株式会社エー・ピーホールディングス(旧株式会社エー・ピーカンパニー) 『塚田農場』『四十八漁場』等150店舗以上を展開。急成長する外食企業 株式会社エー・ピーホールディングス(旧株式会社エー・ピーカンパニー) 代表取締役 社長 米山 久　 (2012年10月取材)

歴史

【米山】

起業はだいぶ前からしていましたけども、不動産業、ブライダル事業をやったりとかして。それでいまいち、心が奮い立つことがなくてですね。バーの潰れた居抜きの物件が出てきて、それを普通に仲介しようと思っていたのが、ちょっと試しに自分で、昼間は不動産業をやりながら、副業で夜にやってみようと思いました。何億という土地を動かしていたのが、何百円で仕入れたビールを何百円で売るみたいな。それが非常に面白くてですね。副業で始めたものが、これをちょっと本業にしていこうかと。副業で始めたダーツバーが、こんなまさか大きくなるとは夢にも思っていなかったですけども。ダーツバーで2〜3年、遊び程度でやっている中で、非常に飲食業が自分に向いているなと思い始めました。そこから展開性のある、ただ面白いだけではなくて、ちゃんと意味のあることをしたいと思って。でもダーツバーにはなかなか展開性がなかったので。それで新橋に「地鶏屋」という焼鳥屋さんがあって、すごい繁盛している。路地裏で場所もイマイチで、接客に別に特徴がある訳でもなくて、内装も別に普通の内装なんですけど、いつも予約をしないと入れない店になりました。それは何でそういう店だったかというと、生産者がやっている店だったんです。お父さんが千葉で養鶏場やっていて、息子さんが新橋の店をやっている。これは面白いと。ただ単においしい焼鳥屋さんはいっぱいあるけれども、生産者、養鶏農家が直接やっている焼鳥屋というのは、非常に僕はインパクトを感じたし。だからこんな新鮮、だからおいしいんだろう。これを僕らも何か形にできないかなというのが、一番最初の今の事業モデルのきっかけになったのが、そこだったんです。

【米山】

始めようということで、僕らはテストキッチンも何もないので、ダーツバーのキッチンがいわゆるテストキッチンで。日々、色々な鶏のサンプルを全国から取り寄せて、食べ比べたりして。例えば、有名な名古屋コーチンとか比内地鶏とかおいしかったけど、おいしいだけでは仕入れコストも高かったので、おいしいけど高いからいまいち売れないなとか。あとはこれだけブランドとして出回っているので、僕らがやる価値もないなということで。何種類も食べ比べながら、色々サンプルを取り寄せていた中で、たまたま「宮崎じどっこ」というのが地鶏として認定されたばかりで、まだそれほどブランディングされてなくて。この商材だったら使う価値があるかなと思って。それで始めたのが、じどっこだったんですね。もちろん最初はお肉屋さんを通っていたんです。いわゆる生産者がいて農協を通って、問屋さんだとかお肉屋さんから取っていて。ただもっと、せっかくおいしい地鶏なので、安く提供したいなというのがあったので、客単価を3,800円とか、いわゆる一般の人がポケットマネーで行けるような価格設定にして。それでやっていたんだけれども、なかなか原価が合わないので、どうしようかというところで、直接生産をやらないと価格として合わないなというところに行き着いたんですね。宮崎に行って、まず生産者を訪ねて、生産者だけだとなかなか黒字にしづらいので。まず行政に展開性だとか、その事業計画を持って行ったんですね。今後の展開性だとか、こういう形で直販、要は生産者から直接仕入れた形にすることによって、コストが下げられる。大量消費を仕掛けるためにはもっと一般ユーザーを相手にするぐらいの価格設定が必要で、それを直販にすれば、それぐらい売れるのでと言って、まず行政を口説いたんですね。すると行政が「面白い」と。行政がワンクッション入ることによって、わりと話がスムーズに進んでいった。行政がなぜ動いてくれるのかというと、将来的に展開性を持って鶏を売っていけば、加工場を作ったり、地域の雇用が生まれる。諸々で生産者から直接買い取ると、委託農家もたくさん増えるので、地域の雇用に繋がっていくわけじゃないですか。行政の目的は地域の活性化なので、いわゆる彼らの実現したいことをやるという前提で、生産者から直接仕入れることが可能になった。でもプラス、ブランドをさらに強くするために、僕らも直接生産者から仕入れる、なおかつ自分たちで生産も一緒に、生産者と同じポジションでやらせてもらうということを実現していったんですね。