分で考えて判断できる子を、きちんと勉強の面で作ってあげたいと思いますので、ゆとりを持たせた形で受験もやらせたかったという経緯があります。

【聞き手】

ご自身が代表として会社を率いて行かれる中で、いろいろな新しいことにチャレンジして来られていますよね。

【下屋】

その一つは、うちの会社の特徴なのですが、離職率が非常に低い会社であることに関係します。

【聞き手】

めずらしいですよね。

【下屋】

自分自身がほぼバイト感覚で入っていた頃から、非常に福利厚生面が整っていて、当時から退職金制度なども充実していました。そういう面で非常に働きやすい環境で52年目を迎えている会社なので、離職率が高い(業界)と聞くと非常に違和感を覚えていました。他の人に言わせるとお前のところがおかしいんだとよく言われていたのですが。
52年目を迎えますので、社員の人たちの高齢化がどうしても出てきますが、少子化の問題もある中で、現場サイドは若い先生の人気が高いです。良い先生の定義は難しいのですが、若くて元気がある先生が現場で教えていると非常に活気があるし、生徒さんたちもそれでさらに活気が出るし、さらにその先生の教える技量が非常に高い場合はものすごい人気が出ます。
すると、技術があって、かなり教える能力があり、知識も非常に持ってらっしゃる方々が非常にもったいない。でもまだ現場で働きたいと考えていくと、根っこの考え方になるのは、“教える”ということです。それに伴う知識はあるので、対象を小中高生じゃなくて、高齢者、あるいは幼児のところまで広げていっても、それから海外まで広げていっても、この人たちでもなんとかなると。つまり教えるというのがベースにあれば、職種が変わっても働いて行けるのではないのかなという考え方でした。
例えば高齢者の方たちは非常に知識欲が高く、カルチャースクールが流行する背景などを含めても学びたいという意欲が高い。今は学研ホールディングスさんの中の学研ココファングループにかなりの人たちが出向していますし、そこで施設長をやっている方もいます。結局根っこの部分は、相手が話すことに対して、聞き上手になれること。それから、いろいろなことを問われても、学問的な知識が他の人よりは少しあるという部分で話し相手などにはなりやすく、聞かれてもわかりやすく教えられる。そういう部分が生かせていると感じています。


経営者プロフィール

氏名 下屋 俊裕
役職 代表取締役社長

会社概要

社名 株式会社市進ホールディングス
本社所在地 千葉県市川市八幡二丁目3番11号 GEエジソンビル
設立 1965
業種分類 サービス業
代表者名 下屋 俊裕
従業員数 4482 名
WEBサイト http://ir.ichishin.co.jp/
事業概要 学習塾「市進学院」「市進予備校」や個別指導塾「個太郎塾」FC教室、「桐杏学園」などの運営
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