株式会社ペッパーフードサービス 『いきなりステーキ』『ペッパーランチ』を中心に世界12カ国に300店舗以上を展開 株式会社ペッパーフードサービス 元代表取締役社長CEO 一瀬 邦夫　 (2012年12月取材)

歴史

【一瀬】

どうして、１店舗だったのを多店舗化しようと思ったかというと、従業員が１年の間に何人も辞めるんです。「社長お話しがあるんですけど」とくると「また来たな、嫌だな」という思いがします。どうしてそうなるかというと、社長と社長の家族は満足しているのですが、従業員たちの人生はどうなんだと考えた時に、やはり多店舗化しないと店長になれません。その上も狙えない、自分たちだってやがて結婚する、それを考えるとこの会社に将来があるのかとなります。当然、気の利いた仕事のできる人間から辞めていきます。辞められなくするためには、夢を持とう、複数店、多店舗化していこうと思いました。

【一瀬】

１店舗の頃はあれほど従業員に指示・命令がきちんと出せたのに、だんだん店舗数が増えてくるとものが言えなくなってしまいます。なぜかというと、辞められたら困るからです。それでやがて従業員に使われるような状況になって、倒産寸前まで追い込まれてしまう、その危機を脱するためにリストラクチャリングをしたわけです。あれほど辞められたら困ると思っていた従業員に、給与を下げると言いました。その時に「そんなことしたら社長私たち全員辞めますよ」と、言われたのです。もう来月になったら資金繰りが回らずに、このままでは倒産することがわかっていたので、「辞める人は辞めてもいいよ」と、「倒産したらみんなで辞めなくてはいけないのだから」と、開き直りにも似た強いことをきちんと言えました。結果的には誰も辞めずに、将来のことを語って、３ヶ月後には良い経営状況になったんです。