Vol.5 “究極”を実現するための人材育成
- “究極”を実現するための人材育成-
【山木】
当社がつくっている製品は、ハイエンドの一眼カメラと交換レンズなのですが、海外市場といっても、ハイエンドの世界はあまり変わらないです。お客様の求めている品質や求めている物というのは、それが日本だろうが、アメリカだろうが、中国だろうが、ベトナムだろうが、あまり変わらない。そこの平均所得によって、多少市場規模やパイの大きさが違ったりするのですが、いい写真を撮りたいというハイエンドのお客様や、プロの写真家のニーズというのはあまり変わらないので、製品軸をブレさせることなく、国、国境、人種などはあまり意識せずにつくっているというのが実態です。
ただ、例えば販売やマーケティングというのは、どうしてもローカルの要素が出てきますので、ビジネスを展開する上ではグローバルに「シグマはこういう考えでものづくりをしています、製品をつくっています」というメッセージを発信しつつも、ローカルの市場と対話しながら、お客様の声を聞きながら、ビジネスを少しずつ発展させていくというのが今のところの考え方です。ネットの評判ですと、当社はプロダクトアウトの会社と言われているのですが、それは当社のお客様の声を聞いたあとの製品の開発過程に影響していることだと思います。
私はよく技術者に「サラリーマンになるな」ということを言っています。言い方が悪くなるのですが、言われたことだけをやるのではなくて、自分が開発の主体となって考えてほしいということを伝えています。開発者、技術者が一番よく知っています。ある問題点やソリューションを解決するのに、商品企画的にはスペックを決めますが、多少そこのコストがオーバーしている、スペック的にちょっと違うとしても、お客様のもともとの課題を解決しているのであれば、そこは逸脱していても構わないという考え方でいます。そのため、紙に書かれた商品企画書よりも、コアとなるコンセプト、あるいは課題を解消するために、技術者自身が自分で考えて提案してほしいと伝えています。
そのため、たまに、私も驚くような提案がきて、最初のプレゼンを聞くと、これはひどいな、何を考えているのか、と言いたくなるのですが、最後まで聞いていると非常にロジカルな話で、確かにそれであればお客様の不満を解消する製品になるかもしれないと、最後は私が説得されて承認するということもあります。そのような技術者の思いや技術に対するこだわり、また彼らの持っている深い知識をベースにしたこだわりというものが、製品に形となって現れるので、世間からユニークな会社と言われるのだと思います。
あまり具体的に売上をどうしたい、どういうものをつくりたいということよりも、より良い写真が撮れる、あるいは、より良い映像、画像が撮れる機器を開発したいというとても漠然として、だけどとても遠い目標に向かって常に前進していきたいというのが、我々の思いであり願いです。何かゴールがあって、これを達成したら終わりではなくて、全てはプロセスだと思っています。日々大きな目標に向かってもがきながら努力して、でも一年前よりも少し高い所にいてというような形で、それがずっと続くのだと思います。そういうふうにプロセスを続けられるようにするのが目標ですし、それによって今までの技術では達成できなかった高み、そして新しい所に行けるし、そこからさらに前進できる。
写真は170年以上の歴史があって、文化の中で人々が写真を見て、美しい、素晴らしいと思う、そのような人の心を揺り動かす力がカメラ産業をずっと前進させてきて、おそらくここは変わらないと思います。お客様がこれでいいという満足を得ることはなくて、常により素晴らしい映像、画像を撮れるものをお求めになられると思いますので、常に究極を目指して取り組んでいくということだと思います。
経営者プロフィール
氏名 | 山木 和人 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社シグマ |
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本社所在地 | 神奈川県川崎市麻生区栗木2-8-15 |
設立 | 1961 |
業種分類 | 機械器具製造業 |
代表者名 |
山木 和人
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従業員数 | 1811名 |
WEBサイト | https://www.sigma-photo.co.jp/ |
事業概要 | デジタル一眼レフカメラ及びコンパクトデジタルカメラ、 一眼レフカメラ用交換レンズ、その他光学機器の製造、販売 |