Vol.3 「人間性の回復」を目指す
―「人間性の回復」を目指す―
【山井】
キャンプの日本における人口というのは、人口の7%くらいしかないんですね。93%の人は非キャンパーでいらっしゃる。
スノーピークのビジネスの根源的な価値というのは人間性の回復だと思っていまして。先進国に住んでいらっしゃる方特有の文明によるストレスということを自然の中で癒すということは我々の存在理由であり、ミッションだと思っています。
それを考えた時に、キャンプをやっている方々は土日などのお休みの日に、自然の中に行かれてある程度人間性が回復されたりとか、自然の中でご家族で親密な時間を過ごすことによって、幸せになっていらっしゃったりするんですが、キャンプやらない人達はキャンプをやっている人に比べると人間性が回復されていないというところにビジネスチャンスがありますし、我々のミッションをもっと拡大できるという余地があると思って、『アーバンアウトドア』という言葉をつくって、そういう事業展開を始めているところなんですね。
スノーピークの社員、僕もそうですけど、キャンパーでもあり、生活者でもあるので、両方ともユーザーとしての感覚を持っているわけですね。
海外にスノーピークが行き始めたのは1999年の年からです。99年にまずアメリカに行き、2001年にヨーロッパに行き、2003年にアジア、韓国とか台湾ということで世界展開を始めたわけですね。
日本以外の国でスノーピークの製品が売られていることに対して、例えばアメリカに行った日本のお客さんが非常に喜んで下さったりとか。スノーピークは日本発のブランドなので、今20ヵ国でビジネスをやっていますが、外国に行った時に一番喜んで下さっているのは日本のユーザーさんだと思いますね。
キャンプのスタイルは欧米と日本で大きく違っていて、欧米は主にバックパッキングという一人用のテントで、それをバックパックにして歩いて寝る。旅行の手段としてのキャンプというのが主流ですが、日本・韓国・台湾というのは、日本で生まれたスノーピークのような会社がつくったオートキャンプの文化が韓国・台湾にはありまして、そういう意味では欧米とアジアのマーケットは少し違うかもしれないですね。
2014年の秋冬からアパレルに本格的に参入したりとか、ここ2、3年、『アーバンアウトドア』という商品群をつくってそういうビジネスをやったりしています。都市空間で一つ自然をつなぐような事業でして、例えばマンションの中とか、一戸建ての住宅の中とか、オフィスだとか、そういうアウトドアのフィールド以外の空間にもスノーピークの製品を提供し始めています。
『アーバンアウトドア』以外でスノーピークが事業化しようとしていることは、例えばグランピングという、グラマラスキャンピングという最近すごくメディアでグランピングという言葉が踊っていますが、少し豊かで贅沢なキャンプのスタイル。オートキャンプの場合はご自身でキャンプのグッズを買って車に積んで移動するということですが、グランピングは我々の方が用意をして、食事も全部出す。ですので、そこに来られる方々は手ぶらで来て、設営も撤収も無く、メリットだけを享受してお帰りになるような、少し贅沢なキャンプを今、仕掛けていますね。
あとは地方創生に結構関わっていて、特に都市部以外の地方には豊かな自然がたくさんあるので、アウトドアでそういった地域を創生するようなコンサルをスノーピークがやり、その地域と一体になって地方創生をやるようなことを、今20ヶ所くらいで展開しています。
僕自身も、他社がやっていることをそのままやるということはあまり好きではないんですね。スノーピークにしかできないこと、できればブルーオーシャンで市場が無いところで、我々が製品やサービスをつくることによってマーケットやお客さんができるようなビジネスだけをやっていきたいんですね。
『The snow peak way』というミッションステートメントは変わらないし、自然と人というテーマも変わらないと思いますが、逆に言えばそれは変わらないけど事業内容は変わっていく会社だと思いますね。
経営者プロフィール
氏名 | 山井 太 |
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役職 | 代表取締役社長執行役員 |
会社概要
社名 | 株式会社スノーピーク |
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本社所在地 | 新潟県三条市中野原456 |
設立 | 1971 |
業種分類 | 農業・林業・漁業 |
代表者名 |
山井 太
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従業員数 | 759人 |
WEBサイト | https://www.snowpeak.co.jp/ |
事業概要 | アウトドア製品の開発・製造・販売、アパレル製品の開発・製造・販売、アーバンアウトドア事業、キャンピングオフィス事業、地方創生事業、グランピング事業 |