アイリスオーヤマ株式会社 ~17億円の損失、失った仲間。3000億企業の原点~

Vol.3 商品について

アイリスオーヤマ株式会社 代表取締役会長 大山 健太郎 (2014年6月取材)

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―商品について―

【大山】

一般的に、製造業とはプロダクトアウトなんですね。自分の技術や商品をいかに川上から川下に流していくか、といったマネージメントをするのですが、供給過剰になると値段が崩れる。そのプロダクトアウトからマーケットインしよう、つまり、お客様のニーズに合った製品を作ろうと思い、我々もシュートしたのですが、マーケットインも競争なんですね。取引先のお店にとってみれば、商品は安いに越したことはありません。また、競合メーカーが出てくれば、商品は常に比較される。そうすると安定した売上、利益を挙げることは出来ません。そこで、私どもは「ユーザーイン」という方針を取りました。

私どもにとって、お客さんというと2通りの意味があります。商品を買っていただける取引先、得意先が私どもにとって目の前のお客様です。しかしそのお客様は我々の商品を実際に使うお客様ではなく、それを再販して売上を上げる方々です。そして、最終的に我々の商品をお店で買っていただく消費者こそが私どもにとってのお客さんだ、という考えから、常に消費者、生活者の目線に合った商品を開発しようと思いました。今顕在化している商品は必ず過当競争になっていきますから、まだ市場に出回っていない潜在的なニーズをいかに顕在化させるか、そのためには、私が生活の中で感じた不足、不満、不便を解消するものを商品化すれば、一般の消費者、生活者の方にも買っていただけるのだろうと考え、商品開発を進めていきました。

潜在的なニーズを顕在化する事業をやっているので、競合商品がない状態で商品を市場に出すことになります。お客さんにとってみれば、競合する商品がないので、他メーカーに比べて高い安いという概念は生じません。また、製造会社は当然原価を知っていますが、消費者は製造原価を知らない人がほとんどです。しかし、その商品を買うのにどのくらいの値段であれば適切か、という認識は持っています。これが値頃価格という価格です。

私どもは新しく商品を製造する時、常に原価目線ではなくお客様の目線に立ち、いくらなら買っていただけるだろう、と考え、この値頃価格を設定します。そしてその値頃価格から当社の必要経費や利益を差し引きし、商品の原価を決めていき、その原価の中で商品を作るという、「引き算」の商品開発をしています。ほとんどの企業は、原価、製造コスト、物流コスト、販管費がいくらかかる、ということをまず考えて、そこに利益などを上乗せするという「足し算」の方法で売価を決めています。しかし、その工程の中で考慮される費用は、お客さんにとっては何の関係もありません。お客さんにとってみればその商品一つ一つの価値の中で値段を見て買うか買わないかを決めるわけです。当社は、常に値頃価格を決め、それに基づいたモノづくりを行います。

一般的な企業は、常に同じ業界や業種の中で新商品を出し、お互いに競っています。どちらかというとキャッチアップ型という、先発商品があればそれの横並びで商品化をしていく、品揃えを増やすという方法を取っています。一方で私どもは、「ホームソリューション」と言っていますが、生活の中での問題点を発見し、そうした不足、不満、不便といった部分から答えを見出そうとしています。

アイディアは生活の中にあるのだ、と考えています。ですから、園芸用品を開発しようという時には庭で自分が園芸をする、ペット用品を開発するとなれば自らがペットを飼います。そうすることで自分が生活者として生活していく中で不満や不足や不便を改良していく、ということです。私から見れば、その問題点は無限大なんです。当然、不満がない、最高だ、という商品もありますが、その満足が来年になっても得られるかは分かりません。価値観、ニーズは常に変わっていく、そういう目線で、今の生活者視点でソリューションを見い出せる、ということです。

社長プロフィール

President's profile
氏名 大山 健太郎
役職 代表取締役会長
生年月日 1945/7/3
座右の銘 「心身一如」

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