際コーポレーション株式会社 店舗再生・プロデュース事業が主軸。90の業態で約300超の店舗を運営 際コーポレーション株式会社 代表取締役 中島 武　 (2013年3月取材)

価値観

【中島】

最初の頃は自分たちが世の中をあっと驚かそうとか、何か面白い企画をしようとかそんな思いでいっぱいで、世間を見ないで自分たちが考えたことに酔って仕事をしてたんです。

今、僕たちは町の中で「あの店いいね！」と言われる店になろうよと。1つでも「いいね！」をいただける企業になろうよと。

それから、もう1つは働いている人がちゃんと自負を持てる企業になろうよ。自分たちが働いていて自負が持てるようなお店づくりをしていこうと。

何となく「ついででいいから、あの店に行こうよ」っていうお店にはなりたくないんですよね。
少しでも我々のこだわりと、それから社会の人たちに「いいね」、「行って良かったね」とか。

まだまだなかなかそこまでいきませんけど、そういうお店を作っていこうというのはシンプルですけど、うちの考え方ですね。

確かにあるんです。繁盛するお店と繁盛しないお店とか。それからお店の中に空気が、オーラがある店や、ない店とか。
それは何なのかというと、やはり僕は簡単なことを言うと、お店に対する最初はデザインなんですよね。

人は見かけによらぬではなく、見かけによるものなので、あと中身。中身がたいしたことない人は素敵なおしゃれしませんけどね。ですからイコールなんですよ。

あともう1つは記憶に残ったり、印象に残ったりする何かを持っていなくてはいけない。

人間のマインドは面白くて、きれいな富士山を見ると、すごく素敵な富士山を見ると、 1人で見ているのはもったいないので、隣の人に「ちょっと外を見なよ」、「富士山きれいだよ」とささやくんですよね。

だから飲食店も、自分1人で行って感動したり、どこかにズシンとくると、必ずお友達を誘って「あそこにいいのがあるよ」と。
結構みんなそうやって、ご紹介してくださったりするような行動を必ず取るんですね。

人の飲食に対するとか、消費に対する行動の心理というのは多分きちんとあるんです。
そこにレストランなり、そこのお店で自分で買い物したり、そこの物を買ったりするのは文化の共有なんですよね。

スーパーブランドの物をお持ちになる方がいますけど、あれはスーパーブランドが育んできた文化を共有しているんですね。

例えば、ある服を着ていると、あの人はかなりインテリジェンスの高い人ですねとか、ファッションやクリエイティビティに富んだ人だなとか。「分かっている人があれを着るんだよ」と。それを着ると分かった人になれるんだから、いいんですよね。

レストランもそうだし、そこに行っていると、そこの仲間になれるというのは素敵ではないかと思うんですね。そういう風になれるといいですよね。

ずいぶん自分たちでリノベーションを、年間で4〜50店舗リノベーションしてますから。店を作ったりするノウハウは蓄積されて、そこにはインテリアデザイナー、グラフィックデザイナー、それからメニューを開発していく、立ち上げていく企画の人たちと、その三つ巴があって、そこに僕が参加しています。

五島列島でホテルを作るよといった時には、デザイナーにこういうのをやりますよという、デザインのコンセプトを考えさせる。僕からヒントを与えないようになるべくするんですけどね。

僕は僕でこういう風にしようと思う。どっちがいいかというので、理屈的にどういう風にしていこうかというようなことを協議して作っていくんですね。

「上五島」という長崎から離島にホテルを作って、「マルゲリータ」というとても心地いいホテルなんですよね。
だからといって、スノッブではないんです、絶対に。

心地いいことが大事で、決してスノッブにするな、スタイリッシュにしないでくれ、野暮にしないでくれと。素敵な感じにしてくれ、こんなことしか言わないんですから。

ちょっと僕が参考に、例えばラルフローレンの生活ということを教えてあげるんです。ラルフローレンで生活というとなんか漠然だけど、ニューヨークの東の人たちが、オーセンティックでありながら、やっぱりとんがっているところもあるんです。

といいながら、ラルフローレンというような世界観というものがあるなら、それを真似することではなくて、そこに影響を受けて、私たちの世界観を作っていこうとか、こんなヒントを与えてやっていくだけです。面白いですよ。