株式会社船橋屋 200年超“くず餅”一筋の老舗企業を変革した八代目当主 株式会社船橋屋 元代表取締役社長 渡辺 雅司  (2012年11月取材)

Vol.3 事業

インタビュー内容

事業

【渡辺】

この前ホールディングを作ったんですよ。船橋ホールディングスというのを作って、その下に船橋屋を持ってきました。あと三つぐらい新規事業を作っていきたいと思っています。一つはくず餅を乳酸菌発酵しているので、その乳酸菌を取りだしたサプリメントを作って、お医者さんで売っています。この事業を一般化させていきたいと思っています。もう一つは海外進出の部門を作っていきたいと思っています。特に東南アジアへの足がかりを作る会社を作っていきたいと思っています。もう一つは教育機関を作れたらいいなと。この四つを作っていって、それを今の社員の中から社長を作っていきたいです。会社を任せたいんです。そういう夢がありますね。それが事業構想としてあります。

【渡辺】

そして、和菓子については、本業のくず餅事業と、「こよみ」という広尾にお店があるのですが、これは若い人たちにたいする新たな我々のプレゼンテーションなんです。若い人に和のいい食材を知ってもらうためにハイブリッドな洋をからめたような、かわいい和菓子を出していくというのが我々の使命です。その部門を担う新規事業を作っていかないといけないと思っています。全部で四つか五つくらいの新しい事業展開を今後進めていくというのがビジョンです。くず餅を売っていくかはまだわかりません。ただ、先ほど言ったとおり、くず餅というのは、すごく東南アジアの人に受けるんです。アジアの人に受けるんです。これをやっていきたいです。それから関東だけのものを関西。今いくつもオファーを関西からいただいていますので、それを選んで「こよみ」を出店させるということがあります。関西と、あとは海外へと。これも結果的に自分の思いの中で真っ直ぐじゃないとやらないです。自分のんやってることって真っ直ぐなの?と。

【渡辺】

あと、よく言うのですが、王道と覇道という言い方があって、王道というのは自分の思った道、大切にしている道をしっかり守りながらやる。覇道は何でもいいから自分の力を見せつけたいという道です。僕は長い企業の中で、覇道を選んだ企業で続いているところはないと思うんです。それは結局自分の欲求、自己満足を満たすための経営者のエゴだと思っています。僕は銀行員の時に多くの企業を見てきているので、王道を選ぶというのが、長く続く企業のあり方だと思っています。

【渡辺】

長い間つき合っていても、駄目なところは全部切っていきました、僕になってから。60年、100年近いところも、みんな片っぱしから切っていきました。なぜかというと、品質が良くないから。そして同じ品質でも。通常より3割高いから。例えば折です。くず餅の折。全く同じものを作っても、3割高いんです。理由は長く付きあっているからです。祖父と父の代から。私の代で片っぱしから切っていきました。

【渡辺】

昔から残っている取引先は、残念ながら2社ぐらいしかないです。その浮いた分はもっといい商品を売る。もっといい原材料はないかと僕らは探すんですよ。例えば沖縄の各島回って黒糖を見に行ったり、読解堂のどこの農協さんが作っている豆がいいかなと、見に行くわけですよ。だからいいものを使う、使いこむ、使って、おいしいものができた時の喜びというのは、我々もあるので。

【渡辺】

今度構想があって、契約農家を作ろうと。うちの専用の農家を作ろうと思っているんです。農業を辞めていく人たちが多いですよね。土地が余っていますよね。専用のところであずきを作ってもらおうかなと、今そういう話をしています。我々によって、一人でも多く、農業って素晴らしいんだなと思ってくれる人が出てきてくれたらいいかなと。そういうことも思っています。むしろ、原材料がもっといいものがないかと話しています。

【渡辺】

希少性だけで、国内のものというのは、良くないのに、高いものがあるんですよ。使わないです。よっぽど中国を使います、そんなんだったら。中国のあずきだって、今おいしいんですよ、大豆だって。本当に大切に育ててる。有機で育ててる。一緒に比べたらわからないです。どっちがどっちか。だからその時々でどこを使うかは、別に国産にこだわらなくてもいいと思うんです。一番その時々でおいしいものを使う。逆に国産じゃなくては駄目だというほうが、色眼鏡で見ていると思います。よければおいしいほうがいいじゃないですか。安全なほうがいいじゃないですか。だったら一生懸命中国で頑張ろうと思ってやっている若手の中国経営者の心をこめて畑で作った穀物を作ってあげたほうが良くないですか。と思うんですよ。僕は志です。おつき合いをする時はその経営者の志とおつき合いをするので、長いからというのは、なしです。


経営者プロフィール

氏名 渡辺 雅司
役職 元代表取締役社長
生年月日 1964年2月16日
出身地 東京都
出身校 立教大学
座右の銘 深沈重厚経営者として深く考え適格な判断が出来る様、心がけている
愛読書 人は無理数で生きる

会社概要

社名 株式会社船橋屋
本社所在地 東京都江東区亀戸3-2-14
設立 1805
業種分類 食料品・飲料製造業
代表者名 渡辺 雅司
従業員数 300 名
WEBサイト http://www.funabashiya.co.jp/
事業概要 くず餅・あんみつ等の製造販売和スイーツなど創作カフェの経営
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