Vol.3 改革成功までのエピソード
―改革成功までのエピソード―
【聞き手】
オファー後に実際に入社されて、新しい地を受け入れる抵抗などは感じられたりしませんでしたか?
【駒村】
入社当時、抵抗に近いようなことがありましたがそれほど大きなものには感じませんでした。意外と従業員は大人しかったですね。その当時会社の業績が良くなかったので気持ちが後ろ向きになっていた。そのせいか私に対して抵抗するほど元気がなかったように感じました。
【聞き手】
救世主のようなイメージでしょうか?
【駒村】
森下仁丹を救おうとかいうものではなく、自分のやり方を実現することしか考えていませんでした。その時にぶつかった時は実力で突き抜ける。よくきつい言葉も言いました。まず営利企業である以上は正当な営業活動で利益を得る、これはものすごく大事だとわかるものにやってもらわないといけない。あまりそういう意識の人はいないように感じました。
【聞き手】
それは老舗の看板があるが故なのでしょうね。
【駒村】
周りにも古い会社が多く、薬関係の会社の発祥の多くは大阪ですからね。そのまま立ち止まって良いと考える企業は成長しないどころか存続も難しい。そのような会社にはしたくないと早くから思っていました。
【聞き手】
就任されてから一番力を入れたことは何ですか?
【駒村】
やはり社員の意識です。森下仁丹規模の会社では組織はあまり意味がない。大企業的な組織にするとその内でしか仕事をしていきません。そんな余裕はないのでやはり一人何役もやりながら出てきた成果や仕事の内容に応じた組織を後でつくる形をとるべきです。11年目に入ってきて、ずいぶん組織は変えてきています。社長になる前も釣り鐘型の小グループの経営のスタイルをとる。上から下までそのグループに入ってもらい、意見を吸い上げたり、議論をしていくといった、社内でコミュニケーションする機会を増やして、私の考えや理念を伝えながら現場の仕事に生かし、実践してもらうことが大変重要だと思い、それを繰り返していました。
【聞き手】
他に改革の中でお力を入れてこられたことはありますでしょうか?
【駒村】
人材の中途採用に力を入れて組織をフレッシュにすることが必要でした。淀んでいる組織には輸血が必要なので、その為に比較的若い年代を中途採用しています。会社の慣習、風習などをあまり意識しないような自己主張の強いタイプの人材を採用していました。
【聞き手】
では、今は血の入れ替えといいますか、空気の入れ替えは行われているということでしょうか。
【駒村】
現時点で中途採用者が全体の6割です。
【聞き手】
8年間でずいぶん組織構成といいますか、会社の人員構成が変わっていますか?
【駒村】
はい。しかし人員構成が変わっても全員がアクティブではない。昔に比べればアクティブ度は上がっているがまだリーダーシップを執れる人材は不足していると感じます。
【聞き手】
人の採用の難しさなどは感じますか?
【駒村】
ものすごく採用の難しさを感じています。採用に携わらなくなってから、私自身が良いと思った人材がなかなかその通りにならない。中途採用者には責任のあるポジションを任せてうまくいかなければ1年位で交代させます。その後任には新たに採用するのではなく社内で能力のある人を抜擢する、ダメならまた次というやり方をしないと組織が活性化されません。
経営者プロフィール
氏名 | 駒村 純一 |
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役職 | 元取締役会長 |
生年月日 | 1950年5月3日 |
会社概要
社名 | 森下仁丹株式会社 |
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本社所在地 | 大阪府大阪市中央区玉造一丁目2番40号 |
設立 | 1936 |
業種分類 | 教育・学習支援・医療・福祉・複合サービス業 |
代表者名 |
駒村 純一
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従業員数 | 連結354名 単体326名 (2024年3月31日現在) |
WEBサイト | http://www.jintan.co.jp/ |
事業概要 | 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器ならびに食品等の製造および販売 |