森下仁丹株式会社 創業120年超。日本古来の医薬品『仁丹』の製造技術を新分野に活用 森下仁丹株式会社 元取締役会長 駒村 純一　 (2014年11月取材)

―社長就任までの道のり―

【聞き手】

イタリア時代を経て日本に戻ってこられてすぐの時とは？

【駒村】

向こうにいて帰任が決まって3月末の日本に戻った、その1か月前に辞表を出しました。

【聞き手】

それは何をもってお辞めになられたのですか？

【駒村】

イタリアで経営していた事業を日本でもやってみたい。やはり組織のトップになることは何事も良いですよ。三菱商事に帰っても上に上がるかどうかなど色々あるので日本に戻り商社で同じことを繰り返すのはつまらないと思った。

一回退路を断つというか辞めてしまわないと本気にならないですよね。仕事をやりながら次を探すというのは集中度が違う、年齢も52歳なのであまり時間がないわけです。大体60歳ぐらいでめどがたってしまい子会社の社長をやったりしても今の自分の歳では前職ならリタイアですよ。それよりは自分がヘッドでできる取り組みを日本で探そうということで退職を決意した。帰ってから4ヶ月たった頃、そろそろお金を稼いで持って帰らないと貯金を食いつぶしてしまう頃に、三菱商事関係者経由で森下仁丹から声がかかったということです。それで8月に決めたという経緯です。

【聞き手】

今まで外資の企業を見ていたところからすると、森下仁丹さんは創業だけでいえば1世紀を超える「ザ・日本企業」といいますか、そんな会社さんですよね？

【駒村】

「ザ・大阪」という感じですね。

【聞き手】

もともとの創業者でいらっしゃる、森下さんも事業者というか発明家というか職人気質というか、まったく真逆の会社の名前が挙がってきた時に最初はどう思われましたか？

【駒村】

イタリアの会社と事業規模・従業員数も近い森下仁丹はちょうどいいと思った。イタリアでの事業も初めは業績が悪かったが立て直して儲かる会社にしたので、これをもう一度やってみようと。入社当時の森下仁丹も非常に業績が悪かったのでかえってファイトが沸いた。やってみようと思いました。