Vol.2 価値観
価値観
【大久保】
経営者というのはパッション、情熱だよね。それがなかったら駄目だと思うんですよ。だけどその情熱やパッションというのは、私利私欲だと意外と弱いんだよね。電電公社のルールは嫌だな、これって変だな、通信回線もこれ高いな、変だな、常に生活者としてこれ変だよな、おかしいよなということに対して、みんなそう思ってるんじゃないかということで、確認するとみんなそう思っている。でも諦めている。だったら俺がやってやるぞというところに情熱が出てくるわけだね。だからなにくそという気持ちがあるので、色々なことがあっても結果突破してきたのかなとそんな気がするね。会社の人間はそこに向かって戦ってくれているので、それがなくては駄目だと思うね。
人間というのは何かをやるときに、自分でやっている仕事の意義とか意味というのをしっかりしないとパワーって出ないよ。なぜこれをしなくてはいけないんだというときに、なぜならばというものを持っているとやっぱり強いんだよね。そういったものを皆で共有するのが組織だと僕は思うね。そういう面ではうちの会社は10年、20年勤めている社員が何百人もいるんだよね。これは価値の共有ができているからだと僕は思うな。
【大久保】
人間というのはそのビジョンとかね、そういうのに人集まるだよね。それがないと会社はもろいよ。目先だけの、ただ楽しいから、儲かりそうだから、面白そうだからというのはね、一瞬続いても100年は続かないね。僕はやっぱり100年企業であるべきだと。最低でもね、企業はね、思っているので。そうなるとやはり、しっかりとしたビジョンを持たないと続かないと思うね。そういう意味で社会価値創出という言葉はすごく大事だと。企業というのはもともと社会のためにないと駄目なんだよ。社会の公器なんだから。社会の器なんですよ。もともとそうでなくてはいけない。自分の商品、サービスを通じて、どう社会へ貢献するか。人がやっていないからよしやってやろうという勇気、独自性だな。だけど最後はきれい事ばかり言っていられないから経済合理性。すなわち社会性、独自性、経済性というものを見るべきなのに、今の社会はどこかで、まず儲からなくてはいけないということで、経済性、独自性、ライバルいないかな、最後に社会性、法律に触れていないかなと見ているけれども、やっぱり社会性というものを持って仕事に臨まないとつまらないよね。
トップはいつも太陽の様に燃えていなくては駄目なんだよね。それでちょうどいいと僕は思うんだな。トップという太陽がガンガンガンガン燃えていてね、エネルギーを発しているからこそみんなが生きられるわけであって、太陽がなくなった会社なんていうのは、みんな社員がおかしくなっちゃって死んじゃいます。だから上に立つ人間というのは立っている以上は、熱く熱く熱く燃えていなくちゃ駄目なんだよ。これ義務だな。わかる?熱く燃えなくなったトップは降りなくちゃ駄目なんだな。そしてまた熱い太陽の中から探し出さなくちゃ。会社ってそういうものだよ。
【大久保】
もう亡くなってしまったんだけど、瀧口さんというブリヂストンの常務だった方がね、僕の会社の副社長に来られて、もうすぐ上場しましょうという時に、この会社には明確な社是がない、なぜ文章で作らないんだ、文章で書きなさいと。社是以上に大きくならないよと。会社というのは社長の器以上に大きくならないのと同じように、思い以上に大きくならないんだと。トップがどう思うかを形にするのが経営なんだと。あなたは思いをぶつけなさいと。しかもその思いにおいては誰にも負けない思いにしなさいと。しかもそれは未来永劫変わらない思いにしなさいと言われたとき、最初に僕はお客様を一番にしたんだ、実は。お客さんを。何かしっくりこないんだよね。何度書いてもしっくりこないんだよ。だけどお客だよな思いながら心の中では自分が嘘くさくて何か嫌なのね。やっぱり思ったのは、悪いけど社員だなと。僕を信じて入社してくれて、僕と共に戦ってくれている社員ほど大事なものは無いなと考え、俺はこの社員を大事にしようと。そしてその社員の家族も大事にしたいなと。その代わり社員と家族は逆にこの会社が成り立つのはお客様がいらっしゃるからなんだから、僕は社員・家族を大事にしよう、その社員はお客様を大事にしてくれと。そうすれば必ず株主や取引先にもちゃんと安定した配当を、ちゃんとした取引をしてあげられるんだなと。これでストンと順番が落ちたなということで、まずは社員、家族、この順番だということを決めたわけ。ストンと落ちたわけだ。
【大久保】
だから僕は今もやっぱりお客様のために言っているんだよ、いつも会社では。だけど、自分達社員が不幸であった時に、社員が本当に思うかな、お客のためになんて。絶対に思わないと思う。偽善だと思う。自分が幸せだから、人を幸せにできるんですよ。社員にお客様を幸せにしてやってくれよというなら、社員をまず幸せにしていなかったら絶対に(お客様を)幸せにできないから。それを考えればこの順番でいいんだということで。抵抗はありました。抵抗は。
あるときクレームで(お客様が)来た時、その(社是の)額を見てある方が怒ったんですよ。「なんでお客様が3番目に書いてあるんだ」と。「こんなことをやっているからお前は駄目なんだ」と怒られまして。めちゃくちゃに、僕は。怖かった。だけど、相手の怒りが収まるのを待って、じゃ質問しますけどと一つ一つ説いていった時に、相手の方はしっかり理解してくれて、許してくれたんですけどね。だからあれは変えない。世界中どこに行っても変えない。やっぱり社員だよ。
【大久保】
社員が仕事そのものをやりがいがあって、楽しくて、という気持ちになって私この仕事ができて幸せだなという気持ちになる。これが一番。
その環境を作るのは社長の仕事だって。それをろくに作らずにうちの社員は駄目だとか、お前が駄目だと僕は言いたいね。全部、会社というのはトップの責任ですよ、すべて、全部。社員を生かすも殺すも、お客様を生かすも殺すも、全部社長だね。
経営者プロフィール
氏名 | 大久保 秀夫 |
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役職 | 代表取締役会長 |
生年月日 | 1954年10月2日 |
座右の銘 | 「親孝行」 両親がいなければ、今の自分は存在しないから |
愛読書 | ビジョナリーカンパニーⅡ |
会社概要
社名 | 株式会社フォーバル |
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本社所在地 | 東京都渋谷区神宮前五丁目52番2号 青山オーバルビル14階 |
設立 | 1980 |
業種分類 | 卸売業 |
代表者名 |
大久保 秀夫
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従業員数 | 2,367人 |
WEBサイト | https://www.forval.co.jp/ |
事業概要 | IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などを含む情報通信コンサルティング事業と、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティング事業 |