クニヒロ株式会社 年間5,000トン。カキ取扱量日本一の水産商社 クニヒロ株式会社 元代表取締役社長 川﨑 育造　 (2014年12月取材)

―しまなみ海道のエピソード―

【川崎】

もともと尾道には歴史・伝統文化があったが新たな観光地として「しまなみ海道」が加わった。1999年に全線開通して最初の1年半は多くの観光客が訪れたが2013年は約60万人にまで減ってしまった。国土交通省が公募したしまなみ海道の活性化に関する社会実験に応募しました。実験のまま終わらせるのではなく、やるからには世界一を目指すことにしました。

日本サイクリング協会の副会長で今治市の市議会員さんの森さんに「世界一のサイクリングにしたい」と相談しました。すると、「自転車でしまなみ海道を渡ったことがありますか？」といわれるわけ、いや、ありませんと。尾道にサイクリング協会はあるんですか？と言われて、いや、ありませんと。それでは世界一といわれてもね、と。

【聞き手】

まずスタートラインにも立っていないじゃないかと。

【川崎】

まずはしまなみ海道を自転車で走ってみてくださいと言われました。すぐそのあとに広島県側から愛媛県側に実際に自転車で走ってみると広島県側には標識がないことに気が付いた。それを見て、世界一というのはおこがましいと思いました。

その当時は広電の太田会長という方が観光連盟の会長をされていて、世界一を目指そうという中で森会長に言われた話、僕が走ってみての感想をその場で伝えた訳です。私としては世界一のサイクリングロードにしたい。しかしながら愛媛県側には設備されているが、まったく広島県はされていないと伝えた。すると太田会長が川崎さん、その話、詳しく聞かせてくださいということで話しました。太田会長が、今でも涙が出るんです。亡くなられたんですね。で、どう言われたかといいますと、川崎さんから聞いた話を何年後になるかわからないが必ず金銭的な支援をすると言ってくれたんです。2500万円の補正予算を付けていただいたんです。

その結果サイクリストが選ぶ全国一人気のサイクリングロードに選出された。世界で最も魅力のある7つのコースの一つに選ばれた。まずは夢を描き志をもってそれを実現しようとすることが発想の原点で色々な支援の輪が広がれば何事も成就するいい例だと思います。