【ナレーター】
現在、人材管理市場において、国内トップシェアを獲得しているカオナビ。それが実現できた背景として、「やりたいと思う意志の強さ」があると、佐藤は言い切る。
【佐藤】
こういうことがやりたいって思ってると、いろんなものが目に入るし、発信してるといろんな人が声をかけてくれますよね。だから、こういうことをやりたいと思って発信するっていう行為は、その意思の強さに比例するから、その意思の強さこそ大事でしょうと。本当にやりたいと思っていれば、そんなに簡単に諦めないだろうなと思います。
だから、こういう未来をつくりたいとか、こういうことをやってみたいとかっていう意志の強さが、初期段階においては最も原動力になるんだろうなっていうのは思いますよね。
【ナレーター】
働き方の多様化が進み、企業と個人の関係が変わり始めている。今後の雇用のあり方について、佐藤は「相互選択関係」をキーワードに挙げ、次のように語る。
【佐藤】
今までの企業と働く人の関係は相互拘束関係だったわけですね。企業は個人が離職しないように縛る。定年まで働ければ、退職金を多大に払うっていう終身雇用制で、相互に拘束する関係だった。
これが「相互拘束」から「相互選択」関係の時代に、ここ10年、20年は移ってきていて、企業は働く個人にとって、そこで働くことで自分が成長できるのか。その報酬が自分の貢献に見合った額をもらえるのか。何らかの働く動機を形成しないと選ばれない時代になっています。
一方で、個人にとっても、企業が多様な雇用形態を選べるわけですから、ずっと正社員でいられる保障もないし、業務委託で優秀な人に発注することもあるだろうから、企業に選んでもらえる人材じゃないといけない。
だから、企業も個人に選ばれることで競争力の源泉が保たれる時代になる一方で、個人も学び続けて、選ばれ続けないといけない。大変な時代になってきていると思います。ただ、自分で自分を経営しているという感覚がある個人にとっては、働く場所や時間も自由に選べるし、複数の会社で働いてもいいし、自由なキャリアが描ける時代が来ているってことだと思いますね。
【ナレーター】
今後は、自社のタレントマネジメントシステムを、日本全国で、そしてアジア全域でのプラットフォームにしていきたいと語る佐藤。見据える展望とは。
【佐藤】
企業と個人を結ぶコミュニケーションのプラットフォームがカオナビなんですね。個人が何を考えているか、どういうキャリアを望んでいるか、どういうスキルを持ってるかは企業がもっと把握しないといけない。
一方で、個人も企業にどういうことを求められているのか、その中で自分はどうキャリア形成をしていけるのかってことを把握しないといけない。今機能をたくさん拡充してますけど、将来的には日本全体、ないしはアジア全体でタレントマネジメントされるようなシステムにしていくということが最終的なパーパスですよね。
日本全体やアジア全体でのタレントマネジメントプラットフォームになっていくためには、働く人のありとあらゆるデータを集めないといけない。そうなった時に、タレントマネジメントだけでは不十分で、HRテックのすべての領域のデータを集めたいと思っているので、ロウムメイトっていう新規事業も始めました。
個人のデータをいろんな方面から集め、解像度を高めて、個人が最適に働く場所はどこか、どういう人とどういうステージで働くべきか。そのための事業は自社はもちろん、M&Aをしたり、提携したりしながら、拡張していきたいと思っています。
【ナレーター】
求める人材像について、基本的には「ない」と言い切る佐藤。その真意に迫った。
【佐藤】
WILLが大事だっていう価値観を持っている会社なので、「キミが何をやりたいですか?」「キミはこの会社をどう利用したいですか?」っていう問いの方が大きいです。
相互拘束関係の時代から相互選択関係の時代に移ったということは、うちの社員もそうならないといけないので、自立的にこの会社で何がしたいとか、キャリアを築きたいって思っている人と一緒に働きたいっていうのが一つ答えになるかなと思いますね。
―大事にしている言葉―
【佐藤】
「自ら機会をつくり出し、機会によって自らを変えよ」って言葉です。これは就職活動の時に習って、ずっと覚えてますね。そして僕自身もそれを心がけてきて生きてきました。
自分自身が何か新しい経験をすることによって、もっと成長したいとか、自分の人生の幸せは自分でつかんでいきなさいって意味のある言葉なので、これが僕自身の人生でもあります。そのプロセスが起業だっただけで、当社の経営の真髄もそこに紐づいています。
自ら機会をつくってください。自分が何をやりたいか。そしてそれは会社のためでもあるけど、あなたの成長のためにもなる、そんな世の中にできればと思います。