株式会社メニコン ~コンタクトレンズ業界に革命をもたらした、業界初の会員制ビジネス成功の裏側~

Vol.2 同社の危機を救った逆転の発想と社長就任秘話

株式会社メニコン 代表執行役社長 田中 英成 (2016年6月取材)

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―同社の危機を救った逆転の発想と社長就任秘話―

【田中】

たまたまメニコンで新販売店をつくるとなった時に、併設する眼科の医師を募集するということがあって。これはもちろん別経営なんですが、そこの医院長をやってくれないかというオファーが来て、それが僕にとっては渡りに船のように思えたので、大学の教授に実はこういう事情で辞めたいと思うんですけど、と言ったら、誰も止めなかった所を見ると、やはりこれが正解だったのかなと思います。

やはりこのコンタクトレンズ業界の中でしっかりと社会に恩返しをしなきゃいけないという想いがどんどん強くなってきたんですよ。僕がメニコンに戻った年というのは1990年の半ばくらいなのですが、その頃はバブルがはじけて、世の中はデフレスパイラルの状態なので、物の価格というのはどんどん下がっていく。異常に下がっていく時代だったんですね。

失われた20年とか30年とか言われていますが、この時にコンタクトレンズ業界も例外ではなくて、コンタクトレンズの値段も、かつての定価の半分以下まで落ちていたんですね。販売価格が下がるということはユーザーにとってはハッピーに見えるんですが、その結果として実際にレンズを売って下さる販売店さんも利益率が下がって経営が疲弊してきます。合わせてメーカーも価格競争をし続けるということは、やはり企業体力が落ちていく。

そうなると商品の開発とかでも、コンタクトレンズではあってはいけませんが、品質が低下してくるということも起こり得るわけですよ。僕は、これはいけない、と。これはコンタクトレンズを使う患者様の目を守るという義務はメニコンにももちろんあるけど、業界全体にある。これを許していると業界が疲弊してしまって、そしてもう業界の発展が無くなってしまう、それくらいの危機だということを悩み続けている時に、迷惑しているのはエンドユーザーですからね。

ある時、ふと思ったのは、コンタクトレンズの流通のキャッシュフロー、つまり、商流と物流の構造を逆転させたんです。そうするとその瞬間、価格破壊が無くなり、そしてユーザーの満足度も上がり、販売店の利益もあがり、メニコンの利益も上がり、業界全体の信用を取り戻す仕組みを思い付いたんですよ。これが『メルスプラン』という会員制システムの発案のきっかけなんですね。
よく考えると『メルスプラン』というのは世の中の流通形態を全く変えてしまうビジネスモデルの大革命なんですよね。それは実はすごくリスクが高い。もしかするとメニコンがそれをやることで倒産するかもしれない。それくらいのリスクがあるものなんです。それをボトムアップで社員から考えさせたら社員はきっと褒められるだろうと僕は思っていたので、アイデアだけ渡して実行段階まで持っていってと言ったのですが、それはやはり出来ないということに気付いたんですね。企業の生きるか死ぬかのチャレンジは社員には出来ない。これの責任が取れるのは経営者だけなんだとその時に初めて気付いて。これはボトムアップではなくてトップダウンで落とさないと遂行出来ないと気付いたんです。それで、2000年の時に、会長である父に、『メルスプラン』を推進しようと思っているが非常にリスクが高くて、ボトムアップでは誰も出来ない、トップで落とさなければいけない。トップで落とすためには、父はマネジメントそのものはやっていませんので、当時の事実上のトップでは出来ない。逆に部長クラスから提案させることも出来ない。これはもうトップの交代しかない。それで、恐らく5年経ったら倒産します、と。

【聞き手】

このままいけば。

【田中】

このままいけば倒産するというくらいの危機です。だから、トップダウンで落とすために社長を代わってくれと父に直談判したんですね。社長を代わるためにお願いしたいことが2つあるということで、1つは、父に完全引退してくれということ。取締役も代表権も放棄して欲しいということ。それから、子飼いの今まで勤めてくれた役員を父が引退すると同時に退任するように進めて欲しいという風にお願いしたんですよ。そうしましたら父がほとんど即答で、「わかった」と。

【聞き手】

すごいですね。

【田中】

これは感謝ですね。

社長プロフィール

President's profile
氏名 田中 英成
役職 代表執行役社長

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