【ナレーター】
その後ベビートイのマーケティング、商品開発部門、執行役員を経て、2021年1月に代表取締役社長へ就任。コンビをどのような企業にしていきたいと考えているのか。その胸中に迫った。
【小堀】
まず社長一人では何もできないです。号令だけかけても何も進まないんですね。
ただ私の想いはある。それを実現するには、皆が心を一つにしてやってやろうという気持ちにならないといけないんで、そうさせるにはどうしたらいいんだというのを、私は考えてやっています。
どういう会社にしたいかというとちょっと漠然としているかもしれませんが、“感動創造ナンバーワン企業”などというのを考えました。
満足度調査をしても弊社の商品の満足度調査は非常に高い。ただし他社の商品の満足度調査も非常に高い。あまり差がわからない。
弊社なりに誇りを持ったものづくりをしていますけれども、評価される部分と分からないところがたくさんあって。あまり変わらないなというのは賛成してるんですね。ここを突き抜けたいと。それぐらい良いものづくりをしているので。
それをいかに伝えるかというのは、満足レベルではない。感動レベルにならないと駄目ですよという思いでの感動創造です。
それはものづくり、実際のものもそうですし、我々の従業員の最終的には気持ち、あとお客様と接する態度、全て感動創造に尽きるかなという想いですね。
【ナレーター】
感動とは日常生活に普通に存在しているものであり、特別なことではない。
これを与えられる存在になるためにはどうすればよいか、従業員一人ひとりが考え、実行できるかが大事だと小堀は付け加える。
【小堀】
ある映画を見て私も感動してしまいまして。結構泣いちゃったんですよね。
感動って簡単に言えばそういうことなんですよね。こういう感動をコンビのあらゆる活動、モノもそうだしサービス、接し方もそうですし、従業員同士のやりとりも全てそうなんですが、すべてのやり取りが鬼滅の刃を上回ったらすごいなと。
何も難しいことじゃないと。朝「おはよう」とみんな挨拶すると。暗く言うのか明るく言うのかはその人次第ですよね。
どっちが楽しい、素敵な気分になるかは明るく元気に言ったほうがいいですよね。そういうことで別に難しいことではないので、それを意識しながら共有しあっていることが大切だと思います。
【ナレーター】
社会人になってからは困難に直面したことはないと言い切る小堀。壁に直面した時の小堀流マインドとは。
【小堀】
問題が起きた時に嫌だなと思うのか、良しと思うのかというのは、後からでも思えると思うんですよね。先天的とかの話じゃなくて、そう思うと思えばいいので。後からでも全然できると思います。
やろうと思って飛び込んできますよね。逃げるのではなくて飛び込んでいくと絶対結果にしかならない。その体験を早く掴める。
飛び込んで行かないだけなんです。行かないからわからないんですよね。行けば絶対に良いことが掴める、これは間違いないです。行けば掴めるのでその感覚が分かれば同じになると思うんですよ。
逃げるより突っ込んで行ったほうが全然いいと思っています。
【ナレーター】
求める人材像について、小堀は次のように語る。
【小堀】
感動創造と私は思っているので、自ら感動する人でないと感動を与えられないと思います。
感動しやすい人というと漠然としていますが、感動しやすい人がいいかなということと、テクノロジーが非常に加速的に進歩しているんですね。
特にIT系でいいますと、そういう新しいテクノロジーにもすごく興味を持ちながら情報収集できる人。
この組み合わせからハイテクノロジーと感動できる心を大事にする、この組み合わせが私はすごく大事だなと思っています。
【ナレーター】
ものが溢れている現代社会においてもなお、ニーズが満たされない領域は少なからず存在する。
そういった潜在的ニーズを掘り起こせるかどうかが、メーカーとしてイノベーションを起こす鍵になると小堀は言う。
【小堀】
例えばよく言われる、iPhoneが出る前にiPhoneが欲しいというのは調査をしても出てこないんです。キーボードのない携帯が欲しいですという調査結果は絶対に出ない。
なぜなら氷山の下の方は我々自身が認識できていないんです。
例えばこれがなかったとして、今これがあったらいいよねと。こういったものを出し続けるのがメーカーだと思っています。
「これは今までなかったけど実はこれ欲しかったんだ」と。これは本当に欲しいものであれば、見せるとわかります。
IPhone もこんなんですってスティーブ・ジョブズが出した時の、そんなことは考えもしてなかったんだけれども、言われてみたらすごい、いいじゃんって思うじゃないですか。そういう活動がまだまだメーカーとしてたくさんできるなと思いますね。
絶え間ないマイナーチェンジというのは一方で非常に重要ではあるんですが、そればかりになるとやはり生活にイノベーションが起きないんですね。
時代にマッチしていないと思うので、より潜在ニーズを掘り起こすというところが重要だと思います。
【ナレーター】
今後の展望として、コンビを通じて、心の豊かさの醸成とテクノロジーを融合させていきたいと小堀は語る。
私が感動創造と言っているのは、心の話ですよね。心はずっとなくならないと思うので、ここの組み合わせ方というのが、今まで想像できないような形になると思うんですよ。
ベビー用品だからハイテクノロジーは関係ないよねという見方もあるんです。
でも一方で、子育てというのはテクノロジーによって進化する面が当然あると思うし、それによって心が逆に豊かになる可能性もありますよね。私はその組み合わせだと思っているので、両方持っていきたい。
そこのバランスがすごく難しいと思うんですが、そこを補い合ったベストマッチというものが、やはり時代時代によってあるなと私は思います。
【ナレーター】
感動創造ナンバーワン企業へ。理想とする未来像の実現に向けて、コンビの挑戦は続く。