Vol.3 『ブラックモンブラン』に抱いた危機感
―『ブラックモンブラン』に抱いた危機感―
【竹下】
竹下製菓では、現場を見たり、仕組みを学んだり、フローチャートやロスをチェックしたりいう勉強や、製品のつくり方を学ぶため試作を教えてもらうことが半分で、残りの半分はうちのフランチャイズのホテル事業のレストランで給仕をしていました。
竹下製菓は、今は『ブラックモンブラン』というアイスが一番主力で竹下の代名詞ともいえるのですが、二番手三番手の商品がそこまでいっていません。一つの製品に頼るというのは経営としても不安定ですし、冷菓だけでなく菓子事業でも新商品開発をしっかり行って、菓子冷菓での両輪を回すしそれぞれの部門の中でも何品かで部門の売り上げを支えていくのが理想だと思っていました。
そしてなんとなく、『ブラックモンブラン』があるからこの会社は大丈夫だろうと思われているような会社の雰囲気がありました。胡坐をかいているような、働いている方々が安心をしているような感じがあったのです。新しいことをやるというのは大変と言えば大変ですので、そこに対する少し後ろ向きな感じがあって、このままでは会社全体でも良くないのではないかと思いました。もっと楽しい、つくっていてもわくわくできる、そしてお客さんにとっても竹下から次は何がでてくるんだろうと思ってもらえるような新商品を出していきたいと、新商品開発に取り組み始めました。
私が担当するようになってから気にかけていたのは、中がおいしいのは当然で最低限。それだけでなく手に取ってもらえる、バイヤーさんに店頭に置いてもらえる商品にしなくてはということ。それまでもうちが開発していた商品は結構おいしかったのですが、残らなかったのです。店舗にも置いてもらえないし、リピーターが付かないから店舗から消えていく。それをなんとか置いてもらいたい、お客さんも手に取って買いたいと思うためには、やはり見た目とネーミング。思わず手に取りたくなるという風な仕掛けを考えなくてはいけないと。大手さんみたいにプロモーションをバンバンうてるわけではないので、そうなると商品自身に発信してもらうとか、今はSNSがはやっている時代なのでそこで取り上げてもらえる可能性があるとしたらどういったものなのだろうということを考えていかなければならないと思いました。
何が正解かはわからなかったので、1品ごとにこれはこっちに振ってみよう、これはあっちに振ってみようという感じで、手探りで今正直やっています。
これで『朝食アイス』も生まれました。手に取ってもらうきっかけとして、明確にこれを朝食にどうぞとしてあげると、シーンをイメージしやすいですよね。そして購入につなげたいというのもありましたし、実はパッケージがブラックモンブランのロゴにちょっと似ているのです。オマージュです。『ブラックモンブラン』を知っている方からすると、「これパクリ?」と気になるのではないかと思うのです。気になって、少しでも見てもらいたいという考えです。
それだけじゃなく、何品も出していったのですが、過去のパッケージやネーミングはどれも違っています。なんだか最近竹下さん違うのをやっているよねとか、という声をまず業界内からいただくようになりました。
特に会長の商品開発に対する思い入れが強いのです。私もそうなのですが、やはりまだ会長の父の背中を超えられていない、『ブラックモンブラン』を超える商品をつくれていないという思いがあるようで、バトンタッチしたからには好きな商品を考えるという方向のようです。
『ブラックモンブラン』だけでこの先というのは、会社として安定していないというのは当然あるのですが、これはもう単なる自分の趣味というか、血潮がたぎるというか、やはり祖父が残した偉大なものだからこそ、自分もやりたい、超えたい、並びたいというのはありますね。
経営者プロフィール
氏名 | 竹下 真由 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 竹下製菓株式会社 |
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本社所在地 | 佐賀県小城市小城町池の上2500番地 |
設立 | 1927 |
業種分類 | 食料品・飲料製造業 |
代表者名 | 竹下 敏昭 |
従業員数 | 80 名 |
WEBサイト | http://takeshita-seika.jp/ |
事業概要 | 「ブラックモンブラン」を始めとした、冷菓、菓子製造販売 |